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737.追跡者

「いきましょう」


 ツバメの言葉にうなずくレン。

 無事に【毒素大全】を手にした二人は隠し書庫を出て、帰途につく。

 帰りは書架の上ではなく、下道を通る形だ。


「【隠密】【忍び足】」


 進んだ先に少し大型の『銀ガーゴイル』がいるのに気付いて、ツバメが姿を消す。

 足音を消して接近すると、槍を持った銀ガーゴイルは付近を警戒。

 その動きに、ツバメが一度足を止める。

 すると銀ガーゴイルは手を伸ばし、氷球を放った。


「ッ!?」


【隠密】の効果が消える。


「まさか、サーモグラフィでも積んでるの!?」


 思わず驚きの声を上げたレンの予想は正解だ。

 書架の陰に隠れてやり過ごそうとしても、温度で侵入者を捉えに来るようできている。

 さらに銀ガーゴイルが両手を掲げると、魔法陣から大量の本が出現。

 本から『刃』のように鋭いページが、一斉に放たれる。


「これは! 【加速】【リブースト】!」


 紙刃の嵐を、ツバメは超加速で距離を取って回避。

 レンは近くの書架の影に入ることでかわす。

 ザクザクと音を鳴らして突き刺さる紙片に、思わず息を飲む。

 銀ガーゴイルは手を伸ばす。

 するとページを飛ばした本たちに牙が生え、本の魔物と化した。

 大判の本が約30冊。

 この喰らいつきをツバメはしっかり見据えてかわし、しっかり集めたとことろでスキルを発動。


「【瞬剣殺】!」


 半数を超える魔物本を、一発で斬り飛ばした。


「そう簡単にはいかないわっ!」


 レンも五冊同時の攻めに対し、【魔力剣】で対抗。

 斬り払いで身を護るが、そもそもこの本の魔物は目くらまし。

 銀ガーゴイルは翼を広げ空中へ、上方からレンを斬りかかりに行く。


「ごめんなさい! 少し面倒になるかも!」


 少し下がって、【ヘクセンナハト】を手に取る。

 上から剣を振り下ろしにきた銀ガーゴイルを引き付けてかわし、残る本の魔物とまとめて照準に入れる。


「【フリーズブラスト】!」


 範囲を広げて放つ氷嵐を、ガーゴイルは回避できずに直撃。


「【壁走り】」


 こうなれば大量の高い書架、並ぶ本の背表紙を蹴って駆けてくるツバメに、防御は間に合わない。

 書架のヘリを蹴って跳躍し、体勢を立て直したばかりの銀ガーゴイルの後頭部に飛び込んだツバメ。


「【六連剣舞】!」


 放つ六連の斬撃が、見事に銀ガーゴイルを切り裂いた。

 着地するツバメの背後で、落ちた本の魔物共々粒子になって消えていく。


「助かったわ。でもこれで付近の敵も動き出してる」

「ここから『穴』まではもうわずかです。私がオトリになります」

「お願い! 【低空高速飛行】!」


 どこに書架があるのかはっきりせず、どんな仕掛けがあるのかも分からない『往路』とは違い、帰りは来た『穴』に戻ればいいだけ。

 ここで二人は、別行動を取る。


「【疾風迅雷】」


 動き出すガーゴイルたち。

 しかし逃走回避に集中したツバメは、速い。


「【加速】【加速】【加速】【壁走り】っ!」


 弓ガーゴイルたちの【誘導矢】は光の尾を引きながら迫り来るが、【壁走り】を用いた三次元の走りで全てをかわしていく。


「【投擲】」


 そして空中で敵の位置を確認し、放つ【雷ブレード】で動きを止める。


「【電光石火】!」


 痺れているガーゴイルを、着地と同時に斬り抜けで打倒。


「ッ!」


 しかし書架の影に隠れていた重装型が、メイスの【振り回し】を放ってきた。

 それはダメージに加えて相手を吹き飛ばす重い一撃だ。


「【スライディング】ッ!」


 ツバメは即座に対応。

 メイスの振り回しは書架に直撃し、倒す。

 倒れた本棚が手前の本棚に寄りかかり、寄りかかられた本棚が連鎖して倒れていく。

 巨大なドミノのような光景に、落ちてくる大量の本。

 しかしツバメは重装ガーゴイルの足元をくぐると、戦うこともなく直進。

 置き去りにされたガーゴイルは、落ちてきた大量の本に埋まる。


「【跳躍】!」


 荒れる地下書庫。

 ツバメは『穴』へ戻るために書架の上に向けてジャンプ。

 すると予想通り、この瞬間を狙う弓ガーゴイルの攻撃が見えた。


