表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1495/1497

1495.街と二体のゴーレム

 メイのクジラとレンの海賊船による攻撃が、大型ゴーレムに叩き込まれた。

 敵のHPは大きく減り、戦いは再び仕切り直しの形となる。

 溶けかけの重騎士のようなゴーレムが突き出した掌の紋様に、生まれる大量の冷気。

 その狙いは前に出ていた、メイとツバメ。


「くるっ!」


 放たれたのは、無数の氷片弾。

 ショットガンを思わせる範囲攻撃は、さすがに回避が難しく防御で対応。

 敵はこれを連続させることで、しっかり二人のHPを削り取る。


「【バンビステップ】!」

「【加速】!」


 攻撃が終われば当然、接近して止めにかかる。

 しかし敵の身体から上がる蒸気は、噴き出す炎の前段階だ。

 二人は慌てて急停止。


「うわわっ!!」


 前髪をかすめる形で吹き上がった炎は、ギリギリで直撃を避けることに成功した。


「下がりましょう!」


 ゴーレムの攻撃はこの後、さらに盛大な爆発を起こす。

 メイとツバメは程よい位置まで下がり、攻撃直後の隙を突けるように備える。しかし。


「「っ!?」」


 大型ゴーレムが、大きく跳ね飛んだ。

 そして空中で、その姿をただの液体に変化。

 これは炎を灯したままの【圧し掛かり】攻撃だ。


「【加速】!」

「【バンビステップ】!」


 すぐに走り出した二人は見事に回避を成功させるが、接地時に巻き起こった爆風が炎を盛大に噴き飛ばす。


「くっ!」

「わああああ――――っ!」


 ツバメとメイが、ダメージを受けて長い距離を転がっていく。

 前衛が体勢を崩したところで大型ゴーレムが狙うのは、もちろん街への攻撃だ。

 騎士型に戻り、放つ氷塊弾。


「【誘導弾】【フレアバースト】!」


 これを打ち落とすのが、レンの役目だ。

 直撃した爆炎は、見事に氷塊弾を打ち砕いて空に炎を巻き上げる。

 だがゴーレムの攻撃は終わらない。

 続けざまに炎弾を放ち、街を攻撃する。


「【誘導弾】【フリーズブラスト】!」


 今度は直撃した氷嵐が、炎を飲み込みかき消した。

 レンの見事な対応は、街への被害を抑えるが――。


「っ!!」


 わずかな時間差をつけての三連発。

 レンは慌てて杖を【魔神の黒杖】に持ち替えて、飛んでいく氷弾を撃ちまくる。


「……【滅多撃ち】! 【フレアバースト】【フリーズブラスト】【聖槍】【フレアストライク】【フリーズストライク】!」


 しかし魔法攻撃を二連発した後のクールタイムによって、背後から狙う形になった魔法は、敵の三連発の最後を捉えたのみ。

 残りは外れて、空へと消えていく。


「【スリップ・フット】!」


 飛んできた氷弾を全速力で追うのは、ガントレットにメイド服姿の迷子。


「【バスターゲイザー】!」


 砂煙をあげながら突進し、ド派手なエフェクトのアッパーで氷弾を粉砕してみせた。


「こっちは任せるぽよっ! 【飛び跳ね】【巨大化Ⅰ】からの【砲弾跳躍】ぽよ――っ!」


 こうして二つ目の撃ち逃しも、見事にスライムがフォロー。

 するとここで大型ゴーレムが、その狙いをレンに変えた。


「っ!」


 放つ炎弾を、どうにかステップでかわす。

 しかし地にぶつかって巻き起こった炎は大きく、身を焼かれて削られる。

 次の瞬間見えたのは、冷気だった。


「【超高速魔法】【ファイアボルト】!」


 氷片ショットガンを、最高速の魔法でどうにか止めることに成功。

 だが、それでも大型の攻撃は止まらない。


「きゃあああっ!」


 全身の紋様から猛烈な勢いで放たれた細い光線の熱がレンを焼き、地を転がった。

 慌てて身体を起こしたところで見えたのは、再びの氷片ショットガン攻撃。

 とっさの防御も、その威力の前に体勢を崩してしまう。

 そして、さらに。


「その光線、街以外にも撃つの……っ!?」


 レンは大慌てで回避に入るが、間に合わない。


