005
きたぁ!
俺はイベントの発生を確信し、3人に絡れている少女のもとに駆け寄った。
「おい、お前ら何をしているんだ!」
「あぁ?ガキは引っ込んでな!」
少女の右腕をつかんでいたターバンをした男が小馬鹿にしたような顔をして叫んだ。
確かに今の俺は47歳120キロのおっさんじゃない。詳しいことは分からないがこれまでの周りの反応から、子ども扱いされる程度には華奢な少年なのだろう。
「その子の手を離せ!」
もう一度叫ぶとターバンの男が顎をしゃくり、右目に傷がある銀髪の男が頷きナイフを片手にこちらに近寄ってきた。
銀髪の男は何も言わずいきなりナイフで攻撃してきた!
・・・って、あれ?
めっちゃ、遅くない?
相手の動きが異常に遅く、何というかスローモーション映像を見ているような感じだ。
バグ?
まあいいや。
とりあえず緩慢な動きをする男の攻撃をすんなり避け、そのついでに足を引っかけた。そのタイミングが絶妙だったのか足払いのような形で決まり、銀髪の男はものすごい勢いで転がって倒れ込み傍らの大きな木に頭からぶつかった。
あれ?勢いが戻ってる?
「野郎!」
もう一人の短髪で髭の大男が大声を張り上げながら殴りかかってきた。
殴りかかってきたのだが
これも遅い。ものすごくゆっくりと動いている。ちょっと面白いかも。
まあいいや。
ほとんど止まっているような大男の、殴りかかってきた右手をつかんで背負い投げのイメージで投げてみた。
前の世界では運動は苦手だったが格闘ゲームなどもまあまあやっていたのでイメージだけは得意だ。
大男はクルっと一回転して地面に背中から落ち、うめき声をあげた。どうも下に大きな石があったらしく、そこに強烈に背中から落ちていったから息ができないようだ。
「おいおい、どうなってんだ?」
少女をつかんでいたターバンの男が明らかに動揺していた。
「おい、お前!こいつがどうなってもいいのか!」
そう叫ぶとターバンの男は少女の首筋にナイフをつきつけた。
「そこでおとなしくしてな!」
そう言って少女の首元にナイフを突きつけたまま後退りを始めた。さすがにどうしようもない。無理に突っ込むと少女にケガをさせてしまう可能性がある。石でも投げるか?いや下手に動いてもマズい。
どうしたものか・・
悩んでいるうちに少しずつターバンの男と距離ができてきた。逃げられてしまう・・
ヒュッ!!
どこからか放たれた弓矢がターバン男のナイフを持つ腕に突き刺さる!
チャンス!!
男が思わず少女を離したその隙に、男の体めがけて思いっきりタックルした。ちょうど革鎧の肩あてが男の鳩尾に入ったようで、もんどりうって倒れ動かなくなった。
やった!
荒い息をしながら振り返り少女に声をかけようとしたが、不審者に思われても嫌なので息を少し整えてから話しかけようしていると
「きみ、誰?」
いつのまにいたのかー
少女をかばうように前に立っているエルフの女性が、俺に向かって弓を番えていたのが見えた。