「【エアリアル】!」


 しかしこれを二段ジャンプでかわして、さらに一段上の書架に着地。


「【加速】【リブースト】【アサシンピアス】」


 即座に書架の天板を駆け、ツバメに気づいたばかりのガーゴイルを刺突で打倒。

 ツバメは地下書庫に巻き起こった鎌鼬のように、全てを斬って置き去りにしていく。


「よっと」


 ツバメがガーゴイルたちのターゲットを奪っている間に、穴に戻ってきたレンは地下三階『1128』の書架へと戻る。

 するとわずかに遅れて、翼を生やしたガーゴイルに追われるツバメが駆けてきた。

 放たれる槍、そして矢の数々。


「【跳躍】!」


 見事に長いジャンプでかわして、最後の書架に飛び乗ろうとするが――。


「「ッ!!」」


 ツバメを狙って放たれた矢が盛大に爆発。

 最後の書架を大きく傾かせた。


「【エアリアル】!」


 倒れゆく書架、失った足場。

 ツバメは慌てて二段ジャンプで距離を稼ぐが、それでもわずかに壁の『穴』には届かない。


「ツバメ!」

「レンさんっ!」


 レンの伸ばした手に、ツバメも手を伸ばす。

 そしてギリギリ、レンの手はツバメの腕をつかんだ。

 しかし壁際でもがく二人に向けて、ガーゴイルたちが再び矢をつがえる。


「せーのっ!」


 レンはツバメを引き上げると、大急ぎで扉を閉める。

 直後、鳴り響く衝撃音。

 ギリギリで扉が矢を弾き、二人は地下三階への帰還を果たすことに成功した。


「……ありがとうツバメ。見事なオトリっぷりっで助かったわ」

「いえ、レンさんのおかげで助かりました」


 二人は軽いハイタッチの後、真っすぐに大図書館を出る。

 目的はもちろん、リャオルのいるC研究塔だ。


「特殊な世界観のマップは、気合が入ってしまいますね」

「分かる。あの地下、明らかに他にも大きなクエストとかを残してるわよね……ん?」


 危険な地下を抜け、息をつく二人。

 その前に現れた、黒づくめのアサシン。


「――――書は、回収する」

「何者ですか……?」

「答える必要はない。『それ』を所持することは許されないというだけだ。ここで……回収する」


 ツバメの問いにすげなく答えたアサシンは、両手に剣を構える。


「【疾走縮地】」

「「ッ!?」」


 ドン、と巻き起こる衝撃。

 強い踏み出しからの駆け出しの速さに、思わず硬直する。

 それでもツバメは敵アサシンの連撃をどうにかかわし、バックステップで距離を取る。


「逃さぬ」


 しかしアサシンは大きく踏み込むと、スキルエフェクトを輝かせた。


「【光刃陸連】」


 放つ6連の剣撃全てに、魔力光が乗る。


「ッ!」


 ツバメはこれをかわし切れず、二発の剣閃を受けた。

 見ればHPは、3割も削られている。


「高速【連続魔法】【誘導弾】【ファイアボルト】!」

「【伸身宙返り】」


 レンはこの隙を突き魔法で援護するが、謎のアサシンは華麗な跳躍で当然のように回避してみせた。


「【首狩り斬華】」

「「ッ!?」」


 着地と同時に放たれる一筋の水平剣閃を、二人は慌ててしゃがんでかわす。


「この速さで、この火力ですか……!」

「ガーゴイルとはレベルが違うってことだけは、確かみたいね」


 大図書館を出るのと同時に現れた、謎の魔法剣持ちアサシン。

 これまで多くのボスと戦ってきたツバメとレンですら、緊張を覚えるその強さ。

 途端に、リャオルが待つC研究塔が嘘のように遠く感じ始めた。

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◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[良い点] まさかこちらにもアサシンが来るとは! てゆーか毒素大全でもアウトなの!? しかも図書館内に潜んでるとか、仕事熱心w 本を守るのが目的なら、いっそ図書館を焼き討ちすれば誰の目にも触れないと…
[一言] 論理クイズの最後の三文は三択になっています 1正しい 2間違っている 3これだけでは決められない と言うことですね 難易度は低いけど癖強めの問題かも
[一言] なんの本を要求してるかにもよるだろうけどどうなるかな
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