◯9ー8 カジノゲームの闇とは一体……… ?
今回で9章最終話!
「………………お客様のお知り合いですか?」
「ま、まあ………そんなところです」
俺は内心、驚きが止まらなかった。
何で宿にいるはずのソルナさんがここにいるのか?
何で俺のいる場所がここだと分かったのか?
疑問は……………………たくさんある。
「何で私がここにいるのか、気になるよね」
「は、はい。もちろんです……………」
ソルナさんは俺の心の内を見透かしたかのように言う。
「でも一旦、こいつらがやってる“イカサマ”について暴くね!」
「え!?イカサマ……………!?」
「ふふ、私たちはイカサマなんてしていませんよ。何か証拠でもあるのですか?」
「あるから言ってるに決まってるでしょ~?じゃあ、一回さっきのゲームしようよ。私、お金出すからさ!」
「承知しました。それでは始めましょうか」
ということで、ソルナさんも俺と同じゲームを始めた。
ずいぶんと見抜く自信があったが…………大丈夫だろうか?
「ルールはお分かりですか?」
「もちろん!全部把握してるよ!」
「それでは、どうぞ……………………」
カラカラ──────────────
ソルナさんがサイコロを振る。
「……………3と5で8、ですね」
「記録しておくね!じゃあ次、そちらどうぞ~」
「それでは、振らせていただきます…………」
カラカラ──────────
「………1と6で7、だね!つまり………私の勝ち!」
「え…………なんで………………」
「あなた、結構面白い顔するね!まあそりゃそうか………本当なら8に“見せる予定”だったもんね」
「なっ………………何で知って………」
「ど、どういうことですか……………!?」
俺は何も理解ができていない。ソルナさん、何をしたんだろうか………
「こいつは自分の能力………たぶん誤認系だと思うけど、それを相手の視界を対象にして使ってサイコロの目を自分が勝つような目であるように誤認させた………っていうのがカラクリだよ!」
「そ、そんなことが……………………」
(俺が全然勝てなかったのはそれが理由か!最初にお試しで勝たせて、それで良い気になってお金をかけた客を沼へと引きずりこむ。なんて腹黒い商法なんだ!)
「それで私は自分の能力………“許容拒絶”でその能力を拒絶したんだ~!」
「なるほど、だから今回は勝てたんだ………………」
ソルナさんの能力を初めて知れた。
許容拒絶……………すごい能力だ。
何で俺の周りにはすごい能力を持っている人しかいないんだ…………?
「さてどうする…………?イカサマ、バレたけど?」
「私は知りませんよ。もうお客様がゲームをするかしないかは勝手になさってください。ですが………貸したお金だけは返していただきますがね!」
そう、俺はディーラーさんからお金を借りている。
こればかりは…………イカサマとか関係ない。
「ふ~ん………じゃあさっき勝ったお金で返す!これでチャラでしょ?」
「…………………………………足りないですよ」
「何が?ちゃんとミナトくんが借りた分、きっちり返したよ?」
「ここでは、お金を借りて返すときは借りたお金の2倍返さないといけません!」
「え…………………………」
なんてルールだ。こんなの………許されるのか?
