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561.光と闇の円舞曲

「さあ、ここからは全力ですわ」

「そういうことだ……来い」


 悪魔召喚を使った戦い方にも、順応してきたリズと白夜。

 共にHPが半分を切ったというのに、余裕を感じさせる態度は変わらない。


「如月は任務をやり遂げるのみ……【雑兵】【ファントムステップ】!」


 気圧されながらも、ネビロスにアンデッド兵たちを配置させ、動き出す輪廻。

 居並ぶゾンビ兵たちの合間を抜け、リズを狙いに動く。

 近づくゾンビたちに、剣を振るった瞬間を狙い打つ作戦だ。

 リズが明らかに自分のいない方向に強く踏み出したのを見て、攻撃体勢に入る。しかし。


「【魔法陣牢】」


 リズを中心にする形で浮かんだ数十の小型魔法陣から、乱射される魔力光。


「ッ!!」


 怒涛の魔力砲攻撃に、アンデッド兵たちが消し飛ぶ。

 そして今まさに飛び込んで来た輪廻の姿が、丸見えになった。


「【暗夜剣】」

「くっ! ううっ!!」


 そのまま三日月形の剣撃で、輪廻を斬り飛ばす。

 この攻勢には、もう一枚裏があるが――。


「はあああっ!」


 リズはそのまま一回転。

 別方向から【栄光の手】狙いで迫って来ていたネビロスも、難なく斬って飛ばした。

 これで輪廻も残りHPが半分となる。


「出番ですわよ! 【ラグナリオン】!」


 一方白夜は黒竜を呼び出す。


「さあ弓術師さん、どちらがどちらを狙いますの!? 【エンジェライズ】!」


 しっかりと程よい距離を取っていた彼方目がけて、空から距離を詰める黒竜と、低空高速跳躍で迫る白夜。


「フールフール! 【爆嵐】っ!」


 白夜の予想通り、悪魔で『飛竜種』と戦った経験が彼方にはない。

 迷った結果、球形に圧縮した嵐弾を吐き出した。


「【エアブースト】!」


 しかしこの攻撃はもう知っている。

 ラグナリオンは飛行速度を急上昇し、炸裂する前の嵐弾とすれ違いフールフールに接近。

 そのまま取っ組み合うような形で襲い掛かり、【爆炎喰らいつき】を炸裂させた。

 吹き飛ばされ、転がるフールフール。

 もちろんこの隙を白夜は逃さない。


「【エーテルジャベリン】」


【エンジェライズ】でついた勢いのままに3歩ほど駆けて、その最中に光の槍を6本待機状態にする。


「【エンジェライズ】!」


 そして再び高速跳躍。

 6本の光の槍を射出しながら距離を詰める。


「【夜駆け】!」


 近接戦にしたくない彼方は連続バックステップで下がるが、光の槍を回避しつつの逃走は難しく、詰める白夜の方が速い。


「【ライトニングスラスト】!」

「く、うっ!」


 光の槍を避けたところを狙って放たれた突撃刺突がついに、肩口に決まった。

 これだけでは終わらない。

 レイピアに集束し始める、まばゆい光。


「コンビネーションに必要な経験がまだまだ足りていませんわね……閃け【極光乱舞】!」

「ああああああ――――っ!」


 後光のような光が炸裂し、彼方は吹き飛ばされる。

 刺突スキルに追撃として加えることができるその一撃の威力は、かなりのものだ。

 輪廻に続き、HPが半分を割り込む。


「【闇の翼】【ダークフラップ】」


【暗夜剣】に大きく弾き飛ばされた輪廻を追い、黒の翼で舞い上がったリズは羽ばたき一つで距離を詰める。

 闇の粒子を降らせながらの特攻から放つは、大きな回転撃。


「【大旋回】」

「立ち塞がれ【狼腕】!」


 強烈な追撃を前に、輪廻は慌てて『屍狼』の巨碗で止めにいく。


「甘い」


 しかしその回転撃の範囲は大きく、巨腕を消し飛ばした上でさらに、手前にいたネビロスまで斬って飛ばした。


「レクイエムと光の使徒。思っていた以上の強さでございます」


 ようやく身を起こした黒の巨鹿が、大きく跳び下がり彼方のもとへ帰る。

 するとそこに、【大旋回】を弾かれる程度に抑えた輪廻も駆け込んで来た。


「このままでは、アルティシア崩壊の任務は遂行できない」


 数だけ見れば4対3で優位を取っているはずなのに、戦いは一方的になっている。


「如月はこのまま敗れるのか……?」


 苦境を顧みて、自らに問いかける輪廻。


「――――否。まだ、やれる」


 そう言って、大きく息を吸う。

