第37話 この感情は何だ?
ルナとの連携はこれまでも培ってきた。
俺の動きと俺の読みに正確に反応してくれるのは、ルナだけだ。
ルナだけが、俺の隣で最高のパフォーマンスをしてくれる。
俺はルナを信頼している。
この感情は何だ?
さあ、どうだろう。
掛け替えのない、たった一人の俺の。
───スキル『連携』が発現しました。
「行くぞッ、付いて来い!」
「はい、主っ!」
二本の剣を操り、蔦を切り刻む。
大多数を俺が、討ち漏らした蔦をルナが。
圧倒的な勢いで押し返す。
「す、凄い……あの数の蔦を完璧に」
「ん。一階層で見た連携」
階層、適正レート。
そんなパラメータを一蹴する奇跡の連携術。
互いが互いを想い、支え合う。
理想のバディ。
眼前が蔦ばかりに覆い尽くされていく。
腕に乳酸が溜まり、激痛が脳を焼く。
『軽業』、『体術』。他にも色々なスキルが能力値を底上げし、本来の俺には不可能な挙動を可能にしてくれる。攻撃を防ぎ、『幻惑』で回避し、『先見』で0.1秒先の未来を見て予測し、最後には《二刀流》が俺を導いてくれていた。
「「うぁぁああああああああッッ!!!」」
いけ、戦え、斬れ、斬り刻め。
腕の一本も動かせなくなるまで!
魔力は完全に尽きた。動かせるのは身体だけ。
魔力欠乏による身体への重圧と、疲労、そして流血によって身体が思うように動かない、動いてくれない。クソが……あと少し! あと少し!!
「主、生きて帰りましょう」
「なんだよ、こんな時に」
「こんな時だからこそ……! 私は主に生きていて欲しい」
35→40→45
ルナの好感度が上がっていく。
この現象は何だ?
それに応じて心拍数も上昇していく。
これ以上にない、楽しい瞬間。
永遠に続いて欲しいと思える瞬間。
極限状態で、永遠が更に引き延ばされていく感覚。
相対性理論の極致、時間が停止したとも思える永劫。
───スキル『瞑想』を獲得しました。
───スキル『敵感知』を獲得しました。
───スキル『光魔法』を獲得しました。
「私、主が好きです」
「ああ……俺もだ」
自然と、声が出ていた。
その会話の後だった。
好感度が急に上昇していく。
ルナが顔を真っ赤にしながら。
「本当、ですか」
と。
この感情は何だ?
これは、恋?
さあ、どうだろう。
でも今の俺は凄く心地よい。
ルナと並んで戦えるこの瞬間が。
何よりも愛おしい。
これは、愛?
嗚呼、もしくはそう呼ぶのかもしれないな。
45→50
条件をクリア。
ユニークスキル【勇猛果敢】を獲得しました。
俺は目を見開く。
皆が繋ぎ、ようやく見出した勝利への一手。
ここで、逃す訳にはいかない!
「「スキル【勇猛果敢】」」
ダンッ!!!
更に俺達は加速する。
実体が追い付かない速度まで。
速く、速く……もっと速く!
研ぎ澄まされた一閃を。
ただ、ここにしか刻めない一撃を!
もっと!!
「「はぁぁぁあああああ!!!!」」
届け!
俺とルナの一撃が、敵の腹に届く。
体液を全身に被りながら尚も貫く。
深く、そして鋭く!
俺の二本の剣と。
ルナの愛剣が重なり合う。
全身を駒のように回して、全力をぶつけた。
ズドォォンンンンッッ!!!!!
瓦礫と粉塵が一面に舞う。
完全に捉えた手応え、蔦は……無くなった!
「クレァアアアア!!!」
「やぁあああああああ……ッ!!!」
満を持して、クレアが飛び込む。
瀕死の『世界樹霊魔』に最後の一撃を。
「殺れぇええええええ!!!」
「いけぇぇえええええ!!!」
メキメキメキ!
