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なんでも食べちゃう悪役令嬢  作者: あかさたなっちゃん


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イケてるダディは笑顔が素敵

「お嬢様。戻りました。」

 先ほど騒ぎの男を追うように命令して護衛が、私の前に片膝をついて、頭を垂れている。


「ご苦労さま。それで?」


「はい。あの男は、ミドリル子爵のモーリーという名の嫡男で、ギャンブルにハマり闇金にかなりの借金があるそうです。騒動の後に、誰かを探していたようですが、街の孤児院の少年から手紙を受け取ると、真っ直ぐ家に帰っていきました。少年に確認したところ、若い女性に渡すように言われたと、駄賃を貰っておりまして。少年とは初対面の女で、髪と瞳がピンクだったということでした。今後も男に動きがないか、今は他の者がついております。」


「……ありがとう。ご苦労だったわ。ゆっくり休んで。また分かったら報告を。」


「はっ」

 一礼をして部屋から退出していった。


 ふぅ。思わずひと息つくと、さっきの話で気になる点があった。ピンクの髪と瞳………それに現場で見かけたツインテールを思い出す。私の思い違いじゃないといいけど……気になる時は、早めに行動するほうがいい。

 私の後ろに待機していたナタリーに振り返り

「ナタリー。お父様はこの時間は執務室にいらして?」

「はい。執務中かと。」

「ご報告があるので、出来れば早めにお会いしたいと伝えてくれるかしら?」

「承知しました。」


 しばらくすると、お父様から執務室に来るように言われた。何事もお父様に相談しておいて損はない。執務室に入るやいなや、父は1枚の用紙を私の前に提示してきた。


「……これはっ!!」

「フッフッフ………私は、仕事が早いからな。どうだい?レミアが良ければ、この条件でローア殿下と婚約解消となる。……あのクソ狸め…がっ…ゴネやがって……」


 …うん。後半は聴こえなかったことにしよう…!


 手にある書類には既に王のサインがある。あとは父がサインすればっていう状態だ。わぁ……お父様、王様相手に……宰相をしてるだけのことはある。

 私とローア殿下も、まだ成人前の学生なので、保護者のサインだけで、契約書が成り立ってしまう。


 内容は、私にとってかなり好待遇だ。ローア殿下の有責によって、高額な慰謝料と、10歳〜今までの王子妃に関することに充てられた時間に対する時給が細かく計算されているが………っ!! 


 とてつもない金額になっていますけどっ!!「お父様……こちらは…。?」しずしずと指さすと


「あぁ。これか。可愛い盛りのレミアが、クソ王子の為に王子妃の教育や公務を行った分の給料だ。大丈夫。王子の私費から分割払いさせるから。」


 わあ………相変わらず笑顔が怖いですわ。

 ローア殿下大丈夫かしら……これだと、殆ど私費が残らないだろうに…。


「レミアの要望はあるかい?」


「私は、もうローア殿下とは、必要最低限でしか関りがないようにして頂けば……」


「おぉ。そうだな。接近禁止を付け加えておこう。」

っと、父は書類にスラスラと書き足した。


「あとは、あるか?」

「いえ、充分すぎるくらいです」

 私は父に深く頭を垂れ、感謝を伝えた。すると父の手が、ふわりと頭にのり、よしよしと優しく撫でてくれる。


「レミア……。おまえは良くやった。長い間よく頑張ったな。父は誇らしく思うよ。あとのことは任せなさい。」

 父の手から伝わる温もりと優しさで、私は泣きそうになってしまった。

 これまでずっと、ローア殿下の為に頑張ってきた。この書類を出せば、その頑張ってきた自分が無になる。もう戻れない………でも、それでも後悔しないように、私は、これから幸せになろう。


「ありがとう…お父様」

 父にギュッと抱き着いた。父の前で泣くのは何年ぶりだろう…あぁ……これも殿下と婚約前のことね。落ち着くいい匂いがする。私が落ち着くまで、よしよしと頭を撫ぜてくれていた。


「あ。お父様、私からもご報告がっ!!」

 父のもとから離れ、ソファに座ってお茶を飲みながら、さっきあったマルコニ洋菓子店の騒動の話、カフェでのアミーリア嬢が誰かと会っていた話、少年に依頼しピンクの謎の女の話。をした。


「わかった。こちらでも調べるよ。」

「はい。よろしくお願いします。」


「あぁ……それと。アミーリア嬢には気をつけなさい。もしかしたら、洗脳……魅了など、精神的なものを使うかもしれない。まだ調べの途中だから定かではないが、警戒だけはしておくように。いいね。」


「……魅了、……洗脳ですか?」


「まだ未確定だがな。おそらくそうだろう。なかなか教会の連中がシッポをださないから、少し苦戦しててな……。くれぐれも注意してくれ。」


「はい。分かりましたわ」


 アミーリア嬢の力……ローア殿下に、今日のモーリーという男も、アミーリア嬢が力を使ったせいなのかしら……?私は、思わずブルっと身震いした。


「婚約解消の件は、陛下と私との間だけの極秘事項で動いている。まだ誰にも言ってはいけないよ。しかるタイミングで発表となるから。」


「………ローア殿下は、………なんとおっしゃってました??」

 聞こうかどうか迷ったが、どうしても気になって。ローア殿下が婚約解消についてどう思っているのか……もう殿下には未練はないけど…それでも長年ずっと共にいた人だ。


「最近のローア殿下に怪しい動きをしてるので、まだ殿下にも婚約解消は極秘だ。殿下に不穏な動きがあることは、陛下もご存知だ。なので、この条件でサインをもぎ取れた。………おまえは、ローア殿下とも、アミーリア嬢とも極力関わらない方が良いだろう」


 父は眉をへの字に下げて、少し寂しそうな顔になっていた。

 それを見て、もしかしたらローア殿下も……洗脳されているのかもしれないと思ったが、それでも今の殿下にされたことが無かったことには、……ならない。

お読み頂きありがとうございます。

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