厄災の教皇
カルン聖王国に入り、王都に向かう道中。
村人や街に住んでる人、行商人等はよく見ましたが、盗賊や軍の関係者であろうもの達に一度も会う事はありませんでした。
行商人に正体を隠しながら聞くと、軍の関係者は全て王都に集められているとのことです。
そして教皇がいるであろう王都に近づくほど、辺境伯領で受けた干渉に似た気配を感じました。
「これは、、、」
私は、遠くからカルン聖王国の王都を見て絶句しました。
王都は、辺境伯が短剣から出したであろう黒い何かと同じ波動を持つものに包まれていた。
「嬢ちゃん、俺の勘があそこには嬢ちゃんしか入れねーと言っている、間違ってるか?」
「いえ、おそらく合っています。
入ればどうなるかわからないほどの瘴気を感じます」
そして私達は、開けてある門の目前まで迫りました。
「っとおいお前ら止まれ!俺様たちはここまでだ。死にたくなかったら、絶対この門を超えるな。
すまねーな嬢ちゃん」
申し訳ない顔するバーゼル侯爵様。
「大丈夫ですよ、お陰で道中楽しかったですし、カルン王国軍の皆様からの印象も解いて下さいましたし、感謝しています。
王妃になって模擬戦をなかなか見れなくなりましたので、今度王都にて武芸の大会を開く予定です。ぜひ参加してください」
「もちろん参加させてもらうぜ!
嬢ちゃん生きて帰ってこいよ」
「当たり前です!楽しみが残っているのに、死ぬつもりはありません。
では、私達は行ってきますね」
そう言って私は門に入っていきました。
「嬢ちゃん頑張ってこいやー!
ん?今私達って言わなかったか?」
そう困惑するバーゼル侯爵様の声は、彼女には届かなかった。
私は瘴気の強い方角に無言で歩き、
道端に倒れ込む人々を見て怒りを感じました。
この王都に住んでいたであろう住民は、顔を苦痛に染め、首の周りに手をがあり、夥しい傷が首につけてありました。
おそらくこの瘴気が原因。必死に爪で引っ掻いたのでしょう。
私は心を落ち着かせながら、瘴気が最も強い白い大聖堂の前に立ち、その瘴気の発生源に向かうべく大聖堂に入っていきました。
「入ってきてよいぞ聖女よ。
歓迎しよう」
「では失礼いたします」
招待されましたので、この国の主神である女神様が祀られている、女神の礼拝室と書かれたドアを開けて入り、元凶を見ました。
「あなたがカルン聖王国の教皇様ですか?
それとも厄災を司る神様ですか?」
「やはり気づいたか、女神の眷属なだけはあるな。
まあこの体は、この王都に住んでいる国民の命と己の体を生贄に捧げた教皇なるもの。
我は、それを依代にこの現世に降り立った。
偉大なる神、厄神である」
凄まじき瘴気の波動を私にぶつけて、厄神はそう告げてきました。
「まさか信仰により力を蓄えたあの女の力と、我が力を込めた短剣を携えても勝てぬとは。
忌々しい。
長年をかけ、人々の中から厄神という存在を消し。300年前私と相性の良い魂を見つけ契約したまでは、我の思惑通りだったのだがな。
まあよい、お前がいるからな」
「それは私を殺し、厄災の巫女を復活させるということですよね?」
「あれか?あんなものはどうでもよい、あんな女など厄災を振り撒くか、我の信仰を隠す隠れ蓑でしかない。
今は聖女よ、我の前にお前がいる」
「どう言う意味です?私が厄災の巫女になるとでもおもってるんですか!?」
私は、あくまで無表情で、怒った。
「くくくく、やはりな。
怒りを帯びる表情とそれに呼応する魂、負の感情を表してるのに、だがその魂の輝きはとても清い。
そこで考えた。
お前殺し。
その魂を使い巫女を作ってやろうと」
「、、、作る、、ですか?」
「ああ、今の力を持つ我なら作れるさ!
あの女神が作れる人間をな!
それも清い魂を穢れさせたものが素材なら、より強力な巫女になるだろう!
ああ、現世にいるのも飽きてきた。
では我の為に死んでもらうぞ」
私は高速移動してきた厄神に殴られ、礼拝室の壁に叩きつけられた。
「これで我の野望が進む」
「何故神様なのに物理攻撃なのですかね、なんかすごい力を警戒して損しました、それに白いドレスも少し汚