第16話 魔物の行方
ったく、何なんだあの黒い女は!!
俺様が集めた精鋭をあんな一瞬で殺しちまうなんて!
割に合わねえ!あんな仲間がいるなんて聞いてねえ!
くそ、初めてあったあの日に見逃さなければこんなことには…
このまま魔王城に帰ったら確実に始末される。
これからどうしようか…
そうだ、魔王城から一番離れた場所へ向かおう。
追っても来れない辺境へ。
魔族の恥さらし?知ったこっちゃねえ。
魔物が少ない辺境でなら俺はトップに君臨出来る。
「ひいッ!?魔物!?」
「キャア!」
「逃げろ!!魔物だー!!」
山を抜けるとそこは街で、たくさんの人間がいた。
俺様はそれらを切り裂きながら走る。
人々の声音が恐怖と絶望に染まる。
やはり俺様はこうでなくては。
弱者から搾取し、王に君臨する!
彼奴等がおかしいだけで、やっぱり俺様は強いんだ!!
「おいお前!!そこまでだ!」
「誰だ!?」
もう追手がやってきたのかと思い焦ってそちらの方向を見る。
そこには、一人の人間がいた。
「なんだただの人間か。俺様をビビらせやがって」
「何に怯えていたのか知らないけど、心配する必要はないよ。今からお前はオレに殺されるから」
「……人間如きが、調子に乗るな!!!」
思いっきり息をため、全力で炎を吐く。
炎で俺様を見失っているうちに、俺様が距離を詰め、双剣で切りつけた。
「いい動きだ。だけど、遅すぎる」
「なッ!?」
瞬きする間もなく、眼の前から人間は消えていた。
胸にじわじわと、血が垂れてくる。
「この……チートがぁあ゙!!!」
その瞬間、ダヴィデの胴体は真っ二つに切れた。
「流石です、シンイチさん!」
「すごいですわ、わたくし、見惚れてしまいました」
「フッ。オレにかかればこんなもんよ!」
あー異世界チョロ過ぎーーー!
最高かよ異世界。ちょっと剣を振っただけでキャーキャー言われて。
誰もオレのことを否定しない。かわいい美女とムフフな生活。
絶対に元の世界には戻りたくないね!
いやー、魔王を倒したらどんな願いにしようかなー。
いっそのこと、女神を娶るなんてのもアリだな…
「シンイチさーん」
「おー、今行く!!」
異世界生活、やめらんねえわ!!




