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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第15話:砂漠の蒼光

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15-3:第2の手掛かりです

 庁舎の中に居るメイドさんたちやバナーリヤさんにも訊ねてみたけど、特に変な光は見ていないということだった。ちなみにモノッキさんは留守だった。


「よく考えたら、深夜ならみんな帰ってますよね」


「そうよね」


 ここに住み込みで働いている人はモノッキさん以外に居ないそうで、深夜帯は無人に近い。目撃情報を得るのは土台難しかったみたい。


「だけど、これで手掛かりが途切れたわね」


「そうですねえ」


 と。ももちゃんが私のジャージの裾を引っ張る。


「ん? どうしたの?」


「ひかるらくださん」


「え? あ!」


 そうだった。ティングス&フィングスの双子。最初に会った時、そういう話をしてくれた。アレもきっと、関連事案だろう。


「なになに?」


「実は……」


 トロンカさんにも事情を話す。


「なるほど。ちょうど宮殿に居ることだし、2人を探してみましょう」


 という運びになった。

 今度はメイドさんに、彼らを知らないか訊ねたところ。倉庫に居るというので、場所を教えてもらって訪ねた。


「んん? ももちゃんと幸奈じゃねえか」


「トロンカも居るな。なんだ? どういう組み合わせだ」


 倉庫内の物資を整理していたのだろう。その手を止めて、2人が出てくる。


「こんにちは。作業中ゴメンなさい」


「実は以前も聞いた、光るラクダの話を聞きたくて」


「あー。あったなあ」


「でも前に話した以上のことは無いぞ」


 うーん。ダメか。


「せめて光っていた個体だけでも分からないかしら」


「いや、厳しいな。でも恐らくは市街地のラクダだろうから、そこで聞き込みしてみたらどうだ?」


「流石にしょっちゅう光ってたら、騒ぎになってるだろうけど。薔薇の話を聞くに、何か些細な変化くらいなのかも知れんし」


 騒ぎ立てる程じゃないけど、ちょっとした違和感くらいなら、という話か。飼い主なら気付いてる可能性もあるよね。


「薔薇園と同じだとしたら……元気が無かったヤツが元気になってるとか、か?」


 ティングスさんの推理に、私たちは顔を見合わせる。

 有り得る、かも。


「ありがとうございました。行ってみます」

「ます!」


「おう。光の正体が分かったら、俺たちにも教えてくれよな」


 ということで、今度は西の住宅街に逆戻り。まさか新聞社のすぐ近くにも手掛かりが眠っていたなんてね。


「ここからは地道に足で稼ぐしかないわね」


 暑い中、少し辛いけど。私たちは聞き込みを開始した。

 





 街の人たちに、虱潰しに訊ねて回る。身の回りで変わったラクダの話を聞かないか。あるいは弱っていたのが数日前から元気になった個体を知らないか。

 そうして10人ほどに聞いたところで、有力な情報を得た。というか、ラクダの持ち主その人に会えた。


「ウチのラクダかも知れんのう」


 そう答えたおじいちゃんの家にお邪魔する運びに。家屋の横に建ててある小屋、その中に件のラクダは居た。


 ――グオー


 低く唸るような鳴き声。面長の顔に、穏やかな瞳が私たちを見つめる。

 

「コイツは足が少し悪かったんじゃが、ある夜、散歩から帰ってきたらキレイサッパリ治っておったんじゃ」


 弱っていた薔薇と同じだ。まだ2例だけなので、決めつけることは出来ないけど、やっぱり光の効能は……動植物の不調回復?


「らくださん、もういたくないの?」


「そうみたい」


「よかったね」


 抱き上げているももちゃんが、優しくラクダさんの頭を撫でる。


 ――ぐるる


 穏やかな目を更に細めたラクダさん。目尻にちょっと目ヤニがついてる。


「おじいさん自身は、光を見ていないのよね?」


「ああ、力になれなくてスマンのう」


「あ、いえいえ」


 そこはティングスさんたちの話で分かってたことだ。彼らの眼前で飛び去ったワケだから、その後に帰宅したラクダに光が憑いてないのは当たり前。


「らくださん。なにかしらない?」


 ももちゃんが訊ねるが、まあ教えてくれるワケも……


 ――グオー、オー


 ラクダさんは首を振る。南から北の方角へ。


「これは……光が飛んだ方向を教えてくれてるのかしら」


「恐らく」


 賢いラクダさんだ。

 そしてまた北なんだね。やはり偶然ではなさそうかな。光の発生源があるのか、帰る場所になってるのか。


「どうしたものかしらね」


「そうですね。北が怪しいとしても」


 もう宮殿での聞き込みはしてしまったし。そもそも、夜に動いてるなら、目撃情報は望めないという結論だったワケで。


「手詰まり……」


 と、言いかけたところで。


「おーい」


 突然、誰かから声を掛けられた。声の方を向くと、真っ黄色なローブを着た青年の姿が見えた。知らない顔だ。

 と、その後ろにも誰か居る。こっちは見覚えがある。フジョルさんだった。

 2人は小走りで駆け寄ってくる。


「こんにちは、フジョル」

「こんにちは、フジョルさん」

「ちは」


「はい、こんにちは」

「うっす。自分は初めましてっすね。メックオルと言います」


 挨拶。そして黄ローブの青年が自己紹介をしてくれるので、私たちも名乗っておいた。


「それで、このメックオルくんなんですが……僕の患者なんです」


「自分、大きなケガしてまして」


「あ! そういえば、そうだったわね。足の複雑骨折」


 トロンカさんも知り合いだったみたいで、そんな情報をシェアしてくれる。

 ……けど。さっき駆け寄ってきた時は、普通だったというか。全然ケガしてるようには見えなかった。

 どういうこと……あっ。


「もしかして、メックオルくんも?」


「そうっす。光っす。それをフジョルさんに話してたところだったんす」


 そのタイミングで、謎の光の手掛かりを探す冒険者の話を聞きつけて、合流しに来てくれたんだね。


「ありがとうね」

 

「それじゃあ、早速話を聞かせてくれるかしら」


 メックオルくんは、1つ頷き、話し始めた。

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