◯2-2 寝床はどこ?床の上に!
タイトルは 何かのオマージュ わかるかな?
「…………………あれ?」
俺は広々とした新しい部屋に入って少し経った頃、激しい絶望感に襲われていた。
案内されたときこそ、『広くて綺麗でいい部屋だなぁ』と思っていたのだが……………
この部屋には普通の部屋には確実にあり、生活するうえでは必須の“大事なモノ“が存在していなかった。
その"大事なモノ"とは─────────
「ベッド……ないじゃん」
そう……………夜の必需品、ベッドだ。
改めて室内を見回してみると、この部屋にある家具はクローゼットと机に椅子、少し大きめの本棚のみ。
他のものは何一つ置かれていない。
『なるほど、部屋が広く見えていたのも家具が少なくてスカスカだったからか!?』と少し思ってしまう。
(そりゃテレビとかは無いよなぁ……とか思ってけど、ベッドないとかあるか!?今日の夜、俺はどうやって寝ればいいんだよ!?)
「………リルアさんの所、行ってみるか。たぶん、何とかしてくれるだろうし」
そうして俺はベッドを求め、一階にいるであろうリルアさんの元へ向かった。
「リルアさん~!俺の部屋、ベッドないんですけど~!」
1階に降りた俺は大きな声を出す。
「…………………………」
だが、返事はない。その場に沈黙が流れる。
(マジか、今いないのか?どうしようかな………)
そう悩んでいると、俺はもう一つの方法を思いついた。
(アシュアさんに頼ってみるのもいいかもな。『困ったら頼りなよ〜!』とか言ってくれたし……)
そうして俺は2階に上がり、隣のアシュアさんの部屋に向かう。
コンコンコン──────────
「アシュアさ~ん!ちょっといいですか~!」
「……………………………」
こちらも返事がない。またもやその場に沈黙が流れる。
(くっそ、2人ともいないなんてことあるか?マジでタイミング最悪すぎるだろ…………)
そうして打つ手を失った俺は、トボトボともう一度1階に降りてリビングにあるソファに腰掛ける。
(マジどうしよう……ベッド以外で、どこで寝りゃいいんだ……床か?床で寝るのか俺は!)
一人で天井を見上げながら、鬱になりかけていると……………
カランカラン─────
静かな家の中に、玄関の扉の鈴の音が鳴り響く。
「ただいま~!あれっ!ミナトくんどうしたの~そんな死にかけみたいな顔して~」
「ほんとだ、今にでも死にそうね」
俺が待ちに待っていた2人が、帰ってきた。
俺はすぐさま2人の元へと向かう。
「2人とも、どこ行ってたんですか?」
「え~っとね、私はちょっと仕事関係で出てて……」
「私は店関連のことで出ないといけなくてね………」
「それで帰り道でちょうど会って、一緒に帰ってきたんだ~!」
「ほんと、息ぴったりだよね!」
「まあ…………そうね………」
「なるほど………」
ごもっともな理由だった。
これに関しては責めることはない。
「も~し~か~し~て~ミナトくん、1人で留守番するのが寂しくてそんな顔してたの~?」
「ち、違います!それは断固拒否します!」
ニヤニヤとした顔でからかってくるアシュアさんの言葉を、俺は即座に否定する。
「な~んだ、違うのか~つまんないの」
「つまんないってなんですか!」
「じゃあ他に理由があるのかしら?」
「あっ、そうです!俺はリルアさんに物申したいことがあります!」
俺は精一杯の気迫を出して言う。
「何かしら?」
「俺の部屋、ベッドないじゃないですか!どこで寝ろと言うんですか~!」
「え…………?」
そう言うと、先ほどまで普通の顔だったリルアさんの顔が焦ったような顔に変わる。
「えっ?えっ?ベッドなかった?」
「なかったですよ!」
「嘘!ごめん!それは私のミスだわ!」
リルアさんが口元に手を当てて、あわあわしだした。
(リルアさん、こんな焦った顔するんだな………でも、焦った顔もギャップがあって可愛いな)
「どうしよう………今から用意するのは難しいし、何か解決策ないかしら…………?」
「は〜い!私、いい策あるよ!」
そう高らかに声を上げたのはアシュアさんだった。
「どんな策ですか?」
「えっとね、ミナトくんがいいならできることなんだけど…」
そう言いながら、アシュアさんが上目遣いで俺の目を見つめてきた。
「私のベッドで一緒に寝るとか…どうかな~?」
「っ………………!?」
その言葉に俺は頭がパンクした。
(えっ!?これを受け入れればアシュアさんみたいな美人と同じ布団で一夜過ごせるってことか?最高すぎんだろ……なんかここに来て、全てが上手く行きすぎてる気がするな…)
脳内で理性と欲望が衝突しあい、妄想が加速しそうになる。
「ままままマジでいいんですか!?一応俺、男ですけど…………?」
俺は一応、最終確認として聞いておく。
「大丈夫だよ!それにミナトくんと仲も深めたいっていう目的もあるんだから!」
「じゃ、じゃあそれでお願いします!」
「よし!これで解決だねっ!」
アシュアさんが親指を立て、リルアさんにウインクをする。
「ありがとアシュア!ほんと迷惑かけてごめん……ミナト」
リルアさんが申し訳なさそうに言う。
「いやいや大丈夫ですよ!気にしないでください」
俺は気分よく、笑顔でそう答える。
「明日にはベッド用意しておくからね」
「はい!お願いします!」
───────この時の俺の頭の中は……夜のことしか考えてなかった。
これ……どうなってしまうんだ!?
一体、2人はどうなってしまうんでしょう?
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