「………ちょっとあなた、こっち来てくれないかな?話したいことがあるんだけど」
「承知いたしました」
「ミナトくん、ちょっと待っててね!すぐ話終わらせるから」
そう言って、ソルナさんとディーラーさんは店の奥へと消えて行った。
(だ、大丈夫かな?ソルナさん…………………)
────────────────────
「それで、話とは何ですか?」
「単刀直入に言うと、借金を帳消しにして欲しいな~っと………」
「だから無理だと言ってるでしょう。きちんと返して貰いますよ」
ソルナさんが交渉しても、結果は変わらない。
「でも借金をしたのは、イカサマをしたそっちにも責任はあるでしょ?だからここは、お互い様で全部無かったことにするのが普通だと思うんだけど………」
「そんなこと、私は知りません」
「はぁ………しょうがない。極力使いたく無かったけど、“あの手”を使うしかないか………」
するとソルナさんはディーラーさんに一歩、また一歩と近づいていく。
「何でしょうか?そんなに近づかれて………」
「あなた、私が誰だか知ってる?」
「知らないに決まってるでしょう。初対面なんですから」
「じゃあ……………“これ”を見てもかな?」
そう言ってソルナさんが胸ポケットから取り出したのは………………三日月の形を模したであろうキラキラと輝くブローチだった。
「なっ………それは!まさかあなた……いや、あなた様は…………!」
そのブローチを目にした瞬間、ディーラーさんの表情が今までのクールな表情から一変する。
「ようやく理解してくれた!やっぱりこのブローチのことは伝達してあるんだね………!」
(このブローチ、ずっと嫌いで身に付けずに持ってたけど………今日は役立ってよかった!)
「も、申し訳ありませんでした!」
「まあ私のことを知らないのも無理はないよね~だって私自身、顔を出す確率が天文学的に低いから!ってことで、もちろん帳消しにしてくれるよね?」
「も、もちろんでございます!」
「よし!じゃあ私帰るね!ミナトくんが待ってるから!」
「お、お気をつけて…………………………」
こうしてソルナさんは、俺の借金を帳消しにしてくれた。
だが………俺の知らないソルナさんの秘密がまた1つ、増えてしまったのだった…………
─────────────────────
「たっだいま~!終わったよ~!」
数分後、待っていた俺のところにソルナさんが帰ってきた。
「ソルナさん!それで、どうでしたか……………?」
俺は恐る恐る、交渉の結果を聞いてみる。
「ばっちしだよ!借金はチャラ!これで安心だね!」
「よ、良かった~!本当にありがとうございます!」
「大丈夫だよ!ミナトくんのピンチだもん、私が助けなくて誰が助けるのさ!」
そう言うソルナさんに俺は、自然と安心感を覚えることができた。
「これからも頼りにしますね!」
「うん!そうしてそうして!よし………じゃあ、帰ろっか!」
「はい!帰りましょう!」
こうして、何とか問題も解決した俺たちは帰路についたのだった。
その帰り道───────────
「いや本当、ソルナさんには頭が上がりません……………」
「でしょでしょ!何かお礼してくれても良いんだよ?」
「お、お礼ですか!?………何かして欲しいことありますか?」
「う~ん……………そうだなぁ………」
ソルナさんは顎に手を当てて、考え始める。
(…………あんまりキツくないのがいいなぁ)
「そうだ…………………!」
少しして、ソルナさんが何かを思いつく。
「な、何でしょうか…………………」
「あのさ、ミナトくんのことを…………“みーくん”って呼んでも良いかな……?」
「え……………………?」
それは俺にとって驚きの提案だった。
俺はそんなあだ名で呼ばれたことは人生で一度もない。
「ミナトくんが嫌なら呼ばないけど……………どう?」
「ぜ、全然大丈夫ですよ!」
「やった!じゃあ呼んじゃうね!みーくん!」
(………なんかあだ名で呼ばれるの特別感あるな)
俺はそんなことを思いながら、宿へと歩みを進める。
そして、そろそろ宿に着こうかという時だった────────────
「おっ、何だ見つかったのか!よかった!」
前から現れたのは、フリムさんだった。
「ごめんなさいフリムさんにまで迷惑をかけちゃって………」
「大丈夫さ!それより、もう心配させるほど出歩くんじゃないぞ」
「もう嫌ほど分かりましたから大丈夫です!」
「なら良かった。さあ、疲れただろうししっかり休めよ!」
「はい!」
そうして、夜の小さな事件は幕を閉じた。
まだ………俺の罪悪感のある冒険は続いていく!
次回から10章です!また新たなる街へ行きます!お楽しみに!
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