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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第13話:熱狂! 子ルッフレース

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88/107

13-5:仕上がりは順調です

 子ルッフたちを囲っている柵の門を、オロミドさんが開ける。するとノタノタした動きで怪鳥の子供たちは出てきた。やっぱり間近で見ると大きい。柵でよく見えてなかった下半身は、思いの外ガッチリしてる。足も太くて、先の方は三又? いや後ろにも1本あるから四股に分かれてるみたいだ。


「……」


 アレを見ると、やっぱり少し怖いなあ。ヒクイドリとか、あそこら辺を否が応にも想起させられてしまう。


 ――ぴ~~♪♪


 けどまあ人懐っこくて可愛いから、大丈夫なんだけどね。今もまさに、最初に出てきた1羽がオロミドさんに頬擦りしている。

 2羽、3羽と続々出てくるけど、暴れたり興奮してる子は居なかった。


「よし、外に出るよ」


 小屋の反対側からも外に出れるらしく、オロミドさんはそちらへ向かう。子ルッフたちも続き、私たちはその後ろから。

 

「……あの子たちの背中に乗るのかあ」

 

 後ろから見ると、お尻もフワフワで背中もフワフワ。気持ち良さそうではあるけど。

 小屋の裏口は、だだっ広い草地に繋がっていた。土もシッカリしてるし、走るには丁度良さそう。


「あ、てんとがあるよ」


「そうだね。ここが会場だからね」


 あ、そうなんだ。ということは、ここで諸々の設営がされるハズだけど。例の筋肉公務員の2人が見当たらない。

 私がキョロキョロしてると、


「多分、資材を取りに行ってるんじゃないかね。リアカーも無いし」


「あ、なるほど」


「明日までにはゲートも建てるからね」


 オロミドさんが広場の端を指さす。スタート地点だろうね。あそこに、競馬とかでよく見るゲートを設置するということらしい。


「今からやるのは、リハーサルだからゲート無しで行くよ」


「はい」


 ということで、私たちも乗馬ならぬ乗鳥するワケだけど……誰に乗れば良いんだろう。


 ――ぴい?


 5羽が揃って首を傾げる。そのお間抜けな様子に、少し鼻から息が漏れた。


「誰からでも良いけど、全員乗ってあげるんだよ」


「あ、そうなんですね」


「当然。私たちは運営側なんだから、絶対公平だよ。レースのない普段から、同じ量のエサを与えて、同じ量の運動をさせてるんだ。このリハーサルも同じ条件にしないとダメさ」


 そっか、そうだよね。本番はプロ(?)の騎手も居るらしいけど、その人たちも同体重に調整してるらしい。結構というか、かなり本格的なんだね。


「子ルッフたちも、体格に大きな差は無さそうですね」


「ああ。けど一応あるよ。同じ内容・量のエサを食べさせていても個体差はね」


 そこは個性というか、才能として扱うみたいで、矯正はしないらしい。


「そうだねえ、まずは一番小さい子に乗ってみるかい?」


 オロミドさんが1羽の首を抱くように引き寄せる。優しい手つきなので、その子も大人しく従っていた。


「さあ、乗せてあげな」


 と、語りかけると。その子はお尻をこちらに向ける。お、おお。多少は言葉を理解してるのか。


「アンタたちも、ほら」


 オロミドさんが近くの子の背中に跨る仕草をする。ああいう感じでやれってことか。

 私は大きく足を広げて、自転車に乗るような感じで。


 ――ぴ


 嫌がってないね。

 お尻が着く。見た目通り、羽毛布団に座ったような心地良さだった。


 ――ぴい!


 よしよし。落ち着いてるね。


「ほら、ももちゃん。お姉ちゃんの前に」


 オロミドさんが地上のももちゃんを抱え上げて、私に渡してくれる。小さな妹の体をお腹の前らへんに座らせる。


「あったかい。おふとんみたいだね」


 ちょっと感動してるみたいだ。子ルッフの首の根本辺りに頬を埋めて、フカフカを堪能し始める。


 ――ぴい~~♪♪


 子ルッフの方も気持ち良いんだ。ふふ、甘えん坊さん同士だね。


「本来なら、鞍と手綱はあるんだけど。今日はまあ慣らしで走るだけだから」


「はい」


「その子たちも、準備運動みたいなモンだってのは理解してるよ」


 それなら安心だね。ガチで走られたら怖いし。


「お尻をポンポンとしてごらん。それが合図だから」


 鞭で叩いたりはないんだね。良かった。

 私は片手を後ろにやり、子ルッフのお尻をポンポンと優しく叩いた。


 ――ぴゅい!


 ゆっくりと歩き出す。ももちゃんが私の方にもたれ掛かってくる。


「首の根元に手を回しな!」


 言われるまま、ももちゃんを巻き込む形で、子ルッフの首にそっと手を回した。その後、小走りになる子ルッフ。


「わわ、おしりが」


 脚が地面と離れ、また接地する。その感覚がお尻を通して伝わってくる。

 

 ――ぴー!


 更に加速。ジョギングから、ちょっと本気走りくらいかな。ちゃんと漕いだ自転車と同じくらいの速度は出てる感じだ。


「はやい、はやい!」


 嬉しそうにはしゃぐ妹。私の方はちょっと掛かるGが大きくなってきたかなと、冷や汗が背中を伝う。

 という辺りで、子ルッフは徐々に速度を緩め始めた。ホッと胸を撫で下ろす。

 最初にオロミドさんが言った通り、この子たちも肩慣らしだと理解しているんだ。


「あれえ?」


 ももちゃんは少し残念そうだけど。これ以上はね。アナタみたいなちっちゃい体、下手したら振り落とされちゃうよ?


 前方にオロミドさんが手を挙げて立っている。あそこでストップだね。走路の延長上に居るの、中々に豪胆というか。子ルッフたちと信頼関係が出来てるからこそだね。


「はーい、ストップ」


 彼女の号令に合わせて、子ルッフはゆっくりと止まった。


「降りれるかい?」


「あ、はい。大丈夫だと思います」


 私がまず下りて、その後、ももちゃんを回収する。


「私は走り終えた子を戻してくるから。アンタたちは続けておいて」


「え? 私たちだけでですか?」


「当たり前さ。アタシだけでするんだったら、ハナからクエスト出してないよ」


 う。それは正論。お金とコインを貰うんだから、依頼主に甘えてばっかりじゃダメだよね。

 

 結局、その後。私たちが試運転させて、終わった子をオロミドさんが小屋に戻すという流れで、5羽とも走らせ終えた。途中でももちゃんが少し飽きてきてたけど、なんとか宥めすかして。


「ありがとう。今日はよく頑張ってくれたね」


 労いのお言葉も貰って、クエスト達成となった。

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