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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第15話:砂漠の蒼光

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15-5:準備万端ももちゃん

 ギルドへ入ると、バナーリヤさんはカウンターに肘をついて、うたた寝していた。ダブルワークだもんね、仕方ないか。

 だけど、起こしてこれまでの経緯を話すと、目の色を変えた。本当の話なのか何度も確認されたけど。フジョルさんも参加していると話したら、すぐに信じてくれた。本当に幼馴染への信頼が厚すぎる。


「そっか。母さん、治るのか」


「……」


「フジョルも……色々と思うところはあるだろうけど、協力してくれるんだな。そういうヤツだもんね。だからこそ……」


 ブツブツと、私たちが見えていないみたいに独り言を続けるバナーリヤさん。

 そして今度は一転して押し黙り、天を仰いだ。彼女こそ、本当に色々と思うこと、考えることがあるんだろう。


「今日は無理言って踊り子の方は休ませてもらうよ」


 それだけ絞り出すように、私たちに向けて言った。逆に今、私たちに言うべきことはそれくらいしか無いということ。

 一人にしてあげよう。

 私たちは会釈だけして、ギルドのドアを開けて外へと出た。ももちゃんも空気を読んだらしく、何も言わずについて来てくれた。


「おねえちゃんのまま、なおるかな?」


「うん、きっとね」


 これまでも全部治してくれたんだから、きっと大丈夫だ。メタい読みで悪いけど、マホロバ最後のクエストだし、大団円になるハズ。


 と、そんな話をしながら宮殿を抜けようとしたところで、前方に厳ついオジサン2人組が。ティングス&フィングス兄弟だ。


「おう、オマエさんたち」


「どうだ? あの変な光の正体は分かったか?」


「いえ、まだですけど。でも今夜動くかも知れません」


「そうがんきょうで、みつけるの」


 状況を説明する。聞き終えた兄弟は、軽く顔を見合わせ、


「俺たちも協力するぞ」


「ああ、気になるしな。俺の痔も治して欲しいぜ」


 なんとなくだけど、フィングスさんの痔は無視されそうな気がする。


「したらば、今日は呑みは休みだな」


「しゃーねえ。深酒したら夜遅くに起きるなんて無理だもんな」


 その後。集合時間&集合場所を伝え、仕事に戻る2人を見送った。

 ということろで、『深夜までスキップしますか?』の文字が現れた。


「よし、ももちゃん。決戦だよ」


 双子たちが増えた分、追加の双眼鏡も作ってもらって。準備万端で『はい』を選択した。


 暗転が晴れて……なお暗い。ちゃんと深夜になってるみたいだ。場所は以前バナーリヤさんが部屋を取ってくれていた宿の前。スキップしなかったら、ここで仮眠していたって判断かな。


「さむい」


「そうだね。夜だからね」


 踊り子の助っ人をした日も、夕方から夜くらいだったけど。あの時に輪をかけて気温が低いみたいだ。


「ぽんちょ、つくる」


 ももちゃんが早速、粘土をコネコネ。鈴型の薄い生地を作ってくれて……みるみる具現化していく。ピンクのポンチョに変化した。


「わあ、ありがとう。ももちゃん」


 渡してくれるので受け取る。サラッと私の分から作ってくれるの優しい。

 続いて自分の分も作ると、スポッと被った。


「ふふふ」


 可愛すぎて笑ってしまう。お手々が見えなくなって、首もあまり見えなくなって。もちもちのお顔が服から生えてる。

 その頬をくすぐるように撫でてから。私たちは出発する。目指すは、ルアンミさんの家。昼に訪れてるから楽勝……


「ねえね、こっちだよ」


「……」


 ももちゃんに先導してもらうことにした。


 ………………

 …………

 ……


 集合場所、というかルアンミ宅の前には既に全員が揃っていた。依頼人のトロンカさん、フジョルさん、バナーリヤさん。そして追加で来てくれた筋肉公務員の2人。全員が小さな光の魔石を持っているおかげで、暗い中でも誰が誰か分かるね。


「母さんも起きてるよ」


「僕とバナーリヤは、ルアンミさんの傍についていてあげようと思うんですけど」


「ええ、それが良いと思うわ」


 癒しの光だとは思うけど、完全に確定してるワケじゃないからね。あるいは現実の医療でも、治療中に体が拒絶反応を起こすこともある。不測の事態に備えて、お医者さんとご家族が付き添っているのは正解だ。


「わはは、俺たちも来ていて良かったな」


「マンパワーが潤沢だ」


「本当ですよ。ありがとうございます」


 彼らが居なかったら、バナーリヤさんはこっちの見張りに来てもらうかどうか迷ったところ。


「しかし見張りって言っても、どうするんだ?」


「屋根に登ります」


 2階から出れるとのことだったので、使わせてもらうことにしたのだ。

 というワケで家の中にお邪魔する。ルアンミさんと昼ぶりの挨拶をして、早速2階へ。そこから更にロフトに上がり、天井の一部、ハッチのようになっている箇所を開けて外へ出た。屋根は陸屋根なので、転落の心配は無用だ。


 大人3人が、それぞれ所定の位置に座る。全員に双眼鏡を渡すと、覗き込んで「凄い凄い」の大合唱だった。


「ももちゃんは凄いよなあ」


「ああ。こんなに小さいのに」


「これで、どこから来ても見逃さないわね」


 もちろん北が最有力ではあるけど、もしかしたら発生場所と帰還場所が異なる可能性はあるワケだから、東西南北をそれぞれ見張ることにしたんだ。私とももちゃんはニコイチなので、ちょうど四辺に背中を向け合って座る形。


「結構冷えるわねえ」


「着込んで来たんだがなあ」


「こんな時間に起きてることも無いからな」


 ボヤく声に、ももちゃんが早速ポンチョの追加を作ってあげる。


「はい、おじちゃん。おばちゃんも」


 渡してあげると、みんなまた大喜び(おばちゃん呼ばわりされたトロンカさんだけが一瞬眉をピクつかせてたけど)で羽織った。これで持久戦の準備も整ったね。

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