12-1:減額ももちゃん
あれから2日くらい空いて、ブロクエの世界へと飛んだ。砂漠の街マホロバの外れから再開だ。まずはギルドに赴いて、前回の報告だね。
「えっと、確か市庁舎っていうか宮殿ていうか、そこの1階だったね」
「ねえね、こっちだよ」
ももちゃんが手を引っ張ってくれる。ぶっちゃけ、助かります。2度目ましての街で、土地勘なんて無いのに、矢印先輩も出てくれてないし。
ももちゃんに導かれるまま歩くと、やがて白い回廊が見えてきた。
「流石ももちゃんだね」
「♪♪」
褒められて嬉しいのか、繋いでいるお手々をブンブンする。ちょっと痛い。
そんな風に軽くじゃれ合いつつ。私たちは回廊を北へ上がり、今度は東口から庁舎に入る。左右対称になってるみたいで、西側の入口&廊下と全く同じ造りだった。やがて中央広間へと辿り着く。前回はすぐに階段を上がっちゃったけど、この1階にギルドも入ってるとのこと。
「ん~?」
広間の壁にはいくつか扉があるけど、どれがギルドに通じているのか。
と。ちょうど女性が1人、扉から出てきた。青いローブを纏った、若くてキレイな女性だ。切れ長の二重瞼が羨ましい……とか言ってる場合じゃなかった。声を掛けないと。
「あ、あの」
「ん?」
「私たち、この街の冒険者ギルドを探していまして」
「え? ああ。ギルドはここだよ」
彼女は今しがた出てきた扉をアゴで指す。あ、それじゃあ……
「ウチは受付のバナーリヤ。夜は踊り子もやってるけどね」
やっぱり受付さんだった。しかもダブルワーカーさんだという情報まで、何故か得てしまった。
「中で待ってて。すぐ戻るから」
ということらしいので、お言葉に甘えて扉の中へ。大理石のカウンターが美しい、ちょっと高級感ある内装だった。謎の壺も部屋の隅に置かれてる。
掲示板はその壺の真上の壁に備え付けられてるけど……依頼書がゼロだ。
「くえすと、ないの?」
「うーん、そんなハズないんだけどなあ」
ゲーム進行不可になる。
と。ギルドの扉が開いて、さっきの女性(バナーリヤさん)が入ってきた。
両手で荷物を抱えていて、その一番上にポスターみたいに丸めた紙も乗っけていた。
「手伝います」
「悪いね。この上の依頼書を取ってもらえるかい?」
あ、このポスターみたいなのが、依頼書なんだね。良かった。クエストはあるみたい。
バナーリヤさんが自分の胸と荷物の間に挟むようにして固定していた2本の筒紙を抜き取る。動きやすくなった彼女は、ササッとカウンター内に入り、荷物を床へ置いた。
「ちょっと待ってね、貼るから」
と言いかけて、
「あ、良いや。どっちも広げて、どっちか受けなよ。残りの方、貼るから」
確かに、その方が効率的だね。両方貼り出しても、すぐに片方剥がしちゃうことになるし。
カウンターの上に、2枚とも広げる。椅子もあるみたいなので、そこにももちゃんを座らせて、2人で確認した。
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No.12
<魔法のランプ>
依頼者:市長モノッキ
内容:魔法のランプの魔力充填作業
報酬:9000G
フラワーコイン1枚
備考:市庁舎(宮殿)2階に居るモノッキに話を聞こう
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No.13
<子ルッフレース>
依頼者:ルッフ小屋の管理人オロミド
内容:レースの運営補助ならびに子ルッフのケア
報酬:10000G
フラワーコイン2枚
備考:街の南西にある子ルッフ小屋を訪ねよう。
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以上の2つが受けられるみたい。
「ああ、そうそう。報告もあるんでしょ?」
「あ、はい」
そう答えた時には、既にバナーリヤさんは報酬の入った皮袋を取り出していた。
本来なら9000G(+交通費は王家負担)とフラワーコイン2枚のところだけど、
「5000Gとフラワーコイン2枚だね」
うう、減算されてる。ただ、フラワーコインの方は減らされてなかったのは不幸中の幸いだった。
「すくないね」
アナタのせいだけどね。
「それで、次に受けるクエストは決まった?」
「ええっと」
ももちゃんの方を見る。どっちも別に美味しそうな物を食べられる気配が無いからか、静かなものだ。
まあそれなら、順番に受けようかな。
「12から受けます」
「はいよ」
受諾のハンコを押してもらって、クエスト開始だ。
と言っても、目的地はここの2階なんだけどね。
私たちはギルドを後にし、大広間へと戻る。奥の階段を上ると、すぐに2日前も見た執務スペースみたいなところに出た。2階のフロア全体が市長室なんだよね。ゆったり仕事できて良さそうと言うべきか、ちょっと隠れてお菓子食べるのにも気を遣いそうと言うべきか。
机の向こう、モノッキさんが私たちに気付いて、柔和な笑みを浮かべる。手招きされるので、そのまま彼の前へ。
近くでよく見ると、彫りの深い顔立ちに、瑞々しい肌。思ったより若い。多分、30代前半……もしかしたら20代後半かも。
「やあ。よく来てくれたね」
先日とは打って変わって砕けた口調。ナメられてる感じじゃないけど、自分より目上のショーフェン夫妻が居ない場というのがあるんだろうね。
「いやあ、ウチは冒険者が少ないからね。一時滞在だとしても、来てくれて嬉しいよ」
「はあ」
まあ普段は蜃気楼に閉ざされて、外界からは隔絶してるという話だし、人の交流は少ないよね。
「じゃあ早速だけど、今回のクエストの説明をするよ」
話が本題に入った。
モノッキさんは、自分の執務机の引き出しを開ける。そこから何かを取り出してきた。
「普段は鍵を掛けて、厳重に保管してるんだけどね」
言いながら、机の上に置く。真鍮のランプだった。金色だけど、角度によって少し緑がかった色合いにも見える。依頼書にもあった『魔法のランプ』というのが、コレなのかな。
私が気付いたのを向こうも察して、小さく頷く。
「この魔法のランプは、街の宝なんだ」
そんな枕詞から、モノッキさんの説明は始まった。




