表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第14話:黄金のサソリを追って

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/107

14-5:やっぱり結婚?

 街の東側出口から、ラクダが出発。そのすぐ脇を2枚の絨毯が舞う。あまり人が離れると、ラクダが混乱するというのが1点。高く飛びすぎると、太陽にやられてしまうというのが1点。以上の2つの要因から、こういう隊列が一般的になったそうだ。


「早朝なのに、暑いですね」


 砂漠に入ると、一段と暑く感じる。多分だけど、オアシスが遠くなるからだね。水の恩恵って、こんなところにも現れるんだ。


「布を被るのが良いとは言うけど」


「それはそれで蒸すんだよね」


 2人も口を尖らせながら耐えの一手みたいだけど。


「ももちゃん、ビーチパラソル作って」


「ぱらそる?」

「「ビーチパラソル?」」


 全員が首を傾げる。私は検索をかけ、ももちゃんに実物を見せてあげた。


「作れそう?」


「うん」


 お返事の後、ももちゃんは早速コネコネを始めて、傘の部分を作る。上手いものだね。ちゃんとドーム型になってる。

 

「あとは柄の部分だ」


 私に言われるまでもなく、ももちゃんは小さなお手々で粘土を紙縒こよるようにして、棒状を形成していく。やがて完成したそれを、傘の内側に取りつけて、


「できた」


 みるみる具現化し、それはビーチパラソルへと変わった。パステルカラーの可愛いデザインだ。


「おお!」


「す、凄いですね!」


 向こうの絨毯からも大歓声だ。今度こそ、いばりんぼポーズを繰り出すももちゃん。また水を差されたら、やるタイミングを失っちゃうもんね。


「これをこうして」


 ももちゃんと私の間に固定する。ちょっと抱っこが離れちゃうけど、まあ大丈夫か。ももちゃんも暴れたりしないだろうし、いざとなったら立ち上がって止めれば良い。


「ももちゃん、こっちにも作ってよ」


「お願いします」


「うん、いいよ」


 コネコネ。そういえば何度かリメインもあったし、少し粘土の量も減ってきてるね。この街にもショップはあるハズだから、後で買い足しておこう。

 ももちゃんは、ささっと作ってあげる。向こうの絨毯が寄ってきて、フジョルさんが受け取った。


「ありがとうございます。これは良い品ですね」


「ていうか、この発想が無かったのが悔やまれるね」


 砂漠出身&在住なのに、ビーチパラソルの発想に至らなかった。まあ住んで慣れてると逆に、そうなることもあるのかも?


「ええっと。こうかな」


 フジョルさんが、バナーリヤさんのお尻の後ろに固定する。少し2人の距離が離れた感じだ。

 と。


「なんかゴツゴツして気になるわ」


 バナーリヤさんは後ろを振り向いて、パラソルを取り上げてしまう。そうして、自分の体の前側に置き直した。


「それじゃあ、僕が入れないよ。遠い」


「も、もっとくっつけば良いじゃん」


 ……これは。

 2人、さっきよりもピタリくっつく。もはやフジョルさんのアゴがバナーリヤさんの首筋に当たるレベルだ。うわあ、尊い。

 ここに来て、完璧に理解したよ。互いに意識しながらも、色々なしがらみで踏み出せない2人の距離感を、プレイヤーが観察して楽しむ。そういうエンタメなんだ、このクエストは。

 

「なかよしだね。やっぱりけっこん?」


 ももちゃんのイノセントな冷やかしに、2人は気まずげにしつつも、離れることはなかった。






 太陽が中天に差し掛かろうかというところで、ようやく目的地周辺に到着した。と言っても、私には全く分からない。土地勘のある2人ですら「多分ここら辺だ」とだけ。

 周囲には小さな岩が何個も転がってはいるけど、他はここまでと全く変わり映えのしない景色。本当にここで合ってるのかな。


「周囲を探してみようか。特に岩影あたりで涼んでる可能性はあるから」


「慎重にお願いしますね。毒針で刺されると、少し厄介ですから」


 う。怖いなあ。


「……」


 ももちゃんも少し不安げだ。

 私たち姉妹は固まって行動し、岩の影や間を覗き込んでいく。もちろん、ある程度の距離を保って奇襲に備えつつね。

 ただまあ、心配しなくてもサソリの影も形も無かったワケだけど。


「ねえ、本当にここで合ってるのかい?」


「そのハズだけど……」


 幼馴染2人も不安になってきている様子。


「あついから、どっかすずしいところにいったのかな?」


 ももちゃんの推測。まあ可能性としてはあるだろうけど、


「商人が見たのは夕方頃だったっけね」


「うん。けど昼夜で拠点を移動するというのは聞いたことがないからね」


 2人は「うーん」と首を傾げ、しかしやがてフジョルさんの方がハッと閃いた顔になる。


「そうか、移動せずに涼しい場所」


「「「???」」」


 要領を得ず、私とバナーリヤさんは顔を見合わせる。


「この下じゃないかな」


 フジョルさんは手近な岩を掌でペチペチと叩いた。


「岩の下……確かに太陽光は防げるでしょうけど」


 そもそも入れるのか問題があるよね。こんな重たい岩の下に、サソリの膂力では。


「砂を軽く掘って、入ってる可能性はあるよ。それにヤツらは平べったいからね」


 なるほど。

 平べったい昆虫ということで、一瞬おぞましき黒光を思い浮かべてしまって、慌てて頭を振った。大丈夫、金色らしいからね。アレとは違うから。


「いわのしたに、さそりさんいるの? どけるの?」


「どけたいけど……ウチらが全員で押しても厳しそうな気がするよ」


 女子2人と、インドア男子1人。ももちゃんは流石に戦力には含められないから、まあ確かに難しそうかなあ。

 軽く手で押してみるけど、ビクともしない。


「しまったね。テコでも使えたら良かったんだけど」


「こうなると分かっていたら、丈夫な板とか持って来て……」


 バナーリヤさんがセリフの途中で、ももちゃんを見る。はい、ウチの天使が作れますね。

 ということで、3人の大人がももちゃん様にお願いして、一式を作ってもらった。長くて丈夫な鉄板と、三角のキレイな石は支点用。

 早速、配置に取り掛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