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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第13話:熱狂! 子ルッフレース

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13-1:子ルッフの小屋へ

 翌日もブロクエの世界へと飛び込んだ。

 今日は前回の報告からだね。ログアウトしたのがモノッキさんの執務室だったので、そこからスタートだ。階下に行って、ギルドを覗く。


「こんにちはー」

「ちは」


 挨拶をすると、カウンターの中でしゃがみ込んで作業をしていたバナーリヤさんが顔を上げた。


「ああ、いらっしゃい」


 言われずとも、前回の依頼書を引っ張り出してくれる。そこに完了印を押してくれて、報酬もカウンターの上へ。9000Gが入った皮袋と、フラワーコイン1枚。


「はい、確かに」


 受け取って、コインはももちゃんのガマ口さんに仕舞った。


「次のクエストは……」


 残ってる1枚。前回も見たヤツだね。




 ====================


 No.13


 <子ルッフレース>


 依頼者:ルッフ小屋の管理人オロミド


 内容:レースの運営補助ならびに子ルッフのケア


 報酬:10000G

    フラワーコイン2枚


 備考:街の南西にある子ルッフ小屋を訪ねよう。


 ====================




 こちらを剥がして持って行く。バナーリヤさんがハンコを押してくれて、早速クエスト開始だね。


「畜産の小屋が建ってる辺りは分かる?」


「あー、はい。寄りはしなかったですけど、遠目には見たので」


 昨日、街をグルッと巡るようなクエストを受けたからね。


「んじゃ、いってらっしゃい」


 見送られ、私たちはギルドを後にした。

 一路、南へテクテク。今日も中々暑い。


「おっきなとりさんの、あかちゃん?」


「うん。赤ちゃんって程じゃないと思うけど。雛って分かる?」


「ひなちゃん。ほいくえんにいるよ」


 陽菜ちゃんという子が居た記憶がある。ただ、そうじゃなくて。


「鳥の赤ちゃんから子供くらいまで、雛って呼ぶんだよ」


「じゃあひなちゃんは、おっきくなったらとりさんになるの?」


「いや。そうじゃなくてね」


 思わず噴き出してしまう。人間の保育園児である陽菜ちゃんが、成長したら鳥になる。中々凄い進化系統だね。


「えっとね。音が同じでも、違う意味の言葉って沢山あるんだよ」


 道中、そんな話をしてみたけど。あまり分かってくれた感じはしない。まあ、小学校に上がって国語のお勉強して……追々だね。


 




 昨日も歩いた農地の周りの道を過ぎ、更に街の南西へ。

 そこには木造の建物がいくつか建っていた。あれらが恐らく畜産場だね。

 近づいて行ってみると、青いローブのおばさんが1人、キョロキョロしながら立っていた。私たちに気付くと、口を「お」の形にして、軽く微笑む。


「アンタたちかい? クエストを受けてくれた冒険者は」


「はい。幸奈と」

「ももちゃんです」


「あら、可愛らしい冒険者だねえ」


 おばさんは目尻を下げてももちゃんを見る。


「アタシはオロミド。ここの畜産小屋の半分くらいを所有してるよ」


「わあ」


 お金持ちだ。


「クエストの内容は見てくれたかい?」


「はい。ルッフの子供を飼ってるんですよね」


「そうだね。正確には預かってるって感じかねえ」


 オロミドさんは小さく頷いて、


「ルッフは元々、人の手に余る存在だけど……たまたまこの数百年は友好関係だから、子供を人間に預けて育てさせてるんだよ」


「なるほど。昔は敵対関係だった?」


「敵対という程ではないよ。温厚な鳥だからね。ただ交流も無かった」


 オロミドさんは、東の方を指さす。城壁以外に何も見えないけど。


「こっから更に東へ行って砂漠を越えた先に、大連峰がある。彼らはそこを根城にしているんだよ」


 ふむふむ。こういう地理も後に役立つことがあるかも知れないし、頭の隅に入れておこう。


「蜃気楼が晴れる時期だけ、山から降りてきて輸送の全てを担ってくれる代わりに、子供たちを育てるという契約なんだ」


「そうなんですね。子供たちって、沢山居るんですか?」


「5羽だね。みんな懐っこくて可愛いよ」


「それは期待です」


 可愛い鳥さんは大好きだ。ももちゃんも気に入ってくれるだろう。


「けど子供が育ったら……5羽もあんな大きな鳥が増えるんですよね? いくら大連峰とはいえ、キャパ的に大丈夫なんですか?」


「いや、あそこまで大きくなるのは稀だよ。まあ直接見た方が早いね」


 オロミドさんが歩き出す。子ルッフ小屋に案内してくれるんだろう。私たちもついて行く。


「ひなちゃん?」


「うん。陽菜ちゃんじゃないけど、雛ちゃん」


「へんなの!」


 ももちゃんは同姓同名(?)に、未だにご執心みたいだね。


「さあ、ここだよ」


 オロミドさんが、1つの小屋の前で立ち止まり、そのまま観音開きの扉を大きく開けた。途端に、濃厚な獣臭がする。こういうところも再現されてるんだなあ。

 そして。扉の向こうに木枠の柵が見えた。どうやらその中で飼育されているらしい。結構大きな鳥の姿が1,2、3。


「……ぷて……うーん」


 プテラノドン認定しかけて、「違うな」と思ったらしい。親鳥の時も遠目に勘違いしてたよね。

 まあ恐竜の祖先は鳥という説が有力だし、全くの的外れでもないワケだけど。


「それにしても。おっきいですね」


 私より大きいと思う。つまり2メートル近くはあるかと。

 体毛は茶色一色で、トサカというか、後頭部に寝グセみたいにピンと跳ねてる毛束がある。瞳はつぶらで、獰猛さは感じられない。柵越しでは胸から上しか見えないけど、そこまで筋肉質な感じもなく。どちらかといと毛がフワフワで、抱き着いたら気持ち良さそうだ。


 ――ぴゅい~♪♪


 私たちに一番近い1羽が鳴く。すると、


 ――ぴゅい~♪♪

 ――ぴゅい~♪♪


 残り2羽も鳴いた。そして更に、その鳴き声を聞いてか、柵の奥でニョキッと首が持ち上がる。こっちからは見えない奥の方で寝てたのかも知れないね。


 ――ぴゅい……

 ――ぴゅい……


 寝起きだからか、声に力が無い。思わず噴き出してしまった。

 うん、これは。オロミドさんが言う通りの可愛さみたいだね。

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