◯1-2 お姉さんの疑心!?
本編第2話です!最後まで読んでいただけると嬉しいです!
街に向かう途中。
「どうしたの?足、大丈夫?」
俺の歩くペースが目に見えて落ちていたからだろう。
異変に気づいたお姉さんが、立ち止まって心配そうに覗き込んできた。
「大丈夫ですよ!迷い込んだときにあちこち歩き回ったら、疲れちゃっただけですから!」
「ならいいんだけど………無理しちゃ駄目だよ?」
このお姉さん、本当に優しい人なんだろうな。
なんかこう、優しい人オーラが溢れ出てるというか………
「というか本当、災難だったね~!いきなり記憶喪失だなんて」
「そ、そうですね」
「私さ、『記憶喪失です』って言う人初めて会った!」
お姉さんはテンションが上がってるようだ。
テンション上がってる所悪いのだが……ごめんお姉さん。俺、本当は記憶喪失じゃないんだ。
…………なんて口が裂けても言えないのだが。
「ま、まあそんな頻繁に会ったらそれはそれでおかしいですけどね」
「あはは!まあそうだね!」
笑い声をあげていたお姉さんだったが、ふと足を止め、じーっと俺の顔を覗き込んできた。
「というか、マジで本当に記憶なくなっちゃったの?嘘とかじゃないよね!?」
「ほ、本当ですよ!嘘なわけないじゃないですか!」
(やばいやばい、疑われてる…?いきなり大ピンチじゃねぇか!!)
まさか、こんなすぐ危機が訪れるなんて!?
俺の心臓が跳ね上がり、冷や汗が頬を流れる。
「あはは!別に疑ってるわけじゃないよ!冗談で聞いてみただけ!」
「なんだ、疑われてると思ってびっくりしました!」
(はぁ、よかった。どうなるかと思ったけど、一旦、大丈夫そうだ…………)
マジで冗談でよかった。
たぶん嘘だってバレたら───────
『え!?私目当てでそんな嘘ついてたの……?気持ち悪いね………』
なんて軽蔑された目で見られた挙句、俺の人生ジ・エンドだろうからな。
初日でジ・エンドだけは避けたい。
さすがにダサすぎる。
「……というか君は全然嘘つかなそうだしね!」
「そ、そうですか………?」
「うん!一目見るだけで、すっごくいい人って分かるよ!」
「ありがとうございます、そんなこと風に言ってもらっちゃって………」
『いい人そう』なんて言われたのは何気に初めてかもしれない。
「あれ?照れてる?照れてるよね?」
「いやいやいや、そんなことないですって!」
「でも顔赤いよ〜?絶対照れてるよね!?素直になればいいのに~」
「だから違いますって!」
嘘だ。もちろん、本当は照れている。
俺は女性から慣れないことを言われると、照れてしまうようだ。
まあ、女性耐性なんて持ち合わせていないし……
さらに変なプライドのせいで俺は素直になれない。
「素直になれなくて可愛いね!………まあ、一旦話を戻して…………1つ質問いいかな?」
「何ですか?答えられる範囲なら答えますよ!」
「じゃあ逆に、なにか覚えてることってあるの?」
「えっと、まあ自分の名前とかは分かりますけど……」
「家族とか、友達とか、住んでたところとかは覚えてないんのかな?」
「そうですね……全然覚えてないです」
「もちろん、記憶がなくなった時の記憶もないんだよね?」
「はい…………」
俺は適度に嘘をついておく。
全て嘘をつくと、後々ボロが出てしまった時に面倒になる可能性があるからだ。
「結構致命的なところ忘れちゃってるね……誰かを頼ろうにも分からないっていう絶望的なやつ」
「ほんと、なんでこんなことに…………」
俺は拳を握りしめる。
こういう演技も、結構重要なのだ。
「まっ!私たちがなんとかしてあげるから安心しなよ!」
そう言ってお姉さんは俺の肩を叩いて、励ましてくれる。
その時のお姉さんは、天使に見えた。
「あ、ありがとうございます!」
「ほら、見て見て!ちょうど良く街が見えてきたよ!」
お姉さんが指差した先を俺は見る。
俺の視界に映ったのは整えられた風景。
住宅、自然、全てが一体となった綺麗な街だった。
こんなきれいな街、現実にもそうそうない。
「すごく綺麗なところですね!」
「ふふん、ここら辺だと一番整ってる街だからね!」
確かに見渡す限り、数多くの家屋や施設が立ち並んでいる。
「お店とかたくさんあるし、仕事もたくさん募集があるからここに来る人も多いよ!」
「へぇ~すごい街だなぁ………」
「じゃあ私の知り合いのところ行こうか!」
「はい!」
「ちなみに、その人はお店をやってるんだよ~」
「そうなんですね」
異世界の街か……………
一体どんなものが売られているんだろう?
ファンタジー特有の怪しい薬とか、ゲテモノ料理の店とかがあったりするんだろうか。ちょっと気になる。
「まあ緊張しなくていいからね!圧はすごいけど……」
「え、はい………」
圧がすごいってなんか怖いんだが………?
実を言うと、俺は圧に弱いタイプなのだ。
だから、極度の圧をかけられると簡単にメンタルブレイクしてしまう。
「よし!もうちょっと頑張って歩こう!」
「はい!」
そうして俺は嘘がバレることを警戒しながら、お姉さんの知り合いの元に向かうのだった。
もう一人のお姉さん、どんな人なんだろうなぁ……
嘘っていいよね……人の信用失うけど。
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