第6話 奴隷
奴隷市に入ると、そこではすでにオークションが行われていた。
「お客様、紹介状は?」
強面のヒゲの整った体格のいいおじさんが、俺のことを睨みつけていた。
思わず怯んでしまう。
「な、ないです…」
「登録料10万G。払えないなら帰りな。」
「じゅ、10万…!?」
「払えないのか」
「…払えます」
俺は渋々10万G差し出す。
なんだかぼったくられたような気持ちだ。
「身分証は?」
「はい、あります。」
「渡せ」
俺はなんだか少しその男を疑いながらもその圧に負けて渡してしまう。
「…登録完了だ。確認してくれ」
「は、はい。」
身分証を見ると、ライセンスの欄に、奴隷商会という文字が追加されていた。
「それがあれば奴隷を購入することができる。もっとも、金があればだがな。…大金を持ち歩くのは大変だから、身分証からでも購入することができる。話すことは話した。奥に進みな。」
言われた通りに奥に進むと、奴隷オークションが開催されていた。
オークションの他にも、常設で売り場があるようだ。
もっとも、オークションではない分値段が張るようだが。
店員に聞いたが、もっとも安い奴隷で200万Gだそうだ。
高いものだと、ここで取り扱っている奴隷でも数億Gになるそうだ。
「本日は、どういった奴隷をお探しで?」
「えと、戦闘ができる奴隷を探していて」
俺の目標は魔王討伐。そのためには力がいる。
当然、俺は戦えない。
「戦闘奴隷でしたら、こちらでございます。」
連れて行かれた場所は、他の奴隷売り場とは違った空気感が漂っていた。
死んだ目の人、鋭い目の人、傷だらけの人、ものすごくでかい人。
「気になる商品がございましたらお申し付けください。それでは、ごゆっくり」
一人にされた瞬間、何人もの奴隷が値踏みするかのように俺のことを見てくる。
俺の所持金は900万G。どれくらい使うかは考えものだ。
「ずいぶん若い子が来たねぇ。ワタシを買っていかないかい?」
妖艶な女性に話しかけられる。
見たところ、魔法使いのようだ。
だが、値段をみてがっくりする。
「残念ですが、1億Gなんてもってません。」
「そうかい、残念だねぇ。あっはっはっは」
そう嗤うと興味を失ったかのように女は宙に目をやった。
俺はゆっくりと歩いていき、奴隷たちを見ていく。
気になる奴隷の前で、足を止めた。
全身傷だらけの少女だ。猫のような耳と尻尾が生えている。
獣人族のようだ。
青ざめた顔でこちらを見てくる。
「アタシを買わないでくれ!もう戦いたくない!!」
あまりに切迫した声だったので、びっくりした。
値段は200万G。購入してもお釣りがくる。
でも、いったん全員見ることにする。
その中でも一人の男が気になった。
「あんたはどうしてここにいるんだ?」
そこには、およそ良い体格で、武に長けていそうな、武人と呼べる男がいた。
「…私は、決闘に負けて奴隷となった。名のある武人だったが、今では落ちぶれてここにいる。世間からの評価は、敗北者…といったところか。」
お値段なんと割引されて700万G。購入可能だ。
敗北者と言っているが、漂うオーラが普通じゃない。
これは期待してこの男に賭けるのもありだ。
「儂、買っていかんいかー?また戦いたいんじゃー?」
「3000万も持ってないからあきらめてー」
「つまらんのぉ。」
まったく、変な人が多いようだ。
次に気になったのが、すごくゴツい体で体に何本もネジを止められた大男だ。
背丈だけでも俺の2倍はあるだろうか。
横幅もものすごく広い。
「あなたは…?」
「………」
返事はない。
喋ることができないのか、意識がないのか、目は白目を剥いていた。
値段は500万G
次に気になったのが、牢の隅で縮こまっていた奴隷。
エルフの女のようだ。
説明欄によると魔法に長けているそうだ。
顔が良く見えないし、話かけるなというオーラを感じたので、喋ろうとは思わなかった。
値段は300万G
十分に手が届く範囲だ。
さて、どの奴隷を買おうか。
傷だらけの少女は、守ってあげたいという思いも、性能を確かめたいという思いもある。
武人はかっこいいし、頼りになるお供になりそう。
ゴツい男は耐久力において絶対的な信頼ができるし、すごく力もありそうだ。
エルフは魔法に長けているそうだから、臨機応変な対応ができるし、戦略なども練りやすい。
俺が選んだのはーーー




