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他に寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。  作者: にのまえ


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四十五

 昼の慌ただしいランチの時間帯が終わり、本日の気まぐれ"濃厚カルボナーラ、ランチ"を食べて、ワカとセアも帰っていった。わたしは厨房の流し台で片付けをしていた。


 厨房のキッチンではミリアが休むことなく、ニンニクチップをカリカリに揚げ、サーロインステーキを焼き始めた。わたしは洗い物を終わらせ、その隣で水にさらしてあったジャガイモのくし切りを素揚げして、塩胡椒で味付けしていた。


 時刻は二時前。


 カランコロンとドアベルか勢いよく鳴り、開いた扉から今日は一番乗りに、カヤとリヤが元気よく飛び込んできたかと思うと、カウンター席からヒョコッと厨房を覗き。



「「こんにちは!!」」



「こんにちは、カヤとリヤ。今日も元気だね!」


「うん、元気だよ。ねえねえ、ミリアとリーヤ聞いて!」

「リーヤ聞いて」

 

「こんにちは、どうしたの?」


 と、料理を二人に出しながら聞いてみると、カヤとリヤはいつものテーブルには行かず、カウンターで楽しそうに話し出した。


「あのね、昨日の夜ね。ウフフ」

「うんうん、昨夜ね……アハハッ」


 思い出し笑いをする二人。


 昨夜と言えば、彼たちが警備する北門に強制に召喚された、魔獣コカトリスが出たはず。二人が何を話すのかと待ってみても、ニコニコするだけで、勿体ぶって中々話そうとしない。


「もう何よ、教えて」


 痺れを切らし聞いてみた"カランコロン"と、ドアベルが鳴り、アサトとロカがいつも通りに入ってきた。

 

「よっ、ミリア、リーヤ」

「こんにちは、今日もお美しいミリアさん。こんにちはいつも可愛いリーヤ」


「いらっしゃい、アサトと、……ロカはいつもと変わらないね。私とリーヤはいま手が離せないから、サーロインステーキをカウンターまで取りに来て」


 カウンターまで取りに来た二人に、焼き立てのサーロインステーキと揚げたてのポテト、キノコスープ、山盛りのご飯をトレーに乗せて渡した。


「リーヤ、ありがとう」

「今日も、いい匂いですね」


「お肉とご飯はまだあるから、足りなかったらおかわりしてね!」


「「わかった」」


 いつものようにテーブル席で食事を始めたのだけど。アサト達と一緒に来るはずのナサの姿が今日はみえない。



(まさか、昨夜、怪我をしたの? 今朝、お兄様達は帰るとき、そんなこと言っていなかったけど……)



 心配になりカウンターで、楽しそうに食事をする二人に聞いてみた。


「カヤ君とリヤ君、ナサはどうしたの?」


「ナサはね……フフッ、昨日のナサは面白かった」

「うん、ほんとうに面白かったね」



 二人に聞いても"面白かった"と、笑って教えてくれない。



「カヤ、リヤ、笑っていないで、ちゃんと教えろ! リーヤ、ナサはただの寝坊だ。もうすぐココに来るよ」


 見兼ねた、アサトが食事の手を止めて教えてくれた。


「ほんと、怪我をしたのかと思ったわ。もう、それならそうと言ってよ、カヤ君、リヤ君!」 


「だって、ナサは昨日も、今日もお寝坊さんだもん」


「え、昨日も、今日も寝坊したの?」


 聞き返すと、


「昨日の夜、魔獣コカトリスを倒すときも、ナサは遅れてきたよ」


「そうそう、寝坊して遅れて来たんだ」


 二人はわたしに身振り手振り大袈裟に話しだした。そんな二人を見て、アサトとロカは呆れた顔を浮かべた。



「……ハァ、お前らは昨夜からズーッとその話だな」

「ほんと、飽きませんね」



「飽きないよ、だって面白いもん。リーヤ、昨日の夜、僕達は魔獣コカトリスに苦戦を強いられたんだ」


「うん、アイツ、触ると石になるから気をつけないといけないし、大変だったよね」


「それは、盾役のナサがいなかったから?」


 二人は頷き。


「そうだね」

「うん、動きも早いから、額の魔法陣を中々壊せなかったんだ」


「それで、どうしたの?」


 二人にカウンターから聞いた。



「「フフッ、リーヤ、ここからが面白いんだ!!」」



 カヤとリヤの興奮した声が重なる。



「遅れて、北門に走ってきたナサに魔獣コカトリスが、"クケェェエーッ"て大声で威嚇したんだ」


「そしたらね、ナサは」



「バ、バカかオマエェーー!! そんな大声で鳴くんじゃねぇ、リーヤに聞こえてココに来ちまったら、どうするんだ!! って叫んだよ」



(え、!)



「ナサの叫びに驚いた、魔獣コカトリスがね『クェッ』て小さく鳴いたんだ。ハハハッ、おかしいよね」


「そのあと魔獣はナサが動きをすぐ止めて、戦うのは"アッ"という間に終わっちゃったんだけどね」



「……そ、そうなんだ」



 二人の話に驚いていたら"カランコロン"とドアベルが鳴り、ナサが眠そうにのっそり入ってきた。


「おっす、ミリア、リーヤ」


「こんにちは、ナサ」

「今日は遅いじゃない、早く食べちゃいな!」


「ああ……」


『クワァッ』と大きな欠伸をしながら、いつものようにカウンター席に座る、ナサにサーロインステーキを出した。

 

「サンキュー、リーヤ」


「ナサ……プププッ」

「フフフッ」


「……ハァ……カヤ、リヤ、お前ら昨日からなんだよ、俺を見るとケタケタ笑いやがって」


 面倒臭そうに頭をポリポリかき、目を細めてカヤとリヤを見る。そんなナサにわたしは伝えた。


「いま、カヤ君とリヤ君に昨夜の話を聞いたよ」


 そう言うとナサは目を大きく開き、わたしから目をそらし、隣にいるカヤとリヤに詰め寄った。


「おい、リーヤには黙ってろって、言っただろう!」


「ごめんね、ナサ、喋っちゃった」

「リーヤに全部、話しちゃった」


 二人がいい終わる前にナサは『カヤ、リヤ!!』と、店の中が揺れるほど大きな声で叫び。カウンター席から逃げようとした、二人の首根っこを素早く両手で掴んだ。


 しかし、二人は捕まっても全く反省の色がみえず。


「だってね、リヤ」

「そうだね、カヤ、面白いもん」


 悪びれなく笑っている。

 そんな二人を見て、ナサは大きなため息をついたのだった。

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