 見れば黒の全身鎧を着たリズと白の戦闘用ドレス姿の白夜も、二人居並ぶ陣形を取っていた。


「如月はここから勝負を賭ける! 【ファントムダンス】!」


 一度静かにうなずき、駆け出す輪廻。

 宝石剣を豪快に振り払う。

 これをリズがかわしたところに迫るのは、黒鹿フールフール。


「【雷光突撃】」

「くっ!」


 その巨体による飛び掛かりに、体勢を崩しながらの回避となったところで見えたのはネビロスの姿。


「【栄光の手】」

「ッ!!」


【栄光の手】は、一発で戦況をひっくり返されかねない危険なスキル。

 輪廻が二体の悪魔を従えるかのような連携を、不格好な横っ飛びでかわす。


「【チャージアロー】【爆炎蓮華の矢】!」


 完全に体勢が崩れたところを狙うのは、彼方の必殺スキル。

 真っ直ぐに飛んできた炎の矢が空中で炸裂し、灼熱の豪炎を巻き起こす。

 百メートルに至ろうかという距離を、駆ける猛火。


「見事な連携だ……だが! 【暗衝突破】【闇十字】!」


 ダメージ覚悟の前進。

 巻き起こる爆炎を、3割近いダメージを受けながら突き破ったリズ。

 放つ十字の衝撃波が、彼方を斬り飛ばす。


「【ペインワルツ】!」

「ラグナリオン! 【フレイムバスター】!」


 炎をまとったリボンによる怒涛の乱打は、火の花のごとく燃え上がる。

 しかし白夜は範囲外に下がり、黒竜を呼ぶ。

 吐き出された灼熱の炎弾が炸裂し、輪廻とネビロスが炎によるダメージを受けた。


「そんな……っ!」

「こう……なったら!」


 切り札だった必殺コンビネーションを弾き返され、追い込まれた輪廻たち。

 状況を変えるため、同時に手を突き上げる。


「フールフール! 【地雷】っ!」

「食らいつけ【死龍】ーっ!」


 それは範囲、火力に長けたスキルを同時使用しての反撃だ。

 まともに受ければリズも白夜も倒れるだろう。しかし。


「……どちらも跳べばかわせる技。それを同時撃ちしているようでは勝機はおとずれぬ」


 追い込まれていた輪廻と彼方は【地雷】で跳ばせて【死龍】で詰めるという連携ではなく、一網打尽を狙う同時撃ちを試みた。

 範囲こそ大きいが、これではすでにそのスキルを知っている二人には通じない。


「【闇の翼】【ダークフラップ】」


 地を駆ける雷光と迫る竜のアギトを難なく飛び越えたリズは、そのまま大きな羽ばたきで闇の粒子を散りばめ高速滑空。


「くっ、【ゴーストダイブ】!」

「遅い。祓え――――【暗天の大剣】」


 着地と同時に放つ豪快な回転斬りは、付近一帯を闇の衝撃波で薙ぎ払う一撃。


「うああああああ――――っ!!」


 その広い有効範囲に、ネビロスと輪廻がまとめて消し飛ばされた。


「【跳躍】! さあ行きますわよ【エアブースト】!」


 同じく高いジャンプで雷光と死龍をかわした白夜は、黒竜に飛び乗り高速飛行。


「【神速斉射】!」


 六道彼方の放った矢を、急加速で置き去りにして接近。

 さらにフールフールの風弾を、プロペラのような空中回転でかわして突撃。


「これで決めますわ! 【ツインストライク】!」


 そのまま滑空してきた黒竜の爪が彼方を裂き、続けざまに落下してきた白夜のレイピアが光の柱を突き立てる。


「ああああああ――――ッ!!」


 突きあがった閃光は、アルティシアの夜空に消えていく。

 HP全損により、勝負あり。

 消えていく悪魔と、倒れ伏す暗夜教団の二人。


「これが貴様たちへ送る――――レクイエムだ」


 月を背負うように両者に背を向け、黒の大剣を地面に突き刺したリズは静かにつぶやく。


「腕を上げたな輪廻、彼方」

「…………やられましたわ」


 そして決め所を完璧なまでに持っていったリズに、「やれやれですわね」と大げさに首を振って笑う白夜なのだった。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
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[一言] オリキャラではないけど、合いそうなキャラ見つけたので レン達の元に黒ベースのパンクファッションと、同じく黒ベースで紫のはいったゴスロリファッションの双子の姉妹が現れた ナイ「なんか騒がしいと…
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