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765.まずはいつものから!

「まもり、永遠に食べてたわね」


 晴れやかな笑顔で飲食を続けたまもりを思い出して、笑いながら店先に出てきたレン。


「まもりちゃんは幸せそうに食べるねぇ」

「はい、見ていて楽しくなりますね……まもりさん?」


 しかしまもりが出てこない。

 どうしたのかと、店をのぞいてみると――。


「両手に抱えて出てきた……!」


 沢山の土産商品を抱えて店を出てきた。

 そして歩き出すと、チラチラと店の方を振り返る。


「とても名残惜しそうです」

「す、すいません……っ! 皆さんと一緒だと、何倍も楽しかったので……」


 たくさんのお土産を手に、四人での談笑を思い出して頬を緩めるまもり。

 ツバメは「とてもよく分かります」と、深くうなずく。

 四人はそのまま中央通りへ向かい、レンガ積みの街並みを見て回る。

 飾り気よりも実用性に寄った造りの街は、見どころも多い。


「あれはなにかな?」


 メイが指さした先に見えたのは、帆布のようなもので三角の屋根を作った壁のないテント。

 その大きさは体育館を二回りほど大きくして、真ん中に舞台を作ったような感じだ。


「ああ、困った困った!」

「あれは間違いなく、運営者でしょうね」


 分かりやすく頭を抱えるNPCの男性。

 シャツにゆったりズボン。

 小太りな体型に、サスペンダーが良く似合っている。


「おお君たち! 助けてくれないか! 実は――」

「何かの催しをするんだけど、スタッフが体調不良で来られなくなっちゃったとかでしょう?」

「どうして分かったんだ?」

「もうお得意だからですっ!」

「実はその通りでね! このままじゃノーベンバーフェストが回らない!」

「のーべんばーふぇすと?」

「それはなんですか?」

「ガルデラでは毎週末、中央街でビールの祭典をやってるんだ。だが調理とホールが足りていない状況だ」

「どうする?」

「いつものやつということは……衣装もあるのですか?」

「もちろんだ、この街ではちょくちょく見かけるだろう?」


 アルプスの少女感ある、ディアンドル。

 さっき見たばかりの鮮やかな服装を想像して、思わずメイたちの表情が明るくなる。


「やりましょう」


 とにかくメイの新衣装が見たいという一心で、即答のツバメ。


「私もいいわよ」

「もちろんですっ!」

「メ、メイさんと一緒なのであれば……っ。できるだけ……裏方でお願いします」


 まもりも正直、カフェをやっていた時のようなメイの姿を間近で見たい。

 これには前向きに返答する。


「助かる……! それじゃさっそく控室に来てくれ!」


 こうしてメイたちは、ビールの祭典ノーベンバーフェストのクエストに参加することにした。



   ◆



「準備ができたらホールに来てくれ! そこで仕事内容を説明するっ!」


 そう言って渡されたのは、クエスト用の特殊衣装。

 メイたちはさっそく、装備を変更する。

 毎週末の夕方前から夜中にかけて開かれるビールの祭典。

 もちろんガルデラ帝国で飲食の手伝いをするとなれば、先ほど見た『鮮やかになったメイド服』感のあるもの。


「はいっ!」


 メイが着替えると、思わず三人が声を上げる。


「メイは本当に似合うわね……」

「素晴らしいです」

「素敵です……っ」


 鮮やかな紅色のスカートは、元気なメイによく似合う。

 青空と緑の山々を、山羊や牧羊犬と一緒に駆けるメイが思い浮かぶ。


「本当に、この瞬間は最高です……っ」

「本当ですね」


 そんなメイに見惚れるツバメとまもり。

 続いてレン。


「今度は……黒くないわ!」

「おおーっ! やっぱりレンちゃん似合うよーっ!」


 歓喜するレンのスカートは、淡い紫。

 レンには少し、村のちょっと勝ち気なおねえちゃん感がある。

 長い銀の髪と長い足が、服装に良く似合っている。


「ってツバメもいいじゃない。鮮やかな青がいいかんじだわ」

「新鮮な感じだね!」


 一方のツバメは意外にも、長い黒髪と青の清廉さによって清楚な雰囲気になっていた。

 この格好から高速移動で短剣を突き付けるのはちょっとカッコいいかも……と考えて、レンは慌てて首を振る。


「最後はまもりちゃん」

「あ、あの……」


 まもりは視線が集まるのが恥ずかしいのか、盾で身体を隠していた。


「あ…………あんまり見ないでください」

「かわいいーっ!」

「淡い緑ですか、いいですね」

「似合ってるじゃない。四人並んだらいい感じになるんじゃない?」


 このディアンドルという衣装は、胸元が大きく空いているのが特徴。

 そのためスタイルの良いまもりはまた、三人とは違った魅力がある。

 頭の左右で大きなお団子髪が淡い金色なのもあって、なかなかに華やかだ。


「それじゃあ行きましょうか」

「りょうかいですっ!」


 尻尾を振りながら、先頭を行くメイに続いてフロアーへ。

 そこには開店の準備を始める店主と、すでに席に着いて待つプレイヤーたちの姿があった。


「お、おい! メイちゃんだ!」

「メイちゃんだー!」

「うわ! 可愛いなおい!」

「きゃーっ! くぁわいいいーっ!」

「あの衣装ってことはクエストだろ!? これはついてるぞ!」

「フハハハハハ! やはり俺は持っている!」


 早くも上がる喝采。

 それでなくても飲食システムの導入以降、多くのプレイヤーの週末の楽しみとなったビールの祭典ノーベンバーフェスト。

 骨付き肉、ポテト、様々なソーセージを楽しみながら豊富な種類のビールが飲める上に、メイたちの姿あり。

 偶然この場に来ていたプレイヤーたちは、歓喜に胸を躍らせるのだった。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[一言] 前回の論理クイズのヒントで私が追加したのは、ちなみにこの問題LED電球では成立せず、昔ながらの白熱電球のみ成立します。 の部分で電球の部分のは元から書いてありました、この電球は問題名になって…
[一言] 論理クイズのヒントはまずは、二つのサイコロに共通で使う数式を見つけることかな
[一言] とうとうメイ達より先に到着するようになったのかマウントニキ……w
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