婚約破棄
ふぅ……
1つため息をついて
「いきますわ」
口元を拭き、優雅に立ち上がった。
「お手を……」
ジョージ様が、エスコートを申し出てくれたが
「……いいえ。貴方を巻き込んでしまいますもの。」
「レミア嬢。貴方の邪魔はしないから、どうか、貴方のそばに居させてくれ。」
真剣な瞳でジョージが切に訴えてきた。
くっ!!そんなふうに言われたら…断れないじゃない。これは、ローア殿下と私の問題なのに……。出来ればジョージ様を巻き込みたくなかった。
「……分かったわ。」
そっとジョージに手を差し出し、エスコートされながら、ダンスホールの中央へと向かう。
そこには、ローア殿下とアミーリア嬢が、叫びながら私を探しているようだ。
「レミア・モーガン。さっさと出て来い!!」
「レミア様〜。ひどいです〜。このまま逃げるつもりですの〜?」
「レミア。雲隠れするつもりかっ!!何処だ!!」
「レミアさまー!」
そんなに私の名前を連呼しなくてもいいのに……
出ていくのが恥ずかしくなるレベルだわ。横にいるジョージも眉間にシワを寄せ、苦い顔をしている。
「…………このまま帰ってもいいと思うぞ」
内緒話をするように、コソコソ声でジョージ様が伝えてきた。……あの騒がしい2人に関わるの嫌よね。私も出来れば、このまま帰りたいくらいだわ。
「そうね。あのバカ騒ぎに付き合う謂れはないけれど………決着つけなくちゃね」
私とジョージが騒ぎの中央に近づいていくと、集まっていた人も、私に気付いて左右に割れて道を作ってくれる。
「お待たしましたわ。私をお呼びになった?」
殿下とアミーリア嬢の前まで名乗りでた。すると殿下が
「誰だ?おまえは。関係ないやつは引っ込んでろっ!!」
思わず、スンって顔になってしまった。
うえ〜〜。そこから説明するのね……。まず私がレミアだって気付いてない時点で、ローア殿下、貴方婚約者としてアウトですよ。
前回で私がレミアだとわかっているアミーリア嬢が、ローア殿下に耳打ちしながら、一生懸命説明してくれてるわ。ありがたいこと。
「なにっ!!?レミアだと!!」
ローア殿下が目を見開きながら、何度も私を上から下から見直す。うーん、普通にレディに失礼なやつね。
「レミア・モーガンで御座います。お呼びでしょうか殿下。」
敢えて満面の笑みを浮かべながら、殿下の前で、誰でも見惚れるくらいのカーテシーを披露した。これも王子妃の教育の賜物である。
ローア殿下が苦虫を噛み潰したような顔のまま、固まってしまった。そんなローア殿下はアミーリア嬢に袖を引っ張られ、ハッとしたように、また動き出した。ゴホンと咳払いした後に、腕をピシッと上げ私を指差しながら
「レミア・モーガン。貴様は、この愛らしいアミーリアに嫉妬して、陰険なイジメを行い、危害を加えるなど言語道断だ。王子妃として相応しくない。よって!ここに婚約破棄を言い渡す!!」
ぁぁ……またしても、スンって顔になってしまった。殿下が今夜、婚約破棄するって計画、アミーリア嬢から聞いて分かっていたけど、実際に言われるとイラってきますわね。
「殿下。私はアミーリア嬢をイジメことはありませんわ。人聞きが悪いことを言いがかりにするのは止めて頂きたい。」
「なにっ!!デタラメをいうな!!アミーリアから色々話を聞いてるんだぞっ!!」
「……アミーリア嬢が言っていたってだけですか?何か証拠はありますの?」
「アミーリアが俺に嘘をついたと言いたいのかっ!!不敬だぞっ!!」
えっ!本当に証拠………ないの??思わずキョロキョロしてしまった。そこは、ホラ……ちょっと偽装したり、嘘の証人を用意してくるとか……、何かあるじゃない??……ほら??…………えっ?ないの?
待っても出てこない感じ??
うーん。そこは殿下の取り巻きの方々、何か用意しておきましょうよ〜。
私が何も言い返さないでいると、ローア殿下がシタリ顔になって!
「醜いおまえは、俺に相応しくない!!本日をもって、この美しいアミーリアを俺の新しい婚約者にする。」
アミーリアは「ローア……」感動の涙をウルウルと瞳に浮かべ、ローア殿下に抱き着いた。
うん。なんの茶番歌劇かしら。
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