1494.防衛戦です!
「いい流れだな!」
「ああ! 街は壊させねえ!」
【蛮族流】の一撃で、ついに倒れ込んだゴーレム。
街を潰しに来ている魔物は、さすがにメイたちを放ったまま街を破壊することは不可能だと判断。
「わっ! 見た目が変わったよー!」
漆黒の液体を浴びた重装騎士の風情から、一転灰色の液体そのものに身体を変えた。
何重もの紋様が刻まれた、妖しいジェル状の液体となった敵。
「くるよっ!」
大きく伸び上がった液体ゴーレムはその身体の一部を伸ばし、悪魔の腕のような形状になると、そのまま掌を叩きつけに入る。
「そうはさせませんっ! 【バンビステップ】【装備変更】! 大きくなーれ!」
メイの動きは速かった。
速い踏み込みと同時に伸ばした【蒼樹の白剣】で狙うのは、腕の下部に当たる部分。
「【フルスイング】だああああああ――――っ!!」
豪快に振り上げる剣は狙い通り敵の腕を打ち、なんとそのまま斬り飛ばした。
しかし、これだけでは止まらない。
「千切れました!!」
これが一定以上のダメージで生み出される第二形態。
液体化した魔物の一部は千切れ飛び、街の近くの地面を跳ねて形を変更。
なんと高さ10メートルほどの、中型の液体ゴーレムになった。
こうして大型と中型、二体のゴーレムが街を狙って動き出す。
中型のゴーレムは思わぬ身軽さで滑るように街の前に進むと、形状を重装騎士のように変形。
そのまま掌を道具店の方に向けて、炎弾を放つ。
「「「ああっ!!」」」
あがる悲鳴。
放たれた大きな炎弾は、綺麗に舗装した街路に大きな穴を穿った。
そしてさらに、中型の炎弾が放たれる。
「させませんっ! 【ジェット・ナックル】!」
大慌てでその射線に駆け込んだ迷子が、拳をぶつけて炎弾を抹消。
同時にダメージを受けて、その場に転がる。
「まだぽよっ!【硬化】!」
続けてスライムが防御力を上げて壁になり、倒れながらも三発目の炎弾をかき消した。
「よくも我らの街を……! 斬り裂け【氷のイバラ】ぁぁぁぁっ!!」
怒る樹氷の魔女が放つ氷結攻撃が、ゴーレムの足元を斬る。
「今っ!」
敵がバランスを崩したところで、白煙を斬り裂き迫るシオール。
「【爆炎正拳突き】ぃぃぃぃっ!!」
思わず目を奪われるような本気の表情での一撃は、猛烈な炎と共に大爆発。
中型ゴーレムが、身を盾にした防御連携からの反撃に転がる。
それでもその回転を利用して立ち上がったゴーレムは、片腕を掲げた。
「「「っ!?」」」
すると掌から放たれる黒い砲弾が、連続で放たれる。
「させないと言ったぽよ!」
「当然ですっ!」
「身を挺してでも……っ!」
スライムたちは再び砲弾に飛び込み、今度は防御で的確に対応する。しかし。
「「「っ!?」」」
黒の砲弾は直撃と同時に液体となり、シオール達前衛チームを足止めした。
受けると長い時間の硬直を引き起こす【粘着弾】
残った手で放った砲弾は今度、突然気化して消えた。
直後。
「「「っ!!」」」
硬直状態のスライムたちを吹き飛ばす、猛烈な『風』の爆発。
そして邪魔者たちが転がったところに、放つのは光弾の連射だ。
突き進む一撃はそのまま、店屋の方へと突き進む。
「トップだけに身体を張らせるな! 街ができてる状況なら、もう俺たちはいくら死んでも問題ないっ!」
「そういうことだ!」
「おうっ!」
光弾をその身で止めたのは、叫んだ極・魔剣。
倒れ込んだその直後に飛んで来た光弾を受けたザッハとゲンサンも、地を跳ね転がる。さらに。
「私が止めないと! きゃああああ――っ!」
さらにマーちゃんまでもが、身を挺して攻撃を止める。
それでも、攻撃を止めない中型ゴーレム。
「させないって言ってるでしょう! 【サンダーウィップ・スプレッド】!」
ローチェが意地で間に合わせた一撃が、見事に敵の砲弾を弾き飛ばした。
そしてこちらの不利を感じて、助けに回ろうとしたレンに告げる。
「五月晴れの皆は、本体に集中しちゃってね!」
いつもの笑顔とポーズだが、声は大真面目。
