◯2ー6 仕事、結構きついじゃん!
2章はこれで終わりです!
およそ3時間くらい経っただろうか。
俺はその時間、リルアさんに仕事のノウハウを教えてもらっていた。
「じゃあ最終確認ね。①救護、相談は私を呼ぶ。②どこに何が置いてあるか覚える。③笑顔でお客さんと関わる。この三つを徹底すればいいからね!」
「はい!頑張ります!」
「じゃあ店開けるわよ~」
(覚えることは多かったけど、色々と収穫もあったな……)
まずはお金のこと。この世界では円ではなく、カルという通貨を使うらしい。
円と価値があまり変わらなさそうなところはありがたい。
そして、この世界の物を少しだが知ることができた。
これが一番の収穫だろう。
(まあ……………一旦仕事頑張るか!)
「いらっしゃいませ!」
「こちらの商品はですね…………」
「またのご来店、お待ちしてます!」
こうして俺は1日中、働きに働きまくった。
─────────────────
その日の夜。
「あ~!疲れた!」
俺はソファに座り、疲れた身体を休めていた。
(めっちゃ大変だった~!立ちっぱなしで足が痛いし……まさか!この店はブラック!?)
「…………………そんなわけないか」
俺が脳内で自問自答をしていると─────────
「ミナト、お疲れ様。どうだった?初日は」
リルアさんが話しかけてくる。
「めっちゃ疲れました!」
「そうよね~………まあいつかは慣れるから、頑張るのよ」
「はい……」
(慣れるまでどのくらいかかるんだろうか……早めに慣れたいな)
カランカラン─────
そんな会話をしていると、玄関の扉が開く。
「たっだいま~!」
「アシュア、おかえり」
「おかえりなさい………」
「あは!ミナトくんめっちゃ疲れてんじゃん!そんな大変だった?」
アシュアさんが笑いながら聞いてくる。
「めちゃくちゃ大変でした…………」
「まあいつかは慣れるから、頑張りなよ!」
「ほら、アシュアもおんなじこと言ってる」
「あっ、ほんとに?」
「やっぱり仲良いんですね、2人とも」
「まあ何年も一緒にいるからね~」
「“何年”じゃなくて“何十年”でしょ」
「え~なんのことかな~?」
アシュアさんが有耶無耶にしようとする。
「アシュア、諦めなさい。あんたの年齢はもうバレてるのよ」
「え?なんでバレて……リルア~!教えたな~!」
「あんたが最初に教えたんだからお互い様でしょう?」
リルアさんは勝ち誇った表情をしている。
「ぐぬぬ…何も言い返せない…」
アシュアさんは逆に歯を食いしばっている。
そしてなぜか───────
「ねぇミナトくん!」
ぎゅむっ─────
いきなりアシュアさんがくっついてくる。
何があったのか、なんの目的があったのかは分からない。
ただ、悲しそうな顔をして俺の目をじっと見つめる。
「ど、どうしたんですか!?そんな顔して……」
「私のこと嫌いにならないでね!」
意味が分からなかった。
「………え?ちょ、なんでいきなりそんな話に……」
「だって、私が若くないの分かっちゃったんでしょ?なら、嫌いになっちゃうかな~って……」
「いやいや!そんなことで嫌いになんてなりませんよ!安心してください」
「ほんと?なら良かった~」
そう言ってアシュアさんは笑顔になる。そこに先ほどまでの悲しい顔はない。
「というかアシュア。その理論だったら私も嫌いになられてるんだけど?」
リルアさんが呆れたような顔で言う。
「え?ミナトくんってリルアのこと嫌いなんじゃ……」
「……………え」
リルアさんの顔から血の気が引く。
「な、なんでそうなってるんですか!?」
「え?嘘、嘘、嘘!嘘よね!?ミナト!」
リルアさんがこの世の終わりのような顔をして、俺の肩を揺らす。
勢いが強すぎて、目が回る。
「落ち着いてください!嫌いなわけないじゃないですか!」
「良かった……アシュア、後で覚えときなさいよ…………」
「なんでー!」
「私の心を踏み躙った罰よ」
リルアさんの目は、マジだった。
「そんなぁ~~~~!」
(あーあ。またアシュアさん泣いちゃうよ………)
────────────────────
夜ご飯の後。
俺たちは風呂を済ませ、リラックスしていた。
「ねえねえ、聞いてよリルア!」
アシュアさんが話を切り出す。
「今日珍しい能力の子に会ったんだ~」
(……………の、能力?やっぱり異世界だからか能力もあるのか!気になる~!)
