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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第13話:熱狂! 子ルッフレース

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13-4:ミミズにビビる

 魚を全て食べさせた後。私たちは、今度は街を南に抜ける。ちなみにティングスさんたちには一旦お休みしてもらってる。全部やってもらうのは申し訳ないからね。減額されるかも知れないし。


「ええっと。確か城壁を越えてすぐの所に」


「あかいつち」


 ももちゃんの言う通り、赤土が広がる地帯があるらしい。

 ザッと見渡してみると、


「あそこらへん、あかいよ?」


 ももちゃんが指さした先。確かに少し赤っぽい地面が広がっている。

 近づいて行って、そのエリアでしゃがみ込んだ。指で地表を突ついてみると……硬い。うん、これは砂ではないね。


「サンドワームは……ここら辺に生息してるという話だったね」


「ほるの? すこっぷつくる?」


 その前に。

 私は預かっていた水の魔石を手に取る。軽く念じると、チョロチョロと水が流れ出てきた。これで地表を潤すんだ。そこまで多く輸入してるワケではない(オアシスがあるから)貴重品とのことだから、無駄にしないように。


「あ、ももちゃんも」


「はいはい」


 渡してあげる。


「全体に撒くようにね」


 ももちゃんがテコテコ歩いて、周囲一帯の地表を濡らしていく。


「そうそう」


 褒められて、ニコニコする。すっかり元通りの調子に戻ったね。

 しばらくやって、取り敢えず一旦水を止める。節約しないとだからね。


「じゃあ、今度こそスコップ作ってくれるかな」


「はい!」


 元気なお返事の後、コネコネし始める。今更だけど、土の上だろうが砂の上だろうが、全く吸着しない粘土って凄いよね。

 そんなことを考えている間にも、ももちゃんは手を動かし続け、


「できた」


「速いね」


 頭を優しく撫でて、スコップを受け取る。

 確か表面を削れたら、中の方は少し柔らかめということだったけど。


 ――ザク


 水が浸透してくれたおかげで、スコップの先端が入ってくれた。それでも割と力要るし、濡らさなかったら無理だったかも。


「ねえね、がんばれ!」


 うーん。やっぱりキツそうな作業は的確に避けてくるね、ももちゃんは。アナタのダイエットのためにやってるゲームなんだけどね。

 とはいえ、その目的をバラすワケにもいかないので、黙って掘り進める。


「うう。結構硬いよ」


 地表を過ぎても、まだ硬い。ゲームなんだから、ここまでリアルに作らなくても。

 と、そこで。土の中から細長い生物が出てきた。


「あ、これかな。ももちゃん、ピンセットか何か……」


 言い終わる前に、ももちゃんが手を出してそれを素手で掴む。

 ……ええ? お魚はダメで、ミミズは素手なの?


「うねうねしてる」


 少し嬉しそうに言って、カバンに入れようとするので、


「ストップ! ダメよ、ももちゃん。やめて」


 必死に止める。ももちゃんも気圧されたみたいで、目を見開いたまま頷いてくれた。


「それじゃあ」


「ガマ口さんもダメだよ?」


「……」


 ちっちゃい子は、「ばっちい」の概念がまだ育ちきってないからね。

 私は考えた末、無難に黒いビニール袋を作ってもらった。虫かごも考えたけど、大量に詰めた時に、透明だとグロ映像になりそうだったからね。


「しかし、サンドワームと言っても、あまり特徴は無いんだね」


「でもふつうのより、ぶにぶにしてたよ?」


「……普通が分かんないかな、ねえねは」


 現実世界のより、肉厚ってことなのかな。あんまり深く考察したくないところだけど。


「けど、そういうことなら……これは5匹くらいで良いかな」


 残り4匹でも腕がパンパンになりそうだし。

 というワケで、掘り続ける。途中、ももちゃんが代わってくれたのは優しみ。あるいは私がガチで死にそうな顔してた可能性もあるけど。

 とにかく。なんとか5匹捕まえて帰還した。袋がメチャクチャ重い。確かに、かなり身が詰まったミミズなのかも。あと、中でウネウネしてるのが袋の持ち手越しでも分かるのが辛い。


 小屋に戻ると、またオロミドさんが出てきた。ちなみに中で何か仕事してたワケじゃなくて、単純に日差しを避けて室内に入っていたとのこと。


「5匹だけかあ。まあ仕方ないね。暑いし、地面も硬いし」


「はい……」


 足りなかったかあ。やっぱりこのクエストは筋肉おじさんたちをフル活用させてもらうのが正しいのかも知れない。

 その2人の姿が見えないので訊ねてみると、レース会場の設営手伝いに向かったとのこと。


「2人は、公務員だからね。街のイベントでは全力で働かないとダメなのさ」


 ティングスさんたち、公務員だったんだ。筋肉フリーランスだと思ってた。じゃあ私たちを手伝ってくれてるのも、公務の一環か。


「さ。アンタたちは、ルッフたちにミミズを食べさせてやっておくれ」


「はい」


 ここはももちゃんにお願いしましょう。というワケで、彼女を抱え上げて給餌してもらう。子ルッフたちも相手が人間の幼児だと分かるみたいで、私の時より更に慎重にクチバシを閉じている印象だった。賢くて優しい大型犬みたいだ。


「ももちゃん、お手々洗おう」


 水の魔石を使わせてもらってキレイキレイする。まあバーチャルだから、本当に汚いワケじゃないけど、こういう習慣はつけておかないと。


「それで私たちは次は? ティングスさんたちを手伝いに行けば良いですか?」


「いや。そっちは力仕事だからね。アンタたちが行っても戦力にはならないでしょ」


 仰る通りです。でもそれだったら、


「アンタたちには、騎手役をやってもらうよ」


「え……」


 騎手ってことは、私たちが子ルッフに乗る……ってこと?


「いや、乗馬経験なんて無いですよ! 私たち!」


 顔の前で、全力で手をブンブンする。

 だけど、オロミドさんはどこ吹く風で。


「大丈夫。馬なんかより全然高さは無いし、ルッフたちの背中は大きいから、落ちた人なんて居ないよ」


「そう言われても……」


「ももちゃん、のってみたい」


 うぐ。こういう(ももちゃん基準では)楽しそうなことには積極的だよね。


「……どうしても無理なら、クエスト放棄になっちゃうけど」


「わ、分かりました。やります。やってみますよ」


 半ばヤケ気味。だって2つ前のクエストも報酬減額だったのに、また完遂できないなんてダメダメすぎるし。

 まあ、半子供向けゲームだし、ケガするようなことにはならないハズ。


 ――ぴ~♪♪

 ――ぴ~♪♪

 ――ぴ~♪♪

 ――ぴ~♪♪

 ――ぴ~♪♪


 私の不安なんて知ったこっちゃない子ルッフたちが、呑気に鳴いた。

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