◯7ー5 命知らずの男を止めろ!
どうやって事件は解決されるのか………
(やべぇ、早く止めないと大変なことになるぞ……………!)
俺の危惧するべきことは、“アシュアさんが働いてくれるか”だけではなかったのだ。
“リルアさんが喧嘩しないようにする”ということも気をつけないといけなかった。
「いいじゃないっすか~こういうイベントの時くらいハメ外しましょうよ~」
「…………………………………」
俺の気も知らず、男はリルアさんに絡んでいく。
リルアさんの表情を見るに、相当怒りを堪えている。
これは非常にまずい事態だ!
俺はリルアさんの元へと到着する。
「ちょ、リルアさん!怒りを抑えてください!」
「…………………」
俺が話しかけても、リルアさんは反応しない。
ただ、目の前の男を睨みつけているだけだ。
「おっ?お前、このお姉さんの彼氏か?」
「違いますよ!」
「何だ、違うのか~じゃあ落とす方法知らない?」
「知らないですね~………………」
近くに来るとより分かる。
この男、相当アルコールが入っている。
ほぼ理性ないんじゃないか?だからこんなぐいぐい来るんだ…………
ほんと、酔っ払いがこの世で一番めんどくさい。
(どうするか…………このままだとやばいしな………俺がこの男を追い払うか?いやいや、絶対無理だ!)
酒に酔った奴を追い払うのはほぼ不可能だ。
(誰かを頼ろう……………アシュアさんは?)
そう思い、俺はアシュアさんの方を見る。
「お姉さん、めっちゃ落とせたよ!」
「すごいね~!これは将来有望だ~!」
………………子供達と楽しそうに遊んでいた。
あの中に突っ込むのはダメだろう。
協力は得られなかった………つまり、俺がどうにかするしかない。
不安だ………失敗したら確実に無事じゃ済まない!
「お姉さん、そろそろ俺と一緒に来る気になった~?」
そう言いながら、男がリルアさんの肩を触る。
それが……………………トリガーだった。
「………………触んな、ゴミ男」
「は…………………?」
リルアさんの言葉に呆気に取られたのか、男の顔がきょとんとする。
だがすぐに、その表情は怒りへと変わった。
「てめえ、生意気だぞ!せっかく俺が誘ってやったっていうのに!」
「そんなの知らないわよ。というかこんな公共の場所でナンパする奴になんかついて行きたくないわ。だからゴミ男って言ってるんじゃない」
「マジでふざけんなよ!」
男がリルアさんの胸ぐらを掴む。
「何?喧嘩する?いいわよ、あんたみたいなのに負けるはずないもの」
「そんな口聞けるのも今のうちだ!」
「ちょっと!リルアさん!喧嘩はやめてください!」
俺は喧嘩を止めようと声を出す。
その言葉が届いたのか、リルアさんが俺の方を向いて頷く。
(わ、分かってくれたのか………?良かった!喧嘩は起きなさそうだ………)
だが──────────
「まずは一発、顔殴ってやるよ!」
男がリルアさんへと拳を振り上げる。
リルアさんは………………………動かない。
そのまま、男の拳がリルアさんに当たる…………と思った。
しかし…………その拳がピタッと空中で止まる。
「はい、そこまで~!お兄さん、ちょっと本部来てくれる~?」
「え?は?」
予想外の介入だったのだろう。男の表情が驚きへと変わる。
そこに立っていたのは………………腕に腕章をつけた男の人。
おそらく、運営の人物なのだろう。
「じゃ、こいつ連れてっといて~」
「了解です!」
その男の人は、もう1人の運営に男を引き渡した。
「大丈夫でしたか~?よく沸くんですよ、こういうイベントではバカが」
「……………あれ?あんた………………」
「ん………………?あっ!お前は!」
どうやら2人は面識があるらしい。
「あの時のクソ運営じゃない!」
「あん時の暴行女じゃねえか!」
「暴行女って何よ!ちょっと殴っただけじゃない!」
「それを暴行って言うんだよ!というか何だよ!クソ運営って!」
「えっと…………お二人はどういうご関係で…………?」
「こいつが、前のサマーフェスティバルの時の運営よ。話したでしょう?」
「ああ、なるほど……………」
どうやら前回のリルアさんの喧嘩を止めた運営の1人らしい。
「ったく、また喧嘩しやがって」
「今回は喧嘩してないわよ!ちゃんと我慢したから!」
「まあいいか…………頼むからもう問題も起こさないでくれよ?こっちも対応するのがめんどくさいからな」
「はいはい、分かったわよ」
「マジで頼むぞ?じゃあな」
そう念を押して、運営の男は帰っていった。
「はぁ、また運営に目付けられちゃったわね……………」
「まあ、しょうがないですよ。今回はリルアさん悪くないし」
「前回も私は悪くないんだけどね?」
「でも、手出してるじゃないですか!」
「根本的には私悪くないもの!」
「どんな感じだったんですか?」
「……………今回とほぼ一緒、とだけ言っておこうかしら」
つまり……………ナンパされたということか。
それで怒りが抑えられなくて、って感じかな。
そう思うと、今回はよく我慢したな!?たぶん、俺の声掛けも効果があったのだろう。
「ごめんね、ミナト。いろいろ迷惑かけちゃって」
「全然大丈夫ですよ!」
「お詫びと言っては何だけど………遊んできていいわよ」
どうやら、俺を遊びに行かせてくれるらしい。
「え!いいんですか!手伝いとか、困らないですか?」
「大丈夫よ。あとは私とアシュアでどうにかするし!アシュア~!ちょっと来て~!」
リルアさんがアシュアさんを呼ぶ。
「なに~!」
子供達と遊び終えたであろうアシュアさんがこちらへと来る。
「この時間からは私たち2人で回すわ。ミナトを遊ばせに行くから」
「え~!私も遊びたい~!」
「じゃあ…………ここにある物、全部売ったら遊びに行ってもいいわよ」
「ほんとに!?よし、全力でやるぞ~!!」
「…………ってことだから気にせず楽しんできなさい」
「ありがとうございます!」
「いってらっしゃ~い!」
ということで、俺は遊びに行けることになったのだった。
──────────────────
「さてと、どこに行こうかな…………」
俺は辺りを見回す。
海の時と一緒でここも魅力的な物が多い。
優柔不断な俺は、すぐにこれと決められない。
「一旦、歩き回ってみるか~」
歩き回れば何か目を引くものが見つかるかもしれないし。
ということで、俺のサマーフェスティバル会場散歩が始まった。
でも俺は、今までの傾向からするに確実に何か起こると思ってしまう。
今回こそは何も起こるな………!そう、願ってしまうのだった。
次回はミナトの散策回!まあ、確実に何かが起こるんですが………それはお楽しみということにしといてください!よければ感想、評価、ブクマよろしくお願いします