「きゃああああああ――――っ!!」


 目の前で地面にぶつかったビームは盛大に爆発し、レンを吹き飛ばした。

 この位置でのダメージは、『直撃』とほぼ同等。

 なんと一連の攻撃で、レンのHPは7割近くも減少した。


「レンさん……っ!」


 この隙に距離を詰めた大型ゴーレム。

 最期はシンプルに、拳を大きく振り上げる。

 あとはレンに叩きつけるだけで終わりだ。


「……さすが、異世界の魔物ね」


 絶体絶命の状況。

 その火力を前に、レンは倒れ伏したままつぶやいた。そして。


「でも……そんなに私ばかり見ていて良かったの?」


 問いかける。


「【ギリーフェザー】解除!」


 旋回するような軌道で飛んできたフクロウの使い魔が、その輝く翼を開いた。


「【同時撃ち】【火炎弾】!」


 パラス・アテネが放った三つの火炎弾は直撃し、ゴーレムを揺るがす。

 それでも振り降ろしは止まらず、わずかに遅れただけ。


「それで十分なのよ……だって」

「【加速】【リブースト】」


 最速で駆け込んできたのはツバメ。


「【極一閃】」


 それはどう考えても間に合う状況ではなかったが、その速度は圧倒的。

 視界から消える速さでの斬り抜けで、ツバメがゴーレムの背後に姿を現した。

 遅れて生まれる、水平の斬撃エフェクト。

 その直後に駆ける無数の斬撃は、その体躯の大きさもあり全弾がヒット。

 ゴーレムから、大量の黒い飛沫が盛大に舞い散った。


「全弾入ると、気持ちいいわね……!」

「ざ、斬撃のエフェクトが花みたいです……っ!」


 この一撃で大型の騎士ゴーレムは、その全身が傷だらけの騎士のように変わった。

 さらに、ヒザを突いてしまったことがアダとなった。

 前傾姿勢になったところに待つのはメイ。


「いきますっ!」


 ゴーレムの腕をつかんで、気合と共に持ち上げる。

 さすがに重かったのか、『垂直』状態の時間はやや短めだ。


「【ワイルドバスター】だああああああ――――っ!!」


 そのまま後方へ倒れ込むようにして、ゴーレムを地面に叩きつけた。


「はいそこっ!」


 まだ終わらない。

 この流れを予期していたレンは【低空高速飛行】で先回りしていた。

 なんとメイがゴーレムを叩きつけた地面に【設置魔法】を展開。

 二つの【フレアバースト】が背を盛大に焼き、ゴーレムは燃えて転がる。

 ツバメの斬撃と設置魔法は、見事に紋様の『集結点』にも当たり、高いダメージを計上した。


「スワローちゃん!」


 視認しにくい風弾を連射することで、ドールを弾き飛ばした中型ゴーレム。

 こちらも大型に劣らない十分な強さを持つのが、恐ろしい。

 紋様の集結点以外のダメージは、同様に軽減される。

 体躯の大きさはないが、大型ほど圧倒的な火力がない分だけ攻撃自体が速い。


「【サンダーウィップ・スプレッド】!」


 すぐさまローチェが足止めに入るが、これをしっかり防御した中型ゴーレムは、伸ばした左手から氷片のショットガンを連発。


「きゃあっ!」


 こちらも転倒を奪うと、右手を掲げた。

 大型のものほどではないが、腕を長い刃に変えての振り降ろしだ。


「そうはさせないわ! 【爆震脚】!」


 シオールは猛烈な低空跳躍で接近し、建物の身代わりとなる。


「くうっ!」


 武器店の破壊は免れたが、こちらも弾かれ転倒。

 中型ゴーレムはここで、炎弾を放つ。


「させませんっ!」

「させるか!」


 迷子と樹氷の魔女がフォローに駆けつけるが、ゴーレムは大型の炎弾をシオールたちではなく街に向けて発射した。


「そんな!?」

「しまった!」


 防御が抜かれて、思わず上げる悲鳴。

 その先にあるのは、メイたちの作った冒険者酒場。

 誰にも止められなかった一撃は、まるでスローモーションのように飛んでいく。

 駆けるスライムも間に合わず、思わず愕然としてしまう。そして。

 巻き起こる紅蓮の炎。


「「「っ!?」」」


 酒場の前に立ち塞がった一人の男が、身代わりになって爆発を受け止めた。

