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768/1488

768.最後は対決ですか!?

「今日帝国に来てよかったなー!」

「こういうクエストのメイちゃんたちは、本当に楽しそうでいいですね!」

「やはり我がメイちゃん力に間違いなし!」


 ノーベンバーフェストのクエストを、見事最大の赤ゲージまで上げたメイたち。

 ここでクエストが一段落したのか、本来の店員や踊り子たちが会場に到着し始めた。しかし。


「そこの冒険者たち! その見事な身のこなし、かなりの猛者と見える!」

「どうしたのでしょうか」

「ゲージは最高値だし、何かしらの追加クエストもしくはミッションってところかしら」


 レンの予想は正解だ。


「この偉大なる帝国で兵士長を務める俺と、舞台での手合わせを申し込む!」

「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」


 この盛り上がりの中、兵士たちが盛り上がれば客もテンションを上げる。


「すみません、彼らはお酒が入るとすぐこれで……困ったものです」


 そう言って店主はまた、得意のチラッチラッを見せつける。


「メイはどう?」

「がんばりますっ」

「それじゃ私たちも楽しんじゃいましょうか」


 話がまとまるや否や、ビールを手に客がいっそう集まってくる。

 すると店主が、さっそく一声。


「それでは皆さんお待たせいたしました。本日の戦いは帝国兵士長vs冒険者メイ……さぁ張った張った!」

「賭けとかできんの!? メイちゃんに5万!」

「メイちゃんに10万!」

「メイちゃんに30万だ!」

「あはははは! これ成立しないだろ! どこの出来レースよりひどいぞ!」


 始まる賭けに、さっそく盛り上がる。


「でも、こんなクエスト初めて見た」

「確かに。店員クエスト自体は前からあったけど、最後にバトルが入るのは初めてだな」

「どこかで何かしらのフラグがないと始まらないのかもな」


 舞台に帝国兵士長とメイが上がると、観客たちは一層盛り上がる。


「ルールは簡単! 相手を倒すか、舞台から落としたら勝ち。武器を使用しなければ戦い方はなんでもありです! それでは、始めます……!」


 帝国兵士長は拳を握り、構える。

 対してメイはいつも通りの自然体で、尻尾をゆらゆらさせている。


「レディー……ファイト!!」

「【キャノンフィスト】!!」


 いきなりのスキル使用。

 放つ拳から放たれる強烈な衝撃弾が、舞台を駆け抜ける。


「【ラビットジャンプ】!」


 これをメイは、シンプルな縦の跳躍で回避。


「【クイックスウェー】!」


 すると兵士長は、一瞬で懐に入り込んでくる。


「速ッ!!」


 その速さに、観客たちが驚く。

 どうやら帝国兵士長は、高い実力を持つNPCのようだ。

 観戦者たちは、このクエストの難易度の高さを確信する。


「【イナズマフック】【レフトハンドハンマー】!」


 雷のようなエフェクトの右拳の振り回しを、一歩下がることでかわす。

 続く大振りの左拳の叩きつけは、さらに身を大きく後方へそらすことで回避。


「【ライトニングレフト】【フィスト・パイルバンカー】!」


 放たれる高速の右ストレートを、頭を引くことで顔の2センチ前で回避。

 続く大きな拳の振り降ろしは、狭い範囲だが衝撃波を巻き起こす。


「【アクロバット】!」


 メイはこれをバク転でかわして着地。


「【装備変更】!」


 顔を上げると、その頭装備は【狐耳】に変わっていた。


「「かわいい」」


 狐メイに、つい反応するツバメとまもり。


「いきますっ! 【キャットパンチ】!」


 迫るストレートをかわしつつ、速い踏み込みから放つ【狐火】の拳打が兵士長の頬を捉える。


「くっ!」


 カウンターによって、一度体勢を崩してしまえば――。


