最終話:まだまだ冒険は続きます
マホロバを後にして、砂漠の関まで戻ってきたところで、ログアウト。
息を吐き、ゴーグルを外した。見慣れた部屋の景色。ももちゃんは少しだけ寂しそうにしていたけど、泣いたりはしていなかった。アクアニルスもそうだけど、また会いに行けるからね。
――ぴろん
と。端末が電子音を鳴らした。なんだろう。手に取って見てみると……『目標クリア』の文字が。目標、何かあったっけ。
「あ、もしかして」
メッセージを開いてみる。VRマットと連動させている体重計測アプリからのお知らせだった。
案の定、ももちゃんの体重が目標まで落ちたことを告げている。
「や、やった! やったよ、ももちゃん!」
「ん~?」
ももちゃんは何のことやらサッパリ。そうだった。ももちゃんにはダイエット目的ということは言ってないんだった。暗に太ってると告げるようなものだから、ヘソを曲げられたら敵わない、と。
私はももちゃんを抱き上げてみる。うーん。体はモチモチであったかくて、そんなに軽くなった感じはしないけど。
「♪♪」
頬擦りしてくる。あら、可愛い。
「ねえね、さみしいんだね」
私がマホロバとの別れを寂しがってると勘違いして、慰めてくれたみたいだ。可愛いだけじゃなくて、優しいね。
「ももちゃん、今日はご馳走にしようか」
「ごちそう? はんばーぐ!?」
「うん、良いよ。ママに頼んであげる」
「やった! ねえね、だいすき!」
私も、ももちゃん大好き。
痩せた端から、ご馳走ってどうなのとも思うけど。まあ白米をあまり食べさせなきゃ大丈夫だよね。
「んふふ~」
「嬉しそうだね、ももちゃん」
「ごはん、おかわりするの!」
あちゃー。私の目論見は失敗か。
まあでも、
「明日もブロクエしようね」
「うん! つぎのまちにいく」
ブロクエのおかげで運動習慣もついたし、今日くらいは目標達成(本人は知らないけど)のご褒美ということで1つ。明日またカロリー消費したら良いんだ。
「おはなもさかせて……あたらしいまちのごはんもたべて」
小さな指を、ちょこちょこ折りながら。ももちゃんはまだ見ぬ冒険に心躍らせているみたいだった。
<了>




