◯6-2 本当に参加しなきゃダメ?
さあ、リルアさんはサマーフェスティバルに参加してくれるのか!?
お店の閉店時間から、約1時間後。
俺たち3人は夜ご飯を食べていた。
「やっぱリルアのご飯は美味しいね~!」
「そうですね!本当、美味しいです!」
「そう言ってくれるとこっちも作り甲斐があるわね」
リルアさんのご飯は今日もおいしかった。………というか美味しいものしかない。
さすが自分で『私の作ったものは全部美味しい』って言ってるだけはある。
俺もこんな美味しいもの作れるように、今度教えてもらおうかな?
…………………挫折する自信しかないが。
「あっ…………そうだ」
俺はあることを思い出して、懐からあるものを取り出す。
「リルアさん、これあげます」
昼に常連さんにもらったサマーフェスティバルのポスターだ。
「これは………サマーフェスティバルの!何で持ってるの!?」
「常連さんから貰いました。リルアさんも参加して欲しいって」
そう言った瞬間、リルアさんが苦い顔をする。
何か嫌な思い出を思い出すかのように。
「やっぱり今年もか………はぁ…………」
どうやら、リルアさんは参加したくないようだ。
「今年こそ参加したら~?毎年私は言ってるじゃん!」
「でもね~…………………」
「そんなに嫌なんですか?」
俺は気になって聞いてみる。
リルアさんは結構お客さんには尽くす方だ。
なのに、サマーフェスティバルには参加しない。
それが、俺の中で引っかかったのだ。
「だって、めんどくさい客が多いんだもの」
「なるほど…………」
確かに、こういう系のイベントは変なやつが何人かはいる。
お酒が入って店頭で暴れる奴、ナンパ目的で店の人に話しかける奴などなど………
そんな奴らを相手にするのはどっと疲れるだろう。
しかもリルアさんだ。喧嘩になったら相手は……
「まあ………前出た時にトラブルにもなったしね~」
「あっ、その話は………」
………とっくに俺が懸念したことは起こっていたようだった。
「言っちゃうもんね~!リルアなんて怖くない~!」
今日は珍しく、リルアさんを怖がっていない。
今日のアシュアさんは一味違うようだ。
「それでそれで?どんなことが起きたんですか?」
「実は…………リルアは数年前、お客さんと大喧嘩したんだよ!」
「う~わ……………」
大喧嘩までいってたか………こりゃ怪我は確実だな。
というか相手、生きてんのか?
「それで、相手の人は大丈夫だったんですか?生きてますか?」
「ちょっと!私の心配もしてよ!」
「誰がリルアさんの心配をしますか!あんな強いのに!」
「ミナト………案外酷いこと言うのね」
そう言うと、リルアさんがむす~っとふくれっ面をする。
どうやら、拗ねてしまったようだ。
…………リルアさんってこんな顔するんだ。結構意外だ。
でも、拗ねてる顔も本当綺麗だ。…………何でこんなに顔が映えるのだろうか。
「まあリルアは置いといて、そのお客さんは大丈夫だったよ!ちょこっと顔が腫れてたけど」
「死んでないなら良かったです!」
「でもねぇ………色々と運営に言われちゃって。だからここ数年は出てないんだ~」
「あのクソ運営が変わっていたら出てやってもいいわよ」
クソ運営って…………どんなこと言われたんだよ…………
そういや俺もよく現実で、“クソ運営マジで氏ね!”って言ってたな。
…………運営=クソは世界共通らしい。
「そういえば……ソルナが運営の仕事するって言ってた気がする」
「へぇ~、ソルナさんですか」
やっぱあの人結構偉いポジションなんじゃないか?
というか、ソルナさんが運営なら………………
「ソルナか…………でも、また何かあったらめんどくさいし……」
それでも、リルアさんはやはり参加に消極的だ。
それだけあの時の記憶が色濃く残っているようだ。
「やりましょうよ!」
「そうだよ!」
俺とアシュアさんが全力で説得する。
果たしてどうなるか……………
「……………分かったわよ。参加するわよ」
「ほんとですか!」
「やった~!」
「ええ、今度ソルナに出るって言っておいて」
「分かりました!」
説得に成功した。これでサマーフェスティバルに参加できる!
こういうお祭りの店員側、してみたかったんだよな。
学校の文化祭とかでしても良かったのだが………俺はいかんせん立候補する勇気がないし。
「はぁ~、なんか疲れたわ。今日はもう寝るわね」
「はい!おやすみなさい!」
リルアさんは自分の部屋へ帰っていった。
「さ~て、今日は私も早く寝ようかな!おやすみ、ミナトくん!」
「おやすみなさい!」
アシュアさんも自分の部屋へ帰っていった。
─────リビングには、俺1人だけ取り残された。
「…………………俺も寝るか」
そうして孤独感を感じた俺も、今日は早く寝ることにしたのだった。
───────────────────
翌朝、10時。開店時間。
強い日差しが窓越しに入ってくる。
俺たちは店を開ける準備を済ませ、気合を入れていた。
「さて、今日も頑張りましょう」
「はい!」
「今日は昨日より暑いらしいから、かき氷たくさん売っちゃいなさい」
「頑張ります!1万個は売ります!」
「そんなに在庫はないのだけど……まあ、そのくらいの気持ちでやりなさい!」
だが、俺たちが気合を入れた瞬間……………………
バタンッ──────────────
店の扉が勢いよく開く。
「店長さん!こいつを助けてやってくれ!」
入って来たのは………冒険者であろう男性。
肩に担いでいたのは、同じく冒険者であろう男性だった。
「何があったの?」
「いきなりこいつが倒れちまって!」
「なるほど…………」
「ど、どうすればいい?」
「じゃあこっちに寝かせて」
「分かった!」
そうして倒れた男性をベッドへと運ぶ。
倒れた男性の表情は…………かなり苦しそうだ。
「じゃあ急いで診るわね!」
リルアさんがテキパキと診察を始める。
「っ!この症状は!」
診察を始めてすぐ、リルアさんの顔色が変わる。
何かやばい症状なのだろうか?
「店長さん、どうかしたのか!?」
「ええ、この症状は…………“アレ”ね。しかも重いやつよ」
また“アレ”だ。常連さんも言っていた、”アレ“。
現実でよく3年前くらいに聞いていたフレーズだ。
……多分意味は違うが。
一体何なんだ?”アレ“って。
「店長さん!重い“アレ”なら命に関わるんじゃ…………?」
「最悪はそうね。急ぐわ」
「あ、あの~?忙しいとこ申し訳ないんですけど……"アレ"って何ですか?」
俺は気になって“アレ”の正体を聞いてみる。
もしかしたら俺も罹るかもしれないし、聞いておいて損はない。
「え!?君、“アレ”を知らないのかい!?」
男性が唖然とする。そんなに驚くことなんだろうか?
もしかして、”アレ“っていうのはこの世界だと常識なのか?
「ごめんなさいね。この子はちょっと前に記憶喪失になって……色々知らないことがあるのよ」
「なるほど、それは大変だ…………」
「ミナト、知りたいなら教えるわね」
どうやらリルアさんが教えてくれるらしい。
俺の知らないことはいつもリルアさんが教えてくれる。本当、ありがたい。
「お願いします!」
「いい?“アレ”っていうのは…………」
俺はこの後、“アレ”の正体を知って戦慄するのだった。
さ〜て………"アレ"ってなんだろうね?みんな予想してみてね!次回もお楽しみに!
よければ感想、下の星もポチッとお願いします!
続きが気になった方やこの作品を気に入ってくれた方はすぐ下のボタンから【ブックマーク】もぜひよろしくお願いします!




