表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第15話:砂漠の蒼光

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
100/107

15ー4:光が次に来る場所

「昨日の深夜のことっす。自分は部屋で寝ていたっすが……なんかケガしてる足が疼くようなむず痒いような感覚がして、目が覚めたっす」


 左足の方を、軽く掌で叩いたメックオルくん。今は本当になんともなさそうだ。


「最初は月明かりかなと思ったっす。窓から差してるのかなと」


 でも、と続けて。


「青い光だったっす。凄くキレイな色。それが自分の足を包んでいたっす」


「それで?」


 トロンカさんが、前のめりになる。


「咄嗟に叫びそうになったんすけど……踏みとどまったっす。なんか上手く言えないっすけど、そんなに悪い物に思えなかったというか」


 オロミドさんの旦那さんと同じような感想みたい。


「あったかくて、気持ち良くて……これは自分の足にとって必要なことなんだなって。そんな風に直感したっす」


 そして、それは正しかったということ。

 なにせ、この快方ぶりだもんね。


「光は、キミを治してどうなったの?」


 トロンカさんが訊ねると、青年は大きく頷く。


「消えたっす。そして次の瞬間には、窓の外が光ったっす」


「それは、どっちの方角?」


「北っす」


 やっぱり、そうなのか。


「また北に帰結したわね」


「はい。けど庁舎で働く人の目撃情報は取れないですし」


 八方塞がりだ。

 と、その時。


「なら……直接見るしかないですね」


 フジョルさんが、そんなことを言った。


「そりゃあ……自分で目撃できれば一番ですけど、そんな方法があるんですか?」


「……光は、どうやらケガや不調を治して回っているようです」


「それは、まあ」


 今までの傾向から言って、ほぼ確定だよね。


「なら、次は……ルアンミさんでしょう」


「ルアンミさん?」


「ふじょるさんのおともだち?」


「バナーリヤのお母さんですよ」


 あ。そういう流れになるのか。

 確かに病気は寛解しているそうだけど、先日も薬の材料を採りに行ったばかりだもんね。


「だから、彼女の家を張っていれば」


「遅かれ早かれ来るだろうと?」


 フジョルさんは頷く。状況に基づいた推理なのは間違いないけど、それだけじゃなくて。きっと「そうあってくれ」という希望も込めてるんだと思う。


「……」


 そして同時に複雑な感情も垣間見える。超常現象に頼ることに、医者としての葛藤があるのかも知れない。


「さあ。そうと決まれば、ルアンミさんにも協力を仰ぎましょう」


 トロンカさんの言葉で、みんな動き出す。

 私たちはラクダさんとおじいさん、メックオルくんにお礼と別れを告げ、住宅街の外れへと向かった。






 ルアンミさんの家(同時にバナーリヤさんの家でもある)は、他の家より少しだけ古い印象だった。外壁の土が剥がれていたり、木のドアも色褪せていたり。

 ドアをノックすると、少しして返事があった。中へお邪魔すると、40代くらいのキレイな女性が出迎えてくれた。この方がルアンミさん。確かにバナーリヤさんと顔立ちが似てる。

 私たちは自己紹介をして、本日の来訪の意図も話す。


「ぷらじゅま。そんな物が今、マホロバに」


 ルアンミさんは目を丸くする。それにしても、もうすっかり「ぷらじゅま」で定着しちゃったなあ。大人の皆さんが幼児語を話してるみたいで、これはこれで可愛いけど。


「次々と不調な人や生物を治しているそうです」


「そうなんだねえ。不思議なこともあるモンだ」


「それで、その」


「ああ、分かるよ。囮というか、おびき寄せ役になれって話だろう?」


「有り体に言えば。ゴメンなさいね?」


「良いよ。アタシとしても、完治してくれるなら願ってもないことだし」


 ルアンミさんはフジョルさんを見る。


「アタシが足枷になってなけりゃ……アンタも自由だったろうに」


 フジョルさんは静かに首を横に振った。


「アナタのことがなくても、きっと僕は医者になっていましたよ」


 そうか。なんとなく察してたけど、フジョルさんは幼馴染のお母さんを助けるために、医者を志したんだろう。でもその件が無くても、優しくて責任感の強い彼には適職だったというのは……私もそう思う。


「まあ進路のこと以外にも。あの子にも負い目を感じさせているだろうし」


「……」


 黙り込むフジョルさん。私たちも気まずい。


「っとと。辛気臭くなってしまったね。とにかく了承だ。ぷらじゅまは深夜に来るんだね?」


「恐らくね。これまでの3件は全てそうだったから」


「それじゃあ、夜にまた来てもらうってことで」


 そういう形になるね。私たちは一旦、ルアンミさんの家を後にする。

 フジョルさんは医院へと戻り、午前中は診察。午後は休みにして、仮眠を取るということだった。

 トロンカさんも新聞社へ戻り、今までのことを記事にまとめるみたい。


「私たちは、バナーリヤさんにぷらじゅまのこと、伝えに行こうか」


「うん」


 歩きだしたところで。


「あ。ねえね」


「ん? 何?」


「ねんど、かって」


「え? あ、ああ。そうだったね」


 チビチビと減っていたんだった。それで買い足そうと言いながら、なんだかんだ後回しになっていた。


「そうがんきょう、つくるの」


「え?」


「ぷらじゅまがね、とんでくるでしょ?」


「う、うん。多分?」


 どこからか飛んでくるのか、パッと目的地に発生するのか分からないけど。まあでも帰り(?)は北へ飛んで行くんだから、行きも飛んで来る可能性は高いのか。


「みんなで、ぷらじゅまのおうちをみつけるの」


「なるほど」


 そうだよね。飛来するところか、帰巣(?)するところ。どちらかだけでも観測できたら。せめて大まかな位置でも掴めたら、解明に大きく前進するかも。

 そのためには、確かに双眼鏡は有用なツールだ。本当にウチのももちゃんは、よく気が付くなあ。


「そうだね。人数分の双眼鏡、作っておこうか」


「うん!」


 ということで、私たちは東のマーケットへと足を運んだ。近くの人に訊ねたところ、露店の1つが冒険者用ショップになっているとのことで、訪店。無事に『魔法の粘土』の追加分を買えた。ちなみに、14000Gだった。アクアニルスより高いのは、物語の進行度で値段が変わる形式なのかもね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