異世界に来たといっても、俺は高校生男子。そういったものには目がない。
「どんな能力なの?」
「なんか自分の思ったメロディを出せるって能力!初めて会ったの!リルア、知ってた?」
「いや、初めて聞いたわ。そんな能力あるのね」
(ちょっと能力について聞いてみようかな………)
「あ、あの、能力ってなんですか?」
俺は満を持して2人に聞いてみる。
「能力のこと知らないの~!?あっ、記憶ないんだからそうだよね~!ごめん!」
「…………煽ってます?」
「別にそんなことないよ~ん」
アシュアさんが目を逸らす。
(絶対確信犯だろ、この人)
「ちょうどいいし、この機に教えてあげましょうか」
「お願いします」
これで能力についての情報も手に入れられそうだ。
「“能力”っていうのは大体のモノはその人が生まれながらに持ってるの。たまに生後に環境的、自主的に持つ人もいるけど……」
「そんな人いるんですね」
「ええ。私も何人か会ったことあるわ。どれもすごい能力だった」
「へぇ~」
「まあ、能力でできることは様々あって……正直、私もわからないモノはたくさんあるわ」
「能力、すごいですね」
(博識のリルアさんでも知らないモノがあるなんて………さすがは能力。奥が深い)
「まあざっとこんな感じね」
「教えてくれてありがとうございます」
「ねえねえ、ミナトくんには何か能力ないのかな?調べてみようよ!」
アシュアさんが興味深そうに提案する。
「そ、そうですね。俺も気になります!」
(俺に能力とかあんのかな……神様!頼む!ここに来た時に付けといてくれ~!)
俺は神に祈る。神頼みというのは使い勝手がいいものだ。
「でも能力を持っていない人の方が多いから、あんまり期待しすぎるのも良くないわよ。明日、一応調べてみましょうか」
「いいんですか!お願いします!」
期待するなと言われても俺の興奮は冷めない。
「じゃあ、今日は早く寝なさいね。仕事で疲れてるんでしょう?」
「そうですね…………今日は早く寝ます」
「あ、ミナト念願のベッドも今日はあるわよ」
「ほんとですか!やった~!!」
ようやく俺は自分の部屋で寝れるようだ。
…………まず自分の部屋で寝れないこと事自体おかしいのだが。
「ミナトくん、別に私と寝たかったら寝に来ていいからね?」
「え、あ、はい」
脳裏に昨日の情景が思い浮かぶ。
思い出せば思い出すほど、あれが現実だったとは思えなくなってくる。
…………アシュアさん、可愛かったなぁ~
「ミナト、明日は能力鑑定もあるしは店は昼からにするわね」
「あ、はい!」
(…………そういえば、2人に聞きたいことがあったんだった。聞いて大丈夫かな?)
「あの、気になったんですけど2人って能力あるんですか?」
俺は勇気を出して聞いてみる。
「あるよ~リルアも私も!」
「知りたいならまたいつか教えてあげるわよ」
「ありがとうございます」
2人の能力は何なんだろう?すごい能力なのだろうか?
…………この2人なのだからすごいに決まっている。
それにしても、2人の秘密は一体どれだけあるんだ?
何か、ものすごい秘密がある気がする。俺の勘だけど。
──────今日は俺にとって興味が増えた1日にだった。
そして俺は部屋に行き、ベッドに潜る。
明日は能力鑑定。俺に能力があるのか、もしあったとしたらどんな能力なのか分かる日。
「どうなるだろうな……………やっぱ楽しみだな」
俺は内心ワクワクしながら眠りについた。
次回からは3章に突入!ちょっと戦闘系が混じってきます!お楽しみに!
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