767.踊るノーベンバーフェストです!
「おませたいたしましたーっ!」
「「「メイちゃんきたー!」」」
「……お、お待たせしました。私ですみませんっ!」
「盾子ちゃん!」
「はい、お待たせいたしました」
「使徒長ちゃんきたー! これは闇のフライドポテトですか?」
「そんな料理ないわよ」
「い、いつの間にか料理が置かれている……!?」
メイのビール塔運びと、ツバメの『いつの間にか』料理運びで離れたテーブルを網羅。
キッチン付近は、レンとまもりでせっせと運ぶ。
やはりメイとツバメの速度が圧倒的なため、『仕事ゲージ』の上りはなかなかのもの。
青かったゲージは、早くも緑から黄緑へと変わってくる。
「ああっ、なんということだ……!」
しかしここで店主が、新たな悩みに頭を抱える。
「ノーベンバーフェストを盛り上げる踊り子の到着が、遅れているそうだ……! これじゃ舞台が……」
「次は何をするのー?」
メイがたずねると、店主は待ってましたとばかりに語り出す。
「そこの舞台で踊りを披露するのがノーベンバーフェストの伝統なんだ。だが肝心の踊り子がいなくて……」
チラッチラッと、視線を向けてくる店主。
「はいはい、やるわよ」
「助かる! さあ、舞台に上がってくれ!」
その言葉と同時に、視界に現れる説明文。
どうやら『踊り』は足元に浮かぶ小さな魔法陣を、踏んでいくことで成立するミニゲームのようだ。
舞台に上がるのは二人。
ここは一応、メイとツバメという仮に敏捷値を求められても問題ない二人を選択。
すると音楽隊がやって来て、陽気な曲を奏で始めた。
それに合わせて、足元に魔法陣が現れる。
「右前後ろっ」
「右前後ろ」
「左前後ろっ」
「右前後ろ」
魔法陣の位置と点滅に合わせて足を上げ下げすると、自然とステップになっていく。
二人は上手に魔法陣を踏み、踊りらしい動きになっていく。
「いいぞメイちゃん! アサシンちゃん!」
「ツバメちゃん上手だねーっ!」
「ゲームセンターでこういうゲームをプレイしている人を見ていたことがあるので、なんとなく動き方を知っているのが大きそうです」
楽しそうだけど、人が見ている前で一人で遊ぶのは気が引ける。
だから見学で。
そんな時のことを思い出し踊るツバメ。
その動きは見事なものだ。
『――――ここからは、手も動かします』
そんな中、足の動きだけの時間が終わる。
今度は『手も同時に使う』パートの始まりだ。
基本は目の前に現れる光の弾を、両方から叩くようにして拍手。
正面、右の肩上、左の肩上と、上手に叩ければ光の散らばるエフェクトが入り成功だ。
「これ、山岳地方の踊りをモチーフにしてるのかしら」
「そ、そう見えますね」
それは西洋のブドウを踏む踊りに、『アルプス一万尺』のような手遊び要素が入ったような踊りに見える。
「みぎて! ひーだりて! くるっとまわってりょうてっ!」
「メイさん」
「はいっ!」
今度は向かい合い、互いの右手でハイタッチ、次は左手でハイタッチ。
二度胸元で拍手して、また互いに右手左手でハイタッチ。
そこから指示通り、互いに一回転して両手でハイタッチ。
「ッ!!」
その時のメイの楽しそうな笑顔に、思わずのけ反ってしまうツバメ。
足元の小さな魔法陣を踏みつつ、二人向かい合って空中の赤と黄色の魔法陣を潰すように、互いの掌を打ち合う。
これがピッタリのタイミングを連続することで、音楽隊の演奏も熱を帯びていく。
ゲージはドンドン上がっていき、黄緑色から黄色、そして橙に届くほど。
「いいぞいいぞーっ!」
このゲージ次第では、NPC兵士たちが盛り上がるか静かに飲むかが変わってくる。
今回は早くも拳を振り上げ、楽しそうだ。
見事な踊りに、もちろん観客たちは大盛り上がり。
メイとツバメが一緒に踊る姿は、とにかく元気で可愛い。
歓声と共に、大きな手拍子が巻き起こる。
だがもちろん、クエストである以上このままでは終わらない。
足の動きがなかなか早い、この踊り。
「これは難所です……っ!」
もはやタップダンスレベルになった足元の魔法陣をダダダダダ! と、走るように踏んでピークを迎えていく。
弾けるエフェクトは、火花の様で美しい。
この部分は『逃してしまう』と一気にゲージが減ってしまう部分。
一拍ズレたら全てがズレる『連打』に集中し、二人はローファーのような靴で必死で足を踏み鳴らす。
そして二人一緒に最後の魔法陣を踏み、空中に現れた光球を叩いてハイタッチ。
すると視界に浮かぶ文字。
『――――キメのポーズで最後を飾ってください』
「ツバメちゃん! いきましょうっ!」
「はいっ」
メイに誘われる形で、応えるツバメ。
舞台の上部に置かれたランプの炎が、派手に噴き出し輝いた。
素直に両手両足を広げて、『X』のようなポーズを取るメイ。
「「「おおおおおおおおおお――――っ!!」」」
飾らない元気な笑顔に、皆が拳を突き上げる。
そしてその隣で、パラパラの決めポーズみたいになっているツバメに笑う。
お仕事ゲージはここで一気に、橙から赤へ。
このクエストの最大値、最高潮を記録してみせた。
「さすがねえ。これ、パーフェクトじゃない?」
「す、すごいです……っ!」
二人に見惚れていたまもりも、思わず楽しそうに拍手を贈る。
戦闘ではないこの街ならではのクエストを、十分に楽しむことができたようだ。
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