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第36話 階層主の攻略法。

 

 ボス戦攻略から三十分が経過した。

 

 全身が疲弊し、心臓が痛み、肺が燃え尽きそうになりながら、何度も何度も攻撃をいなし、躱し、防ぐ防戦一方な戦局に、再び「全滅」の文字がちらつき始める。


 四肢も流石に全ての攻撃をいなしきれず、負傷も増す一方。回復薬(ポーション)も底を尽きかけている。


「てか、クレアはどこ行った?」

「あれ、さっきまでこの辺に」


 クレアがいなくなった。

 ボス部屋から、攻略中誰も逃げられない。


 生きるか死ぬかの世界だ。

 彼女は何を考えている。


 この絶望的な状況を覆す一手が……


「うりゃぁああああ!!」


 あるっていうのか!


 ドコォンッ!!!


 まるで砲声のような鋭い轟音が巻き起こる。

世界樹霊魔(ユグドラシル)』の上体が傾いた。


「えっ」


 クレアさん?

 なんで平然と懐に入ってんの??


「やった~作戦成功っ!」


 はて。

 俺はいつからアトラクションゲームをしていたのだろうか。彼女はまるで命を懸けていると感じさせない天真爛漫な素振りで、意気揚々と武器を持ち、そして軽々とダメージを与えてしまった。


 冒険者に憧れる鍛冶職の少女クレア。

 この場にいる誰よりも優秀なのであった。


「ど、どうやってそこに!?」

「へ、()()()()()()()()()?」


 壁を……登る?

 俺は呆然としながらも壁面を見る。


 ()()()()()()()()()。その一本一本は、確かに足がかけられそうな丈夫さにも見える。陽動として前方に攻撃を集中させ、その隙に本命の一撃を、壁面の上部から叩き付ける。


「まさか……これが正規の攻略法なのか!?」


 俺はルナと目を見合わせる。

 ルナは一度大きく頷いた。


「よし、反撃返しだァ!」


 皆の顔に生気が戻る。

 シャルとノエルは残存魔力を紡ぎ始める。


「ノエル、合図と同時に光を焚け!」

「おねーさんに任せてっ。魔法───」


 ルナと俺は同時に両側の壁に寄る。


「今だ!」

「『明星(ルキフェル)』ッッ!!!」


『インサニア』に付与された『狂気』と『突撃』の力で強引に壁をよじ登る。ボス部屋の天井はかなり高く、あれだけ凶暴であれだけ高身長に思えた『世界樹霊魔(ユグドラシル)』も容易く攻撃が入りそうだった。


 蔦に守られたその本体は、思った以上に柔らかそうだ。クレアが与えたダメージ箇所も今なら鮮明に追える。


「行くぞ、ルナッ」

「はい、主っ!!!」


 空中にダイブして剣を翳す。

 俺が跳躍した瞬間、前方で大規模な爆発が起きた。


 シャルとノエルがヘイトを買ったんだ。

 ナイスアシスト……これが一年という月日修練を重ねた者の息の合わせ方か!?


「「はぁあぁああああッッ!!!」」


 ザンッ!!!

 重力の力も合わせた全力の斬撃。

 緑色の液体を全身に被った。


 完璧な一撃が入った。

 よし、もう一押し……と行きたいところだが。


「ルナ、離脱だ」

「分かりました。ほら、クレアさんもっ」


 攻撃パターンが変わる時は離脱。

 一階層で得た知識はちゃんと覚えていたらしい。


 ボケっとしたクレアの手を取り三人で離脱。


「やったね、ルナちゃん、クレアちゃんっ」

「ん。お手柄」

「わぁーい、なんか褒められましたっ!」


 クレアがご機嫌なのでなんかどうでも良くなった。


「さて、どう出てくる」


世界樹霊魔(ユグドラシル)』は───。


 ウォォォンン……


「鳴いてる?」

「きゃっ、地面がまた揺れて……!?」


 奴が立っていた地面に亀裂が走る。

 地面が隆起し、更に高さが増えた。


 メキメキ……と背中から根のような物が生えた。

 そして一度、大きくそれが振るわれる。


 ゴォッッ!!