 それから炎の中でヒザを突くと、そのままゆっくりと倒れ込んで行く。


「みんな……ここで飲むのを楽しみにしてただろ?」


 そして、一言。


「俺、メイちゃんたちの作った酒場を守ったけど……何か質問ある?」


 そう言い残して、倒れ伏した。

 実は『2』ほどHPが残っているのだが、勢いで倒れてしまった以上仕方なし。

 静かに目を閉じる。


「…………許さない」


 ところが、そんなマウント氏の性格を知らないシオールには、皆で酒場で乾杯しようという夢を、命をかけて守った英雄のようにしか見えない。

 普段は優しいシオールの目が、怒りに熱く燃え出した。

 手にしたメイスの先端を地面に擦るようにして振り上げると、中型ゴーレムに向けて宣言する。


「――――消し炭も、残ると思うなよ」


 シオールの怒りが、ラインを超えた。

 その瞬間動き出したのは、なーにゃとスワロー。


「【加速】【急加速】! ……【クイック・サイドステップ】からの【宙返り】ですな!」


 見事な翻弄で隙を突き、跳躍で斜めに跳ぶ。


「【二連空閃】!」


 空中で放つ二連の剣閃、一撃だけをぶつけていくことで敵の視線を後方へ向かせる。

 時間稼ぎは十分だ。


「今だよ。来て! ――――【死霊魔王】!」


 ローチェが呼び出したのは、勇者に討たれて生まれた魔王の霊。

 ボロボロのマントに王冠を乗せた魔王が手にした杖を掲げれば、敵の足元に生まれた魔法陣から噴き出す大量の鮮血が、刃となって敵を斬る。


「今ですな!」


 降り注ぐ血の雨が恐ろしい一撃は火力も高く、中型のゴーレムの体勢を大きく崩した。


「【砲弾跳躍】ぽよっ!」


 そこにスライムの突撃が決まって倒れ込めば、迫るのは迷子。


「【ジェット・ナックル】!」


 ガントレットをつけた拳を紋様の集結点に叩き込み、退避のために転がる。

 そして四人がかりで隙を作れば、やや足の遅いシオールでも十分懐に入り込める。


「【爆震脚】!」


 地面を踏みつけ、円形に広がる衝撃波と共に跳びかかる。

 着地はヒザを突いた状態の、ゴーレムの前。


「起きろ! 【超合金メイス】!」


 シオールは手にしたメイスを、小さな重機のような大きさに変えた


「【打撃強化】! 砕けろォォォォ! 【アトミックメイス】ゥゥゥゥゥゥ――――ッ!!」


 鬼人のごとき形相で放たれる、豪快な叩きつけ。

 怒りと物理攻撃力上昇効果を乗せた大型メイスが紋様の集結点に直撃し、盛大な爆発を起こした。

 中型のゴーレムは、地面を抉るほどの威力に耐え切れず派手に転がる。

 その先にあるのは――。


「下がりましょう!」


 なんとこの短い隙に、ハウジング勢は一つのオブジェ像を作成させていた。

 転がってきた中型ゴーレムがぶつかり壊れると、視界を焼くほどの雷光が駆け上る。

 それはメイたちが素材探しの際に持ち帰ってきた、【雷壊石】によるもの。

 壊れると大量の電気を発生させる新素材は、中型ゴーレムの身体を粉々に打ち砕いた。


「あなたの仇は、必ず取る……っ!」

「「「うおおおおおおおお――――っ!!」」」


 ハウジング勢との予想外の連携であげた、見事な勝利。

 倒れたままでいるマウント氏に向けた勇ましいシオールの宣言に、ハウジング勢と掲示板組が雄叫びをあげた。

誤字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
クイズは正解ですね、答えは、とうさいし(搭載し、問う妻子)ですね、まあ多少文脈が変なのは、文字制限があるから仕方ないかと、今回ヒントだすの難しかったです…
大技を根元から全弾ヒットで体躯が仇になって、ほぼ一撃で爆散したTODやSO1のラスボスを思い出したぜ… マウント氏(やばい、計算違いで起き上がるタイミングを逸した…計算氏助けて!)
これギャグよりだと、まだ死んでないから…ガクッ… となりそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