◯7-4 祭りだ!祭りだ!また事件だぁ…………!?
ま〜た事件だよ……………
『サマーフェスティバル、ついに開幕で~す!』
聞き覚えのある声が会場に響く。
「あの子、開始のコールするのね………………なんか意外だわ」
「そうですね………結構運営の中でも偉い方なんですかね?」
「もしかしたらそうかも……あの子、意外にそういうポジション就くことあるし」
ずっと思ってたけど……………ソルナさんって、一体何者なんだ…………?
内面は分かってきたけど、外面は全然分からない。
普通、逆なんだけどな………………………
「さて、始まったってことはお客さんが来るわよ!接客の準備しておきなさい」
「はい!」
「ほらアシュアも!だらけてないで準備しなさい!」
「はぁ~い!」
アシュアさん、大丈夫か…………?
寝ぼけたみたいな声だけど。
どうしようかな、これで全然働いてくれなかったら…………
たぶん、リルアさんに怒られるだろうな。アシュアさんが。
そのことをたぶん分かってるだろうし、ちゃんと働いてくれるだろう。
俺が今日、危惧していることはコレだけだ。
「さて、全力でいくわよ」
「今日のやる気、全部出し切ります!」
ということで、サマーフェスティバルが始まった。
物が売れるか売れないかの、俺たちの戦いも始まった。
────────────────────
「いらっしゃいませ~!美味しいですよ!」
「ほらアシュア、食材の用意が滞ってるわよ!」
「これでも頑張ってるんだよ~!」
「いつもの100倍頑張りなさい?」
「そんな元気ないよ~!」
アシュアさんはリルアさんのサポート。リルアさんはヤキソバ担当。俺は射的の運営と、接客担当だ。役割分担して、上手く回していた。
その結果、俺たちの店は結構繁盛した。
お客さんもあまり見ない食べ物であるヤキソバに興味を示してくれたようで、どんどんと売れて行った。
「おっ!君、上手いね~!じゃあこの中から景品どうぞ!」
射的の方も、ヤキソバに劣らず繁盛していた。
特に子供たちに人気だったな……………なんか何人か子供の顔が曇ってた気もするが。
俺は原因を探ってみたのだが…………原因は一つしか考えられなかった。
「はぁ、やっぱこの人形…………精巧に作りすぎだったんじゃないか?」
そう、アシュアさんの作った人形だ。
後でアシュアさんに言っておこう。『怖がってる子供いましたよ』って。
アシュアさんの心を傷つけてしまうかもしれないが………まあしょうがない。
その時─────────────────
「ねえねえ、射的のお兄ちゃん!私たちと勝負しようよ!」
「そうだぞ!俺たちと勝負しろ!」
小さい子供が勝負を仕掛けてきた。
年は大体、10くらいだろうか?
「勝負したいのか?」
「うん!」
「よし!やってやろうじゃねえか!年上舐めんなよ~!」
「よっしゃ~!」
この勝負、受けない義理はない。
射的得意を名乗ってるだけあって、負けるわけにはいかないのだ!
特に子供に負けるなんて…………俺のプライドが許さん!
ということで、負けられない戦いが始まった。
「ルールは、3発撃ってポイントが高い方が勝ちな!」
「受けてたとう!」
「じゃあまず俺からだ!」
まずは少年が弾を放つ。
この少年に、何かあだ名をつけておこう。半袖だから…………半袖小僧とかでいいだろう。
すまん、少年よ。俺はネーミングセンスっていうのが皆無なんだ。
「よっしゃ~!結構いいんじゃないか?」
「2点だな。まあまあだな」
「ボーナス的狙いすぎたか~!」
「じゃあ次は俺だ!年上の実力、見せてやんよ」
次は俺が弾を放つ。
「こういうのは、確実性が大事なんだよ!」
俺はノーマル的だけを狙う。
結果は…………………全弾命中。
「おい~!もっと攻めろよ!ダサいぞ!」
「うるせえ!これが年上の勝ち方だ~!」
勝てなくても負けなければいいんだ!
これで3点獲得。ボーナス的さえ取られなければ、負けない。
「大丈夫!私が頑張るから!」
最後は少女が弾を放つ。
この少女にもあだ名をつけておこう。
細い体つきだから……………華奢少女でいいだろう。
華奢なんて言葉、久しぶりに使ったかもしれない。
「よし二発命中!あとはボーナス的に当てれば……………」
緊張感のある雰囲気が流れる。
(頼む!当たるな当たるな当たるな!)
パァン───────────カコン
「やった~!」
「よくやったぞ~!」
「そ………そんな……………」
華奢少女が放った弾は、俺の祈りも虚しくボーナス的に命中。
俺は……………………負けた。
「まあ負けることもあるって!元気出せよ!」
「…………その言葉で余計にプライドに傷がつくよ」
「じゃあな!射的の兄ちゃん!まあ勝負しようぜ!」
「じゃあね~!」
「今度は……………負けんぞ」
こんな気持ちになったのは初めてだった。
俺は勝負事に全力をかけたことがない。
全力で戦って負けた奴の気持ちが、今は痛いほど分かる。
「ミナトくん………ダサい負け方したね!」
「アシュアさんまで心の傷抉らないでください………」
「まあリルアのところで傷心を癒してきなよ!私が射的担当しとくから!」
「あ、お願いします……………」
ということで俺は、リルアさんの元へと向かう。
「どうですか?ヤキソバの売れ行きは」
「いい感じね。もう少しで全部売れるわ。客足は落ち着いてきたけどね」
「売れてて良かったです」
「はい、ミナト。ヤキソバあげるわ。これで心の傷、癒しなさい」
「リルアさんまで……………………」
(これ、一生擦られ続ける奴だ………………終わった…………)
俺はそう思いながら、少し離れた場所で焼きそばを口へと運ぶ。
…………なぜか、いつもより塩辛く感じた。
『ヤキソバ一個くださ~い』
「は~い、少々お待ちを~」
どうやら、お客さんが来たらしい。
「はいどうぞ~」
「あざっす!………………」
なぜか客の男が、その場から動かなくなる。
その眼は、リルアさんを見つめていた。
「…………どうしました?」
「お姉さん、可愛いっすね……………俺とこのあとどうすか?」
「は?いやですけど?」
「そんな拒否しなくていいんすよ~!もっと欲に忠実になりましょうよ~」
リルアさんが鋭い目つきで睨んでも、男は引かない。
よく見れば、顔が赤い。アルコールが入っているのだろう。
「……………………………」
リルアさんの雰囲気が、時間が経つにつれて重くなっていく。
これは、まずい!もう少しで喧嘩になってしまう!
俺はそれを危惧して、リルアさんの元へと向かうのだった。
リルアさん、まさかのナンパされる!ってことで次回はこの男をミナトがどうするか、に注目!お楽しみに!よければ感想、評価、ブクマよろしくお願いします!