「な、なんなんだ……!」


 砂塵に目を潰される。

 顔を庇いながら薄目で状況を確認した。


「嘘だろ……おい」


 次の瞬間、『世界樹霊魔(ユグドラシル)』は()()()()()



 さっきまでの攻略法が通用しない。


「くそっ、なら撃ち落とすまでだ!」


 俺の中に残る魔力も絞り尽くす。


「『火球(ティンダー)』、『火球(ティンダー)』、『火球(ティンダー)』ァァッ」


 羽に向けて炎を放つ。


 ───『魔法(火)』F。熟練度上昇しました。



 ・魔法を百回撃つ(100/100)達成。

【報酬SP10・魔法熟練度+10】


 ミッション……このタイミングで!?


「レイ。多分普通の魔法じゃ無理」


 乱発はよせ、と首を振るノエル。

 しかし言い方には含みがあった。


()()()()()()()()()()()()


 ノエルは無言で頷いた。


「蔦の攻撃も今なら来ていない。チャンスだよ」


 シャルも意図する事を理解したらしい。

 全ての魔力を手に収束させた。


「クレア。最後の出番だ」

「わっ、何ですか、何ですかっ!」

「───()()()()()()()()()()()()


 蔦の連撃が始まる。

 クレアはその絶望にふっ、と一笑した。


 バッグから槌と槍を同時に取り出す。


「スキル【獅子奮迅(バーサーク)】」


 ビリビリと空気が震える。

 クレアが小さく息を吐いた。


「お父さんが見た景色、クレアも見れますか?」

「愚問だな、俺を誰だと思っている?」


 俺は一度決めた事は責任をもってやり抜くタイプだ。

 クレアの願いを叶える為にここに連れて来た。


「当たり前だろ。今から瞬き一つすんじゃねぇぞ」


 クレアが交戦に入った。

 俺はシャル、ルナはノエルと抱き合う。

 魔法を紡ぎ、意識を集中させる。


 同属性の複合魔法だ。


 クレアは全力で攻撃を防いでいる。スキル『硬化』と『受け流し』を使って、身体を賭してまで俺達にほんの僅かにも攻撃を来させまいと。


 ならば俺は、その決意に応えるとしよう。


『蓄積』によって魔力が収束する。

 今の俺は、より高位の魔法が使えるようになった。


 シャルの得意魔法『灼熱(ブレイズ)』、それをふたつ掛け合わせてより高度な魔法を生み出す。


「こうしてくっ付いてると、ドキドキするね」


 シャルの頬が赤く染まっているのは、炎に照らされているからか。心做しか心臓の鼓動が早い。


 シャルの胸が、押し潰されるくらい俺に密着する。


「ありがとう、レイくん」

「礼を言うのはまだ早いぞ」

「何それ、ダジャレのつもり?」

「ふはは、あまりに高度なギャグで気付かなかったぜ」


 巨大な炎の塊が頭上に巻き起こる。

 ルナ達も準備が出来たようだ。


「じゃあ行くぞ」


 息を合わせる。

 目標、『世界樹霊魔(ユグドラシル)』の羽!


「「魔法【灼熱の業火インフェルノ・ブレイズ】ッ」」

「「魔法【雷撃の極光(グレア・エクレール)】ッ」」


 視界が真っ白になる程の強烈な一撃。

 迫り来る蔦を全焼させ、さらには羽を粉砕する一撃。


 魔力を消耗し、全員片膝を付いて見守る。

 どうなった、敵は倒れたのか……?


