表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

710/1486

710.新たな街へ向かいます!

 朝が来れば、ラフテリアに眩しい太陽が昇ってくる。

 祭が終わっても陽光に青い海が輝けば、それはもういつもの賑やかな港町。


「ツバメちゃーん!」


 ログインするのと同時に見えたツバメに、声をかける。


「メイさんっ」


 するとツバメもすぐに、メイのもとに駆け寄ってきた。


「よいしょっと」


 そこにレンも、【浮遊】で降りてきた。

 今日もいつも通り、待ち合わせ時間より早い集合だ。


「広報誌、もらってきたわよ」

「やったー!」

「さっそく見てみましょう」

「表紙はダブルメイさんですね!」


 フェス特集号の広報誌は、メイと観客と空を行くクジラ。

 飛沫がまぶしい海クエストの見開きからスタート。

 港町での開催だけあって、どのページも鮮やかで楽しそうだ。


「あっ、新職業のシーンもあるね!」


 メイたちが紹介した新職業『シャーマン』は、すでにラフテリア内で普通にすれ違うほどの人気だ。

 メイちゃんカフェの動物たちと戯れる少女三人は、運よく猫耳レプリカを当てた子を中心にメイたちのパーティを模した格好をしている。


「ツバメたちのコンビネーションもあるわね」


 ツバメとスワローが並ぶページは、一転クールでカッコいい。

 今頃なーにゃは狂喜乱舞して、そのページを切り取りラミネート加工しているだろう。


「あ、スライムさんです」

「……これ、誰かを運んでない?」


 メイちゃんカフェに迷子ちゃんを護送する途中の一団に、思わず目を奪われるレン。

 その奇妙な光景には、掲示板組も笑っているだろう。


「楽しかったなぁ」

「はい、とても楽しかったです」


 思い出して浸る、メイとツバメ。

 すごく賑やかな構成の広報誌には、新たなワールドレコードについても載っている。

 今回のフェス成功に、メイたちは多大な効果を与えたと言っていいだろう。


「それより今回の動画よ!」


 そんな中、レンが思い出したかのように声をあげた。


「案の定リズや刹那との連携がしっかり切り取られてたんだけど、運営がどこで聞きつけたのか『原初の三使徒』って名前までしっかり載せてたのよ……っ!」

「あ、原初の三使徒だ」

「やめてーっ!」


 いきなり通行中のプレイヤーに指差しで呼ばれて、頭を抱える。

 星屑世界に中二病プレイヤーを増やした三人の動画は、編集によって凄まじい格好良さになっている。

 そのため再生数も、大変な勢いになっているようだ。

 さらに今回はメイが銀色メイを呼び出したことで、禁忌目録にも注目が集まっている。

 そうなればもちろん。


「見ろ、隣にいるのは野生児姉妹の……」

「野生児姉妹!?」


 ダブルメイの活躍によって聞こえた言葉に、即座に反応。


「ややや野生児ではございません! 見てください、例えばここっ!」


 メイは慌ててサバイバルレースのページを開くも、そこにはターザンロープを使うメイ。


「例えばここっ!」


 続けてページを開くも、レイド到着と同時にバナナを頬張るメイ。


「そ、それならここっ!」


 開いたページは、ケツァールと共に【野生回帰】状態で空へ登る瞬間。


「どこもかしこも野生だーっ!」


 運悪く全て野性味満載のページで、メイも一緒になって頭を抱えるのだった。


「星屑フェスでのご活躍、お見事でした。そして開催中もお手伝いいただき、ありがとうございます」


 そんな三人が向かったのは、港前に作られた特設広場。

 そう言って丁寧に頭を下げる銀髪のミステリアスな少女は、チュートリアルAIの【HMX-18b・ベータ】だ。


「あっ、ベータさん衣装が変わってる! かわいいーっ!」


 白のピタッとしたキャンペーンガール風衣裳に、鮮やかな青のスカーフ。

 ベータも海の街のお祭りに、ふさわしい姿になっている。


「今回皆さまの取得ポイントは、お仕事をこなしながらにしてトップクラスでございました。こちらが報酬となります」


 すでにメイはMVP商品をもらっているため、現れたのはレンとツバメ用の宝箱。


「宝箱ガチャの時と同じ箱を使われると、ハズレも入ってそうなんだけど……」

「…………」


 その言葉を聞いた瞬間、ツバメの表情が死ぬ。


「ふふ、さすがに大丈夫よね。さっそく開けてみましょう」

「そうですね」

「何が入ってるのかなーっ」


 気を取り直して三人は、目の前に並んだ宝箱を開く。

『毒消し草』

『ただの草』


「ええええええええ――――っ!!」


 まさかの本当にハズレを引くという事態に、思わず驚愕するメイ。


