532.勘違いバトル!
NPCの呼び出したレイスを打倒したメイたち。
その姿を偶然見つけた三人の少女は、それを『メイたちが呼び出していた』と勘違い。
「アルティシアに迫る危機。その温床は貴方たちに相違ありません!」
白金のショートカットに白のコート、さらに白の軽鎧をまとった前衛少女の名は星野エトワール。
「ここで断罪させていただくよ!」
その後を追うように迫ってくるのは、白のフードマントに短めのスカート、白銀の盾にランスを持った少女。
白、黄色、オレンジの束の混じった髪が特徴の花森ミヤビ。
「いきますっ! 【チェンジアームズ】!」
「ええっ!?」
エトワールが振り上げた手には何もない。
しかしスキル発動の直後、突然光の剣が生まれた。
「うわっと!」
徒手かと思わせての剣撃に驚きながらも、メイは振り降ろしを下がってかわす。
するとエトワールはそのまま一回転。
「【チェンジアームズ】【シャインセイバー】!」
「【ラビットジャンプ】! ええええっ!?」
なんと光の剣は『大鎌』へと姿を変えた。
半円を描く長い光刃の薙ぎ払い。
念のため高い跳躍で回避したためにダメージはなし。
もし剣での攻撃を想定したままバックステップしていたら、直撃だっただろう。
「【加速】」
ツバメはミヤビを狙って動く。
「はあっ!」
白銀の盾にランスというめずらしい組み合わせだが、シンプルな突きは斜め側方への動き一つで回避。
「【大旋回】!」
「ッ!」
長いランスの振り回しをしゃがんでかわしたところに、輝くスキルエフェクト。
「【ラピッドスラスト】!」
「【跳躍】!」
猛烈な連続突きは、下手な退避行動など許さないほどの勢いを誇る。
ツバメは後方への跳躍で回避し反撃へ。
「【加速】【電光石火】!」
「【ルミナスシールド】!」
【加速】からの斬り抜けは、ギリギリで盾防御が間に合い火花を上げた。
物理はもちろん魔法にも高い防御力を誇る盾スキルは、なかなかにやっかいそうだ。
「【四連射】【ホーリーバレット】!」
キラキラと輝く十字光の弾丸が、次々に放たれる。
青みを帯びた黒髪に白の魔女帽をかぶり、同じく白のローブをまとった定番魔導士の白色版少女は、雪崎ヒカリ。
「【連続魔法】【フリーズボルト】!」
彼女とレンの二人はまるで銃撃戦のように、動きながら魔法を連射する。
「こういうの久しぶりで楽しいわね……っ」
ヒカリもある程度【敏捷】に振ってあるのだろう、二人は回避を繰り返しながら魔法を放つ。
「やるもんだね! 【エンジェルラダー】!」
先に仕掛けたのはヒカリ。
右手を高く振り上げると、レンの足元から垂れ幕のような形状の光が次々に天に向かって登っていく。
「ッ!」
足元にランダムで現れる輝きに、レンは必死の逃走。
わずかに腕をかすめはしたものの、攻撃範囲を駆け抜けわずかなダメージで済ませることに成功した。
「【連続魔法】【誘導弾】【フリーズボルト】!」
すぐさまレンは反撃に移る。
放った魔法は、狙いをしくじったかのようにヒカリの頭上へ。
それは誰が見ても照準ミスだ。
この隙を突こうと杖を構えるヒカリだが、そこで誘導が働き【フリーズボルト】が落ちてくる形になった。
「ッ!?」
慌てて下がるも、氷弾が肩を打ちダメージとなる。
フラつく身体と、生まれる隙。
「【加速】」
その状況に気づいたツバメが動き出す。
エトワールに比べて足が遅く、近接型のミヤビなら一時的に置き去りにしても問題はないだろうという判断だ。
「いきます! 【雷光閃火】!」
「これは仕方ないね! 【スケープゴート】!」
すると次の瞬間、雪崎ヒカリはスキルを発動。
その場に入れ替わる形で現れたのは、花森ミヤビ。
「ッ!?」
「【聖天の加護】【ルミナスシールド】!」
