768.最後は対決ですか!?
「今日帝国に来てよかったなー!」
「こういうクエストのメイちゃんたちは、本当に楽しそうでいいですね!」
「やはり我がメイちゃん力に間違いなし!」
ノーベンバーフェストのクエストを、見事最大の赤ゲージまで上げたメイたち。
ここでクエストが一段落したのか、本来の店員や踊り子たちが会場に到着し始めた。しかし。
「そこの冒険者たち! その見事な身のこなし、かなりの猛者と見える!」
「どうしたのでしょうか」
「ゲージは最高値だし、何かしらの追加クエストもしくはミッションってところかしら」
レンの予想は正解だ。
「この偉大なる帝国で兵士長を務める俺と、舞台での手合わせを申し込む!」
「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」
この盛り上がりの中、兵士たちが盛り上がれば客もテンションを上げる。
「すみません、彼らはお酒が入るとすぐこれで……困ったものです」
そう言って店主はまた、得意のチラッチラッを見せつける。
「メイはどう?」
「がんばりますっ」
「それじゃ私たちも楽しんじゃいましょうか」
話がまとまるや否や、ビールを手に客がいっそう集まってくる。
すると店主が、さっそく一声。
「それでは皆さんお待たせいたしました。本日の戦いは帝国兵士長vs冒険者メイ……さぁ張った張った!」
「賭けとかできんの!? メイちゃんに5万!」
「メイちゃんに10万!」
「メイちゃんに30万だ!」
「あはははは! これ成立しないだろ! どこの出来レースよりひどいぞ!」
始まる賭けに、さっそく盛り上がる。
「でも、こんなクエスト初めて見た」
「確かに。店員クエスト自体は前からあったけど、最後にバトルが入るのは初めてだな」
「どこかで何かしらのフラグがないと始まらないのかもな」
舞台に帝国兵士長とメイが上がると、観客たちは一層盛り上がる。
「ルールは簡単! 相手を倒すか、舞台から落としたら勝ち。武器を使用しなければ戦い方はなんでもありです! それでは、始めます……!」
帝国兵士長は拳を握り、構える。
対してメイはいつも通りの自然体で、尻尾をゆらゆらさせている。
「レディー……ファイト!!」
「【キャノンフィスト】!!」
いきなりのスキル使用。
放つ拳から放たれる強烈な衝撃弾が、舞台を駆け抜ける。
「【ラビットジャンプ】!」
これをメイは、シンプルな縦の跳躍で回避。
「【クイックスウェー】!」
すると兵士長は、一瞬で懐に入り込んでくる。
「速ッ!!」
その速さに、観客たちが驚く。
どうやら帝国兵士長は、高い実力を持つNPCのようだ。
観戦者たちは、このクエストの難易度の高さを確信する。
「【イナズマフック】【レフトハンドハンマー】!」
雷のようなエフェクトの右拳の振り回しを、一歩下がることでかわす。
続く大振りの左拳の叩きつけは、さらに身を大きく後方へそらすことで回避。
「【ライトニングレフト】【フィスト・パイルバンカー】!」
放たれる高速の右ストレートを、頭を引くことで顔の2センチ前で回避。
続く大きな拳の振り降ろしは、狭い範囲だが衝撃波を巻き起こす。
「【アクロバット】!」
メイはこれをバク転でかわして着地。
「【装備変更】!」
顔を上げると、その頭装備は【狐耳】に変わっていた。
「「かわいい」」
狐メイに、つい反応するツバメとまもり。
「いきますっ! 【キャットパンチ】!」
迫るストレートをかわしつつ、速い踏み込みから放つ【狐火】の拳打が兵士長の頬を捉える。
「くっ!」
カウンターによって、一度体勢を崩してしまえば――。
「パンチパンチパンチパンチパンチ! パンチパンチパンチからの【キャットパンチ】!」
「「「うおおおおおおーっ!!」」」
即座に始まる乱打に、観客たちが盛り上がる。
あっという間に、兵士長は追い込まれていく。
「くっ! 【ブロッキング】!」
青い炎をまとう拳打のラッシュを、兵士長はどうにかガードのスキルを挟み込んで耐え抜いた。
そして再び、優位を取ろうと勝負を掛けにくる。
「――――【バルカンジャブ】!」
このスキルは防御しても、どんどん弾かれていってしまう効果を持っている。
それはリングアウトをさせるためのスキルのようなものだ。しかし。
「メイ! ジャブってことは正面からよ!」
「なるほど! 右右左右左、右左左右左っ!」
真正面から来る拳打と聞いたメイは足を止め、上半身を前後左右に移動させるだけで全回避。
反撃に入ろうとしたところで――。
「あっ」
「――――【アトミック・ストレート】!」
大きな引きの体勢から放たれる全力のストレートは、喰らえばもちろん防御しても衝撃で吹き飛ばされる必殺スキル。
そして反撃に入ろうとしていたことで、体勢は『攻め』の状態のままだ。
ぶつかれば、リングアウトは確実の状況。
悩んだ結果、メイが出した結果は――。
「ド、ドドド、【ドラミング】だああああーっ!!」
メイは二度ほど胸元を叩いて、スキルを発動。
【アトミック・ストレート】の豪快な炸裂を、見事不動のまま受け止めてみせた。
「「「うおおおおおおおお――――っ!!」」」
上がる歓声に、赤くなる顔。
メイは顔の熱さを感じながら、一気に距離を詰める。
「【キャットパンチ】! パンチパンチパンチっ!」
再び青の炎を上げる連打で、一転して攻勢へ。
その勢いに、今度は兵士長が押されていく。
「おまけにもう一回だーっ! 【尾撃】っ!」
メイはクルっと回転して、トドメとばかりに兵士長に狐の尾を叩きつける。
すると兵士長はついに転倒を取られて転がり、そのままリングアウト。
メイは両手で狐を作って「こんこん」とポーズを決めた。
「さすがメイちゃん!」
「今回は野性味もたっぷりで、最高だったな!」
賭けもあり、歓喜にわく観戦者たち。
一方のメイは赤面。
「皆さーん、さっきのは忘れてくださぁぁぁぁい!!」
両手と尻尾をブンブン振って、【ドラミング】の忘却を懇願するのだった。
「マジかよ……」
「なんて強さだ……兵士長でも勝てないなんて……」
兵士たちもメイの強さに感嘆しながら、倒れた兵士長を抱え上げる。すると。
「――――【スティール】」
「ッ!?」
横をしれっと通りかかった一人の男が、盗みのスキルを発動。
ポケットを探る兵士、どうやら財布が盗まれていたようだ。
「ま、待て!」
兵士長の叫び声に、男は『バレた』と気づいて走り出す。
そのまま会場を抜けて街中へ。
「つ、捕まえろ! その男を捕まえろぉぉぉぉ――――っ!」
叫ぶ兵士長は戦いの直後、足がもつれて走れない。
「何かにつながりそうね」
突然始まった新たなクエストに、つぶやくレン。
「いきましょう!」
「はいっ!」
走り出したのはもちろん、メイとツバメだった。
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