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738.vs謎のアサシン

 突如現れた謎のアサシン。

 その強さに、レンとツバメは思わず息を飲む。

 手に入れた本をリャオルの待つC研究塔へと運ぶのが目的だが、そう易々とはいかないようだ。


「【疾走縮地】【伸身宙返り】」


 わずか二歩の助走から跳躍。

 空中で回転しながら放つ斬撃は、軌道がめずらしい。

 ツバメは注意しながら、これを回避する。


「【光舞陸連】」

「【跳躍】!」


 続く六連の剣撃を、今度は直上への跳躍でかわして攻勢に入る。


「【電光石火】!」


 着地と同時にすぐさま放つ斬り抜け。

 これを自らの短剣で払ってみせたアサシンは、短剣を突き出し反撃モーションに入り――。


「【超硬化】」


 身体を金属のように固くする代わりに、身動きが取れなくなるスキルを発動。


「……なぜ?」


 自慢の速さを捨て去る暴挙に、さすがに虚を突かれるツバメ。

 その答えはすぐさま提示される。


「【終刃爆破】」

「ッ!?」


 突き出されたままの短剣が、まさかの爆発。

 それは自分にだけ物理スキル無効を付け、爆破の短剣を使い自爆するという殺し屋らしい非情な一撃だ。


「くっ!」


 そんなめちゃくちゃな攻撃にもツバメは反応し防御をするが、ダメージは2割を計上。

 早くもHP半分というところまで減少した。

 アサシンはさらに動く。


「【銀華猛吹雪】」


 レンに向けて放つ魔法。

 中空に現れた魔法陣から、ひし形の金属が降りてきたかと思うと炸裂。

 刃の花びらが、付近一帯を切り裂く。


「回避なんて、許されるスキルじゃない……!」


 ガーゴイル戦で『紙片刃の嵐』を見ていたため、できた賢明な判断。

 大慌ての防御で、ダメージを2割で済ますことに成功。

 しかし、安堵の息をついた瞬間。


「【ソウルスティンガー】」

「ッ!!」


『呪い』を思わせる禍々しい黒のエフェクトをまとう短剣。

 速い刺突は黒い稲光のような横のエフェクトを走らせたあと、水中に黒の絵の具を落としたような歪みを生み出し消える。


「今の、即死じゃない?」


 かすめていった刃に、思わず震える。

 レンの予想は正解だ。

 溜めがあるため使いにくいそのスキルだが、回避後の隙を狙って放ったその一撃は、直撃を喰らえば即死となる驚異の攻撃だ。


「……いいわ。それだけ強いんなら加減は要らないわね」


 危険が過ぎるアサシンに、ツバメと目配せ一つ。

 即死スキルを持つ敵の強さから、『C研究棟へ逃げ切る』形の方が本命なのだろうと踏んだレンは、【低空高速飛行】で逃避を開始。

 すると予想通り、アサシンは速い走行で後を追ってくる。

 レンはそのまま【旋回飛行】を混ぜて、学術都市の古い研究室が並ぶ区画へ。

 だがアサシンは速い。

 角を曲がって行ったレンに、あっという間に追いついた。


「…………?」


 しかしレンは、姿を消していた。

 逃げ隠れしてC研究棟を目指す方法もあり。

 その場合、まるで『本』に発信機でもついているのかという察知能力で追ってくるアサシンとの鬼ごっこになる。

 アサシンはしきりに目を走らせ、レンの不在を確認して走り出す。

 その背に、『猫化から変身を解いた』レンが杖を向ける。


「高速【誘導弾】【フレアストライク】!」


 アサシンもさすがに、後方からの急な炎砲弾は回避できない。

 炸裂する炎に弾かれ転がった。


「【壁走り】」


 そこに駆けて来るのはツバメ。

 研究室の壁を駆け抜け空中に躍り出ると、そのまま短剣の振り下ろしを決める。

 アサシンは起き上がり、続く攻撃に対して防御姿勢に入る。


「【紫電】」


 それを見たツバメは柔軟に攻め手を変更。

 雷光で動きを止める。


「【低空高速飛行】はあっ!」


 ここでレンはあえて進んで【魔剣の御柄】で近接攻撃。


「解放――っ!」


【フリーズブラスト】が炸裂し、アサシンが再び転がる。