 ウォォォン……ウォォォンン……


「まだか……?」

「レイさん、あと一撃必要みたいです」


 ボロボロになったクレアが敵を指さした。

 羽をもがれ地上に落ちた。


 だが、絶命には至っていない。

 蔦が地下から這い上がってくる。


 炎を逃れた残存する蔦が密集する。


「レイさん、まだいけますか……?」


 クレアめ。やはりお前は体力お化けだ。

 この状況でまだ俺を使う気か。


「ルナ、起きろ」

「つ、使い勝手が荒い主は嫌ですね……」


 剣を地面に突き刺しながら起き上がる。

 四肢が震えて立っているのもやっとの様子だった。


「では、主にご褒美を要求します……」

「ほ、ほう? 何だ。何が望みだ」

「主への、命令、権……一つだけ言う事を聞いて下さい」


 主へ命令か。面白い事を言う奴だ。


「分かった、それでいい……」


 正直、もう話すのも辛いくらいだ。

 ただ、クレアの手前、ここで諦める訳にもいかない。クレアが憧れた冒険者としての矜恃だ。


 こいつの前でくらい、輝いてやるよ。


「ルナ、剣を貸せ」

「えっと……それは」

「ロングソードの方だ、余ってるだろ」


 ルナのお古を借りた。

 この局面で最後に使う事になるとはな。


「クレア。お前は俺達の後ろに付いてこい。あの魔物の傍にまで連れて行ってやるよ」

「ほ、本当ですかっ……でも身体はもう───」

「うるせーな。お前も大して変わらんだろ」


 さあ、攻略を始めようか。


 取得スキル:《二刀流》

 消費スキル:『剣術』『加速』『回避』『疾走』

 消費SP:70


 統合。


 名前:レイ レベル:12

 HP108/330 MP98/190

 称号:【鬼狩り】

 ギルド:《北極星(セプテントリオ)

 ユニークスキル:【魅力支配(ヴィーナス)

 EXスキル:《鑑識眼》D《演算領域》F《二刀流》F

 スキル:『言語理解』D『交渉術』E『礼儀作法』F『挑発』F『料理』G『幻惑』F『隠密行動』G『体術』G『先見』G『火魔法』F『蓄積』G『麻痺耐性』G『痛覚耐性』G

 所持SP:25


()()()()()()()()》発動」

名前:レイ レベル:12

HP108/330 MP98/190

称号:【鬼狩り】

ギルド:《北極星(セプテントリオ)

ユニークスキル:【魅力支配(ヴィーナス)

EXスキル:《鑑識眼》D《演算領域》F《二刀流》F

スキル:『言語理解』D『交渉術』E『礼儀作法』F『挑発』F『料理』G『幻惑』F『隠密行動』G『体術』G『先見』G『火魔法』F『蓄積』G『麻痺耐性』G『痛覚耐性』G

所持SP:25


名前:ルナ レベル:20 

HP66/210 MP328/600

ギルド:《北極星(セプテントリオ)

ユニークスキル:【勇猛果敢(メメントモリ)

スキル:『隠密行動』E『剣術』D『体術』E『冷静』E『軽業』E『料理』F『並列思考』F『瞑想』F『敵感知』F『光魔法』G


名前:シャルロット レベル:27 

HP456/590 MP218/440

称号:【鬼狩り】

ギルド:《北極星(セプテントリオ)

ユニークスキル:【一致団結(ユニオン)

スキル:『先見』C『剣術』D『逆境』C『加速』E『痛覚耐性』G『火魔法』E


名前:ノエル レベル:25 

HP162/250 MP322/660

称号:【鬼狩り】

ギルド:《北極星(セプテントリオ)

ユニークスキル:【明鏡止水(アルカナム)

スキル:『遠視』E『暗視』F『蓄積』B『麻痺耐性』G『土魔法』C『光魔法』D


名前:クレア

称号:【鍛冶見習い】

ギルド:無所属

ユニークスキル:【獅子奮迅(バーサーク)

スキル:『鍛冶』S『目利き』S『受け流し』F『槍術』C『槌術』B『豪脚』C『硬化』D

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女の子を片っ端から惚れさせて無双する事にした」


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