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第23話 勇者

俺はまず酒場へ向かった。

たくさんの人がひしめき合い、笑いあい酒を酌み交わす。

俺はカウンター席に座る。


「注文は何になさいますか?」


この世界では酒に年齢制限なんてない。

規制なんてされていない。

俺は出された酒を一気に飲み干そうとして蒸せる。

意外と美味しくはなかったが、何度も飲む。


「ゲェェ」


頭がぼんやりとして、すっごく暑い。

すごくいい気分だ。

思わず叫ぶ。


「うるせえぞ!」


隣の男に殴られ俺は殴り返す。

勝てるはずもなくボコボコにされ、店を追い出された。


「あのNPC殺してやる。」


そんなことを思いながら夜の街を歩く。

次俺が入ったのは娼館だった。


「うへへへへ」


「ずいぶんと若い客がきたねぇ。お金は払えるのかい?」


正直、お金には全く困っていなかった。

ギルドから持ち出したお金が腐るほどあった。

初めての娼館は思ったより気持ちよく興奮した。

すぐに吐いてしまい追い出されたけど。


「うええ、キモチワルイぃ。」


足取りがおぼつかない。

その場に倒れ込む。


「あんちゃん、お金もってそうだなぁ」


ガタイのいい男が俺にすり寄ってくる。

俺はポーチから大蛇の槍を取り出し振り回す。

男は刃先を手で掴み、奪い取った。


「こんなん痛くも痒くもないぜ」


俺は殴られ呻くしかなかった。

しかし次の瞬間、大男は倒れた。

どうやら槍の毒が効いたようだ。

なんだか…眠たい。

俺も寝よう。

俺は大男を路地に引きずると、宿を探す。

最初に泊まった宿。

一泊だけしようと宿に入る。

ベッドに寝転ぶと、疲労が体に襲いかかる。

眠れなかった。

気がつけば日が昇り、吐き気が込み上げてくる。

ガンガンと頭が痛み、胃が痛かった。

喉が渇き、めまいと疲労感が襲いかかる。


「あ゙あーーー。」


食欲がなく、手が震えた。

これが二日酔いというやつか。

俺はぼんやりとした頭で思い出す。

しかしうまく思い出せない。

仲間がいなくなったのだけはなんだか思い出せた。


「まあ、ハルとパールって名前ほぼ被ってるし」


たった数日の仲だしな。

俺は今後どうしようかと思いを巡らす。


「俺弱いし、武器装備するか。」


俺はアイテムポーチを探る。

いろんな武器が入っていた。

その中でもアクセサリー類を適当に身につける。

ネックレス、指輪、ブレスレット、ピアス・イヤリング、腕時計、ETC…

とりあえずつければ強い精神だ。

なんだか豪華な装飾のある服が武器庫から出てきたから着てみる。

鎧よりも動きやすそうだ。

ブーツも良さげなものを選ぶ。

上から地味なケープを羽織る。

見た目がダサい?

そんなもんもう気にしないね。


『『『力が欲しいか?』』』


たくさんの声が聞こえてくる。

力が欲しいかって?


「欲しいに決まってんだろ!てめぇ!!力さえあれば、全部うまくいったんだ!!力さえあればなあ!誰も失うことなんてなかったんだよぉ!!!」


『ならば手にせよ。』『受け取れ』『誇示せよ』『解放せよ』『お前は選ばれしモノ』『生贄を捧げよ』


一体何なんだ。そう思ってポーチを見ると、禍々しく赤黒く光る武器たちがあった。

俺は手に取る。


『飲み干せ』『引き抜け』『開けろ』『捧げよ』『壊せ』


俺はそれらすべてを実行した。

生贄は戦いたくないと言っていた奴隷の女の子をえらんだ。

どうせNPCなんだ。

俺の糧となってくれ。

体中が溶けるような激痛が走る。

禍々しい光が俺に入ってくるのがわかる。

喉が焼けるように痛い。

全身が寒くて手足の感覚がない。

どれくらいたっただろうか。

恐ろしい時間を超え、痛みが収まり、体に力が溢れてくる。

脳が快感を覚え、ドーパミンがあふれる。

いまなら何でもできる気がした。


「ハハ、ははははは!生まれ変わったような気分だ」


俺は自分の中で起こったことを理解していた。

俺の中は蠱毒のように呪いたちが喰らい合い、打ち消しあった。

最後に残った呪いを俺は握りつぶす。

体の魔石がより昇華されて復活したのを感じる。

すさまじい力だ。

体を流れてくすぐったい。

女神の呪いも一緒に消え去った。


「最高の気分だ。」


ああ、やっぱり異世界はこうでなくては。

無双ものは嫌いだけど自分が主人公なら話は別だ。

そういえば、俺も異世界モノのファンタジー作品のように誰かに見られているのか?


「もしそうだったらそいつらも殺す」


他人に生活覗かれるとかプライバシー侵害も甚だしい。

もっとも、そんなもの見られていても見られていなくても確認する術などないのだが。

外に出ると、そこは驚くほどの静寂だった。

NPCがみんな倒れている。

これはゲームだ。

ゲームはクリアしないとな。

立ちはだかるものはみんな(てき)だ。


「そこまでだ…!」


「シンイチさん!頑張ってください!」


ーーー勇者(てき)が現れた。

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