「パンチパンチパンチパンチパンチ! パンチパンチパンチからの【キャットパンチ】!」

「「「うおおおおおおーっ!!」」」


 即座に始まる乱打に、観客たちが盛り上がる。

 あっという間に、兵士長は追い込まれていく。


「くっ! 【ブロッキング】!」


 青い炎をまとう拳打のラッシュを、兵士長はどうにかガードのスキルを挟み込んで耐え抜いた。

 そして再び、優位を取ろうと勝負を掛けにくる。


「――――【バルカンジャブ】!」


 このスキルは防御しても、どんどん弾かれていってしまう効果を持っている。

 それはリングアウトをさせるためのスキルのようなものだ。しかし。


「メイ! ジャブってことは正面からよ!」

「なるほど! 右右左右左、右左左右左っ!」


 真正面から来る拳打と聞いたメイは足を止め、上半身を前後左右に移動させるだけで全回避。

 反撃に入ろうとしたところで――。


「あっ」

「――――【アトミック・ストレート】!」


 大きな引きの体勢から放たれる全力のストレートは、喰らえばもちろん防御しても衝撃で吹き飛ばされる必殺スキル。

 そして反撃に入ろうとしていたことで、体勢は『攻め』の状態のままだ。

 ぶつかれば、リングアウトは確実の状況。

 悩んだ結果、メイが出した結果は――。


「ド、ドドド、【ドラミング】だああああーっ!!」


 メイは二度ほど胸元を叩いて、スキルを発動。

【アトミック・ストレート】の豪快な炸裂を、見事不動のまま受け止めてみせた。


「「「うおおおおおおおお――――っ!!」」」


 上がる歓声に、赤くなる顔。

 メイは顔の熱さを感じながら、一気に距離を詰める。

「【キャットパンチ】! パンチパンチパンチっ!」


 再び青の炎を上げる連打で、一転して攻勢へ。

 その勢いに、今度は兵士長が押されていく。


「おまけにもう一回だーっ! 【尾撃】っ!」


 メイはクルっと回転して、トドメとばかりに兵士長に狐の尾を叩きつける。

 すると兵士長はついに転倒を取られて転がり、そのままリングアウト。

 メイは両手で狐を作って「こんこん」とポーズを決めた。


「さすがメイちゃん!」

「今回は野性味もたっぷりで、最高だったな!」


 賭けもあり、歓喜にわく観戦者たち。

 一方のメイは赤面。


「皆さーん、さっきのは忘れてくださぁぁぁぁい!!」


 両手と尻尾をブンブン振って、【ドラミング】の忘却を懇願するのだった。


「マジかよ……」

「なんて強さだ……兵士長でも勝てないなんて……」


 兵士たちもメイの強さに感嘆しながら、倒れた兵士長を抱え上げる。すると。


「――――【スティール】」

「ッ!?」


 横をしれっと通りかかった一人の男が、盗みのスキルを発動。

 ポケットを探る兵士、どうやら財布が盗まれていたようだ。


「ま、待て!」


 兵士長の叫び声に、男は『バレた』と気づいて走り出す。

 そのまま会場を抜けて街中へ。


「つ、捕まえろ! その男を捕まえろぉぉぉぉ――――っ!」


 叫ぶ兵士長は戦いの直後、足がもつれて走れない。


「何かにつながりそうね」


 突然始まった新たなクエストに、つぶやくレン。


「いきましょう!」

「はいっ!」


 走り出したのはもちろん、メイとツバメだった。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[一言] 素手による戦いならメイの独壇場ですね。
[一言] 論理クイズは大正解ですね、ヒントにUNOも考えてました 模範解答と模範解法は 正解 ひとつめのサイコロ:0,1,2,3,4,5 ふたつめのサイコロ:0,1,2,6,7,8 解説 2つのゼロ…
[一言] ドラミングのところ「がおーーー」でもたぶんイケたよね(笑) 忘れられがちだけど、行動阻害は極めて強力なスキルだし。
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