【雷光閃火】が白銀の盾に弾かれる。
時間限定の範囲防御スキル【聖天の加護】に【ルミナスシールド】を組み合わせることで、硬直が短くなる。
花森ミヤビは、手にしたランスを強く引いた。
「【ディバインスラスト】!」
放つランスの必殺突きは、派手な閃光と共に放たれる。
「【投石】!」
しかし発動の直前に飛んできた石が直撃し、スキルを強制停止。
「この流れを止めますか……っ! 【チェンジアームズ】!」
【投石】のわずかな隙を狙い、迫るエトワールが右手を振り上げる。
未だ硬直下にあるメイは、その挙動をしっかりと目視。
振り下ろす挙動の開始時に、その手の中に生まれたのは光の槍。
しかし、その握りは『逆手』だ。
「【アクロバット】!」
硬直が解ける瞬間、メイが選んだのは意外にも【アクロバット】
身体を後方に倒して両手を地に突くと、予想通り『投じ』られた光の槍がメイの腹部の上を通り過ぎる。
メイはそのまま脚を蹴り上げ、バク転の形で体勢を立て直した。
「「「ッ!?」」」
冗談のような回避劇に、光の使徒全員が衝撃を受ける。
振り降ろし型のスキルを放たれた場合、直後の追加爆発などを警戒して大きく後方へ下がるのが一般的。
そこに光の槍が飛んで来て刺さるという狙いの攻撃だが、こんな形で避けられることなど想像もしていない。
エトワールは慌ててバックステップで距離を取る。
「【加速】【リブースト】」
「速……っ!」
そこに詰めてきたツバメの超加速に、思わず身体が硬直。
「【跳躍】」
「ッ!?」
完全に攻撃されることを想定していたエトワールを、ツバメはジャンプ一つで飛び越えていく。
「これは、どういうことですかっ!?」
ツバメの視線誘導に引っかかってしまった。
その背後では、メイが剣を掲げている。
「いきますっ! 【ソードバッシュ】!」
「マズいです! 【フラッシュジャンプ】!」
放たれたメイの一撃に対して、エトワールはそれでも必死に頭を切り替えて跳躍での回避を狙う。
しかし【ソードバッシュ】の巻き起こす猛烈な衝撃波は、その範囲も広い。
「なんですって!?」
エトワールは足をかすめた衝撃に弾き飛ばされた。
「きゃあああっ!」
その異常な威力に地面をバウンドし、転がったところでHPを確認。
「基礎スキルがかすめて……8割!?」
バグか何かではないかと、自らの目を疑う。
「この強さ、並みではないなっ」
「だからって、このままボーっとしてるわけにはいかないよね!」
そんな雪崎ヒカリの言葉に、うなずき合う光の使徒たち。
すっかり熱くなった心に、押される形で走り出す。
「もういくしかないよね! 駆け抜けて【ホワイトノヴァ】!」
放つ魔法は、純白の輝きが荒れ狂う上級の範囲魔法。
ここから二人の前衛に駆け込ませてスキルを叩き込むという、強硬的な作戦だ
「――――そこまでですわ!」
響き渡る声。
ヒカリが急停止し、魔法の発動も止まる。
聞こえた声はまたも、屋根の上からだ。
「……また、ややこしい話になりそうだわ」
声の方に視線を向けるや否や、そう言って頭を押さえるレン。
「そもそもどうして皆決まったように、屋根の上からポーズを取りつつ現れるのよ……」
深くため息をつく。
屋根の上。月明かりを浴びながら現れたのは、白の戦闘用ドレスを身にまとった淡い橙色の髪の少女。
「この戦いは、わたくしが預からせていただきます!」
美しいレイピアを引き抜き、キメまくりのポーズでそう宣言したのは、九条院白夜だった。
誤字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!
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