木々が粉々に砕けていく。
下のタイルまでを貫いて粉砕。
衝撃で俺達は派手に吹き飛ばされた。
クレアの渾身の一撃。
俺達の全てを賭した一撃。
「どう、だ……?」
『世界樹霊魔』は……。
動かない。
沈黙したまま。
「やっ……」
最初に声を上げたのは誰だろう。
もしかすると、俺だったかもしれない。
「「「「「やったぁああああ!!!!」」」」」
一週間にて、二階層ボス撃破。
言うまでもなく、これも冒険者ギルド内新記録だった。
□■□
───第二階層主『世界樹霊魔』の討伐を完了しました。
───称号【植物の探求者】を獲得しました。
───スキル『詠唱』『紅魔』を獲得しました。
・『詠唱』
魔法詠唱の時間短縮。熟練度によって効果上昇。
・『紅魔』
血液を媒介に魔法を発動。魔力を必要としない。
ミッション
・二階層ボス討伐(1/1)
【報酬SP150・全熟練度+50】
名前:レイ レベル:15
HP56/360 MP0/220
称号:【植物の探求者】
ギルド:《北極星》
ユニークスキル:【魅力支配】【勇猛果敢】
EXスキル:《鑑識眼》C《演算領域》E《二刀流》E
スキル:『言語理解』C『交渉術』D『礼儀作法』F『挑発』E『料理』F『幻惑』E『隠密行動』F『体術』F『先見』F『火魔法』F『光魔法』G『蓄積』F『瞑想』G『敵感知』G『詠唱』G『紅魔』G『連携』G『麻痺耐性』F『痛覚耐性』F
所持SP:175
取得スキル:《気配遮断》
消費スキル:『隠密行動』『敵感知』『幻惑』『先見』
消費SP:40
取得スキル:《処世術》
消費スキル:『交渉術』『礼儀作法』『挑発』
消費SP:30
取得スキル:《全属性耐性》
消費スキル:『麻痺耐性』『痛覚耐性』『石化耐性』『恐慌耐性』『毒物耐性』
消費SP:80
ジンジンと痛む頭の中に、情報の渦が流れ込む。
階層主を倒し終えた実感が遅れてやって来た。
張り詰めた緊張が解け、心地よい静寂が来る。
気を抜けば失神しそうな身体でスキルを精査する。
EXスキルが新たに解放された。
EXスキル獲得に消費したスキルは本来戻ってこない。
ただ俺には【魅力支配】があるから、後から幾らでも回収出来るだろう。一方で、『幻惑』や『挑発』を失うのは少し勿体ない気もした。
ポチポチ、と無心でクリックしていく。
戦闘後の俺はとにかく頭を疲弊していた。
もう難しい事は考えられなくなっていたのである。
名前:レイ レベル:15
HP56/360 MP0/220
称号:【植物の探求者】
ギルド:《北極星》
ユニークスキル:【魅力支配】【勇猛果敢】
EXスキル:《鑑識眼》C《演算領域》E《二刀流》E《気配遮断》F《処世術》D《全属性耐性》F
スキル:『言語理解』C『料理』F『体術』F『火魔法』F『光魔法』G『蓄積』F『瞑想』G『詠唱』G『紅魔』G『連携』G
所持SP:25
そして後に残った事実は。
「あ……やべ」
EXスキルを全て獲得してしまっていた。
名前:ルナ レベル:22
HP56/230 MP22/620
ギルド:《北極星》
ユニークスキル:【勇猛果敢】
スキル:『隠密行動』D『剣術』C『体術』D『冷静』D『軽業』D『料理』E『並列思考』E『瞑想』E『読心』G『順応』G『連携』G『敵感知』E『光魔法』F『連携』G
名前:シャルロット レベル:30
HP316/620 MP112/470
称号:【鬼狩り】
ギルド:《北極星》
ユニークスキル:【一致団結】
スキル:『先見』C『剣術』C『逆境』B『加速』D『魅了』G『身体強化』G『痛覚耐性』F『火魔法』D
名前:ノエル レベル:27
HP122/270 MP201/680
称号:【鬼狩り】
ギルド:《北極星》
ユニークスキル:【明鏡止水】
スキル:『遠視』D『暗視』E『蓄積』A『物理演算』G『乱魔』G『麻痺耐性』F『土魔法』C『光魔法』C
名前:クレア
称号:【鍛冶見習い】
ギルド:無所属
ユニークスキル:【獅子奮迅】
スキル:『鍛冶』S『目利き』SS『受け流し』E『槍術』B『槌術』A『豪脚』C『硬化』C『威圧』G『神器生成』G





