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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第14話:黄金のサソリを追って

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14-4:情報ゲット

 夜の7時半。私たちは解放され、指定されていた宿へと赴く。バナーリヤさんが戻ってくるまで、ここで待っているようにと、1部屋取っていてくれたんだ。観光客も多い時期だけど、伝手というかコネがあるんだろうね。


「はあ、疲れた」


 部屋のベッドに乗り、ももちゃんと並んで座る。彼女の方は、まだ興奮の余韻があるみたいで、


「だんす、たのしかった!」


 それは良かったね。今は着替えて、すっかり普通の3歳児だけど、あの煌びやかな衣装を大層気に入っていた。今度、ショップで買う約束までさせられたからね……


 私は仰向けに倒れ込み、ベッドの上で伸びをする。ももちゃんも私に倣って、というか私のお腹の上に頭を乗せてきた。手を伸ばして頬をモチモチ。嬉しそうな声をあげる妹。

 しかし、バナーリヤさんは11時まで働くらしいから、あと3時間以上かかる計算だけど。とても待てないな、と思ったところで。


『バナーリヤの終業までスキップしますか?』


 出た出た。ノータイムで『はい』を選択。すぐに辺りが暗転し、次に晴れた時には、部屋のドアがノックされていた。


「僕です。フジョルです」


「お待たせ~」


 帰って来たみたいだね。立ち上がってドアを開ける。2人とも少し疲れた顔で、部屋へ入ってくる。バナーリヤさんは、さっきまで私が寝転んでいたところにバタンと俯せに倒れた。ももちゃんが優しくその後頭部をナデナデしてあげている。


「はあ~。可愛いねえ、ももちゃんは。ウチにちょうだい」


「ダメです」


 我が家の宝物なんだから。


「時間も遅いんだから、ふざけてないで話を進めるよ」


 フジョルさんに窘められるバナーリヤさん。重たい体に鞭打つといった感じで「はーい」と起き上がる。クタクタなのも事実なんだろうね。


「まず作戦は大成功です」


「例の商人は、ダンスと酒と軽食でもてなされて気分良くなったんだろうね。普通に話してくれたよ」


「あるいは元々、少しの見返りくらいしか求めてなかった感じもありました」


 良かった。そんなに悪い人じゃなかったんだね。


「ただねえ。サソリを見かけた場所というのが結構遠くてね」


「街の東を4キロほど行かないとダメみたいだ」


「そう……なんですね。逆にその商人さんは何故、そんな所まで?」


「東に抜けると、他の街へ行けるんです。蜃気楼がある時も、完全に鎖国してるワケではないですから」


 あ、そうなんだね。まあ街の物資全部は自前で賄えないだろうから、どうしても交易は必要か。ちなみに、この街で生まれた人なら、何故か蜃気楼で見えなくなっていても、マホロバがどこにあるか分かるんだそうで。交易の帰りに帰宅難民になることは無いらしい。ファンタジー帰巣パワーだね。


「ラクダを借りて行く形になると思うけど……そうだねえ。明日の早朝に出発しようか」

 

「ギルドは良いんですか?」

 

「モノッキ市長に相談してみましょう」


 下手したら1日、ギルドを留守にする許可だね。

 ……ぶっちゃけ、私たち以外ここで活動してる冒険者は居ないんだから、大丈夫だと思うけど。それでも規則というものがあるからね。


「けど明日行って、すぐにオッケーが出ますかね」


「大丈夫、大丈夫。ごねやがったら、アイツの母親に頼むから」


 ママに言いつけてやる、みたいな? ていうか、モノッキさんのマザコンは街の人は大体知ってるのかな。

 

 まあとにかく。またスキップして翌朝を迎えた。そのまま4人で庁舎へ殴り込み、寝ぼけ眼のモノッキさんに、事情を説明する。

 すると彼は普通に、


「ああ、そういうことなら良いよ。薬が充実するのは街にとっても良いことだから」


 二つ返事で了承してくれた。バナーリヤさんが離れている間のギルド受付は、ティングスさんが代役を務めてくれる手筈となった。残りの仕事はフィングスさんが1人でやることになったから、ちょっと申し訳ないけど。2人とも快く引き受けてくれた。


「ラクダも、市有のを使うと良い」


 至れり尽くせりだった。

 私たちはモノッキさんたちに礼を言って、宮殿の外へ出る。


「割と良い市長なんだよねえ。マザコンだけど」


「そうだね。次も彼に投票しよう。マザコンだけど」


 幼馴染2人も、トントン拍子に進んで上機嫌みたいだ。

 フィングスさんがラクダの手配をしてくれ、私たちはその背中に荷物を載せる。


「魔法の絨毯も借してやろう」


 私たちが乗る用だね。実際、砂漠を延々と歩くのかと思ってたから助かる。私もだけど、ももちゃんは音を上げそうだしね。

 フィングスさんが、一旦建物内に消え……次に出てきた時には丸めた絨毯を両脇に抱えていた。


「それも公用があったんですね」


 まあそれはそうか。全て観光客に貸し出しというのも、いかにも危機管理意識が薄い。有事の際に、空からの視点が必要になることもあるかもだし。


「お2人は、絨毯に乗ったことは?」


「あ、あります。クエストで」


 蜃気楼を捕まえる時に使った。


「ももちゃんが操縦してくれるんですよ」


「へえ、凄いじゃないか!」


「ももちゃん、賢い子だなと思っていましたが、操縦まで」


 褒められて、ももちゃんの鼻の穴がプックリする。いばりんぼポーズも出るかな? ということろで、


「夕方から使用予定があるから、なるべく早く帰って来てくれ」


 フィングスさんに水を差された。ももちゃんに少し恨みがましい目を向けられて、彼はタジタジになる。

 こらこら。もう十分、褒めてもらったでしょ。


「ほら、乗ろう。ももちゃん」


「……ん」


 砂地に広げた絨毯の上に、ももちゃんが座る。その小さな体を抱くようにして、後ろから私も座った。

 もう1枚の方も、バナーリヤさんが前に乗り、フジョルさんは彼女を守るかのようにバックハグで乗り込んでいる。

 ……うーん。やっぱりお似合いに見えるなあ。

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