 これを見て駆け出すツバメ。

 アサシンは起き上がり、速い移動で距離を詰めにくるが。


「どうぞ」

「ッ!?」


 まさかの事態に、アサシンが思わず足を止める。

 ツバメが投じたのは、大きくなるおもちゃのヒヨコ。

 しかしその大きさは、象一頭ほどもある。


「【旋回飛行】! 【誘導弾】【連続魔法】【ファイアボルト】!」


 ツバメのまさかの行動に驚きながらも、障害物となったヒヨコを右側から迂回するような形で出て来たレンが放つ魔法。

 これを必死にかわすアサシン。

 しかし同じように、ツバメも左側から回り込んできていた。

 左右二発の斬撃を喰らい、慌てて後方へ下がる。

 ツバメは追い打ちをかけに踏み込み、レンも魔法攻撃に入れる態勢を作る。


「【首狩り斬華】」


 対してアサシンは二人を足止めするように、波紋状の光刃で反撃。


「それは――!」

「――二回目です!」


 足止めのために放った攻撃に対し、レンはしゃがみ込んで回避しつつ杖を前方へ。


「【スライディング】!」


 一方のツバメは下をくぐっていく。


「【フレアストライク】!」


 レンの放つ炎砲弾を、アサシンは大きなサイドステップで回避。

 巻き上がる爆発に、視界が煙る。


「【加速】」


 その中に飛び込んで行くのはツバメ。


「【アクアエッジ】【瞬剣殺】!」


 空刃は水刃となり、その攻撃範囲を広げる。

 幻想的かつ隙のない乱舞は煙を裂き、宙を舞う水の刃には、煙で視界を奪われたアサシンにはさすがに回避のしようもなし。

 斬り裂かれ、そのまま転がり倒れ込んだ。


「……ふう、速い上に即死攻撃持ち。なかなか痺れる戦いだったわね」


 ヒヨコを回収したツバメと、レンはいつも通りの軽いハイタッチ。

 こんな緊張度の高い戦闘の中に、大きくなるヒヨコを放り込んだツバメの意外性に、あらためて笑う。

 一方のアサシンは倒れたが、即座にヒザを突く形で起き上がり、その手にアイテムを取った。


「恐るべき強さだ。だが忘れるな、これは一時的な撤退に過ぎぬ」


 まばゆい輝きと共に起動する【転移宝珠】

 本来は『逃げ』でいいこのクエスト。

 ツバメたちを狙ってきたアサシンは敗北し、その姿を消した。



   ◆



「よく無事に戻ってきたね。さっそく本を見せてもらうよ」


 赤いメガネの位置を直し、持ってきた古書をすぐさま読み出すリャオル。


「なるほど……こういう作りになっているんだね。すごく恐ろしい毒だよこれは」


 用意していた様々な素材の中から、さっそく必要なものを手際よく選び出していく。


「ねえ、この本を狙ってアサシンが襲ってきたんだけど、心当たりはない?」

「アサシン……? 大図書館の本を欲しがる人は多いから、中には危険な者もいるかもしれないけど……心当たりはないなぁ」


 そう言って、化学の実験のような要領で浄化剤の調合を開始。

 テキパキと調合を進め、一つの薬剤を完成させた。


「……やっぱりどういう生成方法で作られたのかも分からないような毒素だけど、浄化するだけならこれで大丈夫だよ」

「それじゃ、すぐに戻りましょう」

「はいっ」


 こうしてピンク毒用の浄化剤を手に入れたレンとツバメはうなずき合い、その足でフローリスへ戻ることにしたのだった。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[良い点] ……う〜ん? 何となく、リャオルが怪しい気がする? 敵が襲って来たタイミングがなぁ…。 アサシンが封印書庫の出入口に常駐してない限りは、レン達がそこに行くことは誰も分からない。 という…
[良い点] >ツバメが投じたのは、大きくなるおもちゃのヒヨコ。  まさかのヒヨコ隊長?(笑)
[良い点] 戻ったらもしや三つ巴な展開に? [気になる点] ヒヨコw ここでヒヨコwww 流石ツバメちゃんやで [一言] やはり一撃死は軽々しくブッパしちゃあかんよね
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