ここでどうにか体勢を立て直したスライムやシオール達と、再び陣を組み直す。
「【フルスイング】!」
一方メイは見事な疾走で、伸ばした剣を叩き込む。
灰色の大型スライムのような形状の敵は激しく波打つが、ダメージはやはり少ない。
弱点であろう紋様の集結点を守りながらの戦い方は、なかなかにやっかいだ。
「形状が変わるわ!」
レンの声に応えるかのように、紋様の一か所が天を目指して伸び上がる。
それはシーツをかぶった人間が、片手を上げたような形状。
「刃になりました!」
なんと伸び上がった敵が持ち上げた腕は、長い長い刃に変わった。
振り下ろされれば、街に大きな被害を与えることになる。
「あくまで街が壊したいってわけね! 【フレアバースト】!」
「【装備変更】! それええええ――っ!!」
レンの放つ爆炎に続いて、メイの投じた【王樹のブーメラン】までもが直撃するが、それでも止められない。
「この攻撃に、アーマー効果を持たせるとか悪趣味が過ぎない……っ!?」
止まらない。
液体の刃はそのまま容赦なく振り下ろされる。
敵の背は高く、狙いは街。
盾を掲げても角度が合わないことに気づいたまもりが、悔しそうに目を閉じたその時。
「――――そうはさせません」
そこに駆け込んできたのはツバメ。
その手は、【村雨】に添えられている。
「【斬鉄剣】」
一瞬で走る、白い閃き。
ツバメの放った斬撃の弧は、敵の放った大きな刃を斬り飛ばし、灰色の飛沫が大量に飛び散った。
「「「いよォォォォォ――――しっ!!」」」
それを見たハウジング勢は、思わず歓喜の咆哮をあげた。
「ナイスだっ! アサシンちゃああああ――――んっ!」
拳を握って吠えるハウジング勢。
「まだ、油断しちゃだめだよっ!」
しかしそこに響いたのは、メイの声。
液体の身体に走る無数の紋様の一つに、収束していく輝き。
「また、光線だわっ!」
そのまま放出された大型ビームのような一撃は、街に向けて一直線。
「【不動】【コンティニューガード】【天雲の盾】!」
しかし一直線で迫る形の攻撃なら、まもりの防御は突破できない。
まばゆい光線の一撃は、盾にぶつかり水流のように弾かれると、そのまま消えた。
「この街は絶対に」
「守ります……っ!」
思わず目を合わせた後、つぶやくツバメとまもり。そして。
「「お願いしますっ!」」
そのまま視線を、メイたちの方に向ける。
「まかせて!」
「おまかせくださいっ!」
呼ばれたメイとレンが、同時に右手を突き上げる。
まずはレンの目が、煌々と輝いた。
「【絆のルーン】発動っ! 来なさいっ! 私の可愛い海賊たちっ!」
次の瞬間、荒れる波と共に出てきたのは、恐ろしい姿をした幽霊船。
敵の周りの空間を海に変えると、レンが上げたままの右手を力強く振り下ろす。
「狙いは紋様の中心よ! 撃てええええ――っ!!」
骸骨船員たちが次々放つ砲弾は、敵の魔物に直撃。
何発もの砲弾を、紋様の集結点に叩き込む。
見事の名集中砲火。
だが、これだけでは終わらない。
「それでは――――よろしくお願い申し上げますっ!」
メイが呼び出したのは、宙を舞う巨大なクジラ。
海賊船の後方から飛び出してきた巨体は空中で一回転して、体勢を崩していた魔物にそのまま激突。
盛大な飛沫を跳ね上げた。
「やりましたね! レン船長!」
「当然よ!」
飛沫が舞う中、二人は颯爽とハイタッチをかわした。
そして潮を吹きながら帰っていくクジラと、剣を掲げた骸骨たちに手を振って見送る。
「やっぱすげえ……!」
「異世界に海を持ってきちゃうなんて、五月晴れにしかできねえよっ!」
圧倒的な光景に、思わず吠えるハウジング組。
「……この街は、絶対に壊させませんっ!」
「「「おうっ!!」」」
気合の入ったメイの声に、再び大きな声で答えてみせた。
誤字報告、ご感想ありがとうございます! エマさんタイトルの壁を超えないで!
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