「「…………」」


 レンとツバメに至っては、まさかのハズれぶりに言葉を失っている。

 するとベータは、パチンと指を鳴らした。

 するとあらためて、二人の前に宝箱が現れた。


「というアトラクションから、本物の報酬でございます」

「や、やってくれるわね!」

「これは驚かされたました」

「運営側のちょっとしたイタズラ心でございますね。皆さんのおかげでとても楽しいフェスになったと、再度お礼を申し上げるよう伝言も承っております」


 フェス参加への感謝は封書でも届いていたが、ここでは少し遊び心を込めてということのようだ。

 思わずクスクス笑ってしまう三人。


「それじゃ、本命の方を開けてみましょうか」

「はいっ」

「今度こそだねっ!」



【超高速魔法】:一発のみだが、攻撃魔法を目にも止まらぬ速さで飛ばすことができる。魔法の範囲が狭い物ほど高速化する。



 まずはレンから中身を確認。


「魔法速度をさらに上げるスキルね。高速化と違って【連続魔法】との組み合わせはできないみたいだけど……初級魔法を溜めて【ペネトレーション】と一緒に使ったり、【誘導弾】【魔砲術】と一緒に使ったら面白いかも」


 さっそくその効果を読んで、使い道を考え出す。


「では、次は私ですね」



【反転】:移動、移動攻撃スキル後に高速で振り返る。反転からのスキル使用も可能。



「ツバメの場合、リキャストが短い【電光石火】で行って【電光石火】で戻ることもできそうね」

「行って戻る斬撃……面白そうです」

「そう言えば、メイがもらった報酬はどんな効果なの?」

「ちょっと待ってね、みんなで一緒に見ようと思ってまだ確認してないんだ」


 そう言ってメイは、報酬として皆の前で授与された賞品を取り出してみる。



【原始肉】:前もって食べることで、一定時間状態異常の効かない強靭な身体となる。



「方向としては【蓄食】や【世界樹の実】に近い感じでしょうか」

「でも、これもいい物に違いないわ。所持限界数が少ないから、その都度専用の肉を買って焼くのが少し手間って感じかしら」


 その効能を真面目に考察するレンとツバメ。

 一方メイは、骨の部分だけでも野球のバットより大きな肉を持つ手を震わせる。


「フルーツを丸かじりするだけでも野生っぽいのに、こんな大きな骨付き肉を食べ始めたらもう完全に原始人だよーっ」


 そしてその武骨な丸焼き感に、あらためて悲鳴を上げたのだった。



  ◆



「次はどこに行こっか!」


 フェスの報酬を得たメイたちは、新たな行き先の話を始める。


「これまでいったことのない場所で、星屑の有名どころってなると……フローリスとかかしら」

「フローリス?」

「星屑で一番綺麗な街なんて呼ばれてる、花の都ね」

「一番綺麗な街……どんなところなんだろう……!」


 さっそく尻尾をブンブンさせて、メイは期待に胸をはずませる。


「いいですね。まずは観光という形でも、花の都を見てみたいです」

「とにかく一度行ってみましょうか」


 こうして三人は、新たな行き先をフローリスに決定。

 ポータルへ向かい、一度の乗り継ぎを経て花の都へ。


「一番綺麗な街かぁ……ワクワクしちゃうなぁ」

「本当ですね。ラフテリアとはまた違う、風に揺れる花の街……想像するだけで気分が高ぶります」

「うんっ」

「なんだか、お花見にいくような期待感があるわねぇ」


 三人は笑いながら、ポータル移動を完了。

 フローリスに到着すると、転移の光がゆっくりと消えていく。


「花の都に、到着ですっ!」


 期待と共に、駆け出すメイ。


「え、ええっ?」


 思わず足を止める。

 目の前に現れたのは毒溜まり、謎の煙、色の悪い植物。


「ええええええええ――――っ!?」


 そして花の都の凄惨な光景に、思わず悲鳴をあげたのだった。

ご感想いただきました! ありがとうございます!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[気になる点] じゃ、メイが手に入れたのは単なるデカい肉じゃなくてそのレシピも手に入れたって認識でokeかな?
[一言] 今回は難しいかもと思いヒントを多めに出してみました、簡単な問題をもう1問出すと言う話でしたので簡単なのを出しときます 幼女と一人だけの証言 問題 冷蔵庫のプリンが誰かに食べられてしまった。…
[一言] 原始肉の効果は今回のフローリスのマップにぴったり過ぎない? 恐らく毒系の攻撃を仕掛けてくる敵がいるよね。 ツバメちゃんの【反転】は連続使用が出来たら某テイルズの秘奥義が再現出来そう(笑) …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