◯8ー1 二人へまさかの特訓志願!?
今回から8章です!
「俺を特訓して欲しいんです!」
俺が発したその言葉は、場の雰囲気を一変させた。
「…………ミナトくん、本気で言ってるの?」
「本気です!お願いします!」
「じゃあ何で特訓して欲しいか教えて欲しいわね。理由がないと、そんなの出来っこないわ」
「理由ですか……………そんなの一つです!」
俺には、しっかりと理由があった。
俺が特訓して強くなりたい理由、それは………………
「2人に、守られ続けるのが…………情けなくって……………俺だって強くなって、2人の役に立ちたい!恩を返したい!そう思ったんです!」
“2人の役に立ちたい”。それが理由だった。
黒月との戦いの時、俺は何もできなかった。
全部2人がどうにかして、俺は外から見ているだけ。
そんな自分が………………本当に情けなかった。
「…………………………」
「…………………………」
2人は何も言わない。
(やっぱり…………………無理なお願いだっただろうか?こんな俺が『特訓してください』なんて言っても、2人が受け入れてくれるはずないよな……………)
「はぁ、全く………………素直に守られ続ければいいのに」
「そうだよ!私たちが守ってあげるって言ってるじゃん!」
2人はやはりこのお願いに否定的なようだ。
たぶん、俺を危険な目に合わせたくないという思いも入っているのだろう。
「でもね………………ミナトがそこまで言うなら………試すくらいはしてあげてもいいわよ」
「…………………え?」
さっきまでの否定的な意見とは真逆の言葉が、リルアさんの口から発せられた。
「り、リルア…………………本気なの?」
「ええ、本気よ。私はミナトの覚悟を見たい。そう思っちゃったのよ…………」
「…………………分かったよ!リルアがそこまで言うなら私は何も言わない!私もミナトくんの覚悟を尊重する!」
「2人とも…………ありがとうございます!」
「じゃあ明日の朝、その覚悟を見る。準備しておきなさい!」
「はい!」
こうして、何とか2人を説得できた俺は………明日に向けて胸の鼓動を鎮めるのだった。
───────────────────
翌日。
運命の分かれ目になるであろう日。
俺たちは家から少し離れた平原にやってきた。
「ここなら何しても周りに影響は出ないし、迷惑はかからないわ」
「…………………………」
俺は目を閉じて、集中力を高める。
「さて、始めましょうか」
「お願いします!」
俺とリルアさんが向き合う。
目の前からは、鋭い目。だが、これくらいじゃ俺はへこたれない。
「じゃあ、まずは……………………」
次の瞬間───────────
「うぁ…………………何だこの圧は……………!」
この地面に貼り付けられそうなほど圧の強いオーラは………リルアさんのオーラだ!
俺は倒れ込みそうになる。
「り、リルア!?ちょっと強すぎじゃない!?」
「このくらいで倒れてるんじゃ、ミナトに覚悟はそこまでのものだったってことよ。あれだけ言ったんだから、このくらいは軽々と突破しないと…………」
「立ち上がるんだ……………俺!」
俺は自分に言い聞かせる。
言い聞かせることで、何とか俺は立ち上がることができた。
「よし、立ち上がったわね!じゃあルールを説明するわ。ミナトが私に少しでも触れることができれば、特訓を受けることを認めてあげるわ」
「分かりました!」
(さて……………どうするかな……………いったん正面から行ってみるか)
俺はリルアさんに向けて突っ込む。
だが─────────────
「うわ!何だこれ!進めない!?」
ある一定の場所から、前に進めなくなっていた。
見えない壁が、あるみたいに。
「さて、ミナトはこれをどう突破してくれるのかしらね」
「リルア…………流石にいじめすぎでしょ!私でもあれ突破できるか分かんないよ!?」
「まあまあ、調整してるし………そんな完璧なオーラ壁じゃないわよ」
俺はその会話を耳に入れる。
やはり、これはリルアさんが作り出したオーラ壁だ。
なら、正面突破は難しい……………じゃあ!
(調和を使って、オーラ壁の衝撃を無くす!これで突破できるはずだ!)
俺は調和を発動する。
そして、リルアさんへ再度突っ込む。
「これでいけるはずだ…………!」
だが───────────────
「なっ………………進めない!?何でだ!?」
「調和対策はもちろんしてるわよ。そんな簡単に突破できると思わないこと!」
「くそっ………………………!」
さすがリルアさん。対策をきちんとしている。
これで俺は策なしだ。どうしよう…………………
数分後────────────
(くっそ!どんなに考えても突破するビジョンを見出せない!)
俺はもう諦めかけていた。
「そろそろ、諦めるかしらね…………………」
「ミナトくん……………………」
「最後に……………本気で突っ込んでみるか!もしかしたらいけるかもしれないし………」
俺は助走を取る。
そして──────────突っ込む。
「うぉぉぉ!!」
でもやはり、オーラ壁に身体が受け止められる。
(やっぱり………………無理だよな……………ん?)
だが、俺はあることに気づく。
(なんか…………ちょっとオーラがないところがあるぞ…………)
俺は、本当に小さいオーラの隙間を見つけた。
人はもちろん、小動物すら通れなさそうな隙間だが……………
「でも、この隙間から突破するしかない!」
俺はその隙間に体を押し当てる。
「おっ、隙間を見つけたわね…………そこからどうするのか…………」
「行けぇー!!!」
その時。
フワァァ───────────
「え?何だこれ?」
「え…………!?」
俺の身体が、何かを纏う。
そして。
バリーン!────────
オーラ壁が、崩壊した。
「なっ…………………!」
「す、すごい!すごいよ、ミナトくん!」
俺は体に纏ったものをそのまま、リルアさんに突っ込む。
「届け~!」
俺は目一杯手を伸ばす。だが………………
グラン─────────
俺の視界が突然歪む。
そして………倒れ込む。俺は後一歩、届かなかった。
「……………ミナト」
「ミナトくん……………」
「…………一旦、帰りましょうか」
────────────────────
数時間後。
「はっ……………!」
俺は目を覚ます。そして、全ての出来事を思い出す。
「そっか俺………ダメだったんだっけ…………」
ガチャ───────────
「あら、起きたのね」
その時、リルアさんが部屋に入って来る。
「り、リルアさん………………」
「まあ…………惜しかったわね………」
「……………………………」
俺は下を向く。
覚悟を、証明できなかった。
それが本当に悔しかったのだ。
「そうだ、一つ言っておかないとないといけないことがあったわ…………」
「……………何ですか?」
「ミナト、明日からあなたはここから出て行ってもらうわ」
「…………………は?」
「じゃあ、そういうことで」
そう言って、リルアさんは真顔で部屋から出て行った。
俺はもちろん…………理解が追いついていなかった。
ミナト……家を追い出される!?なんで!?次回はどうなってしまうのか!?お楽しみに!よければ感想、評価、ブクマよろしくお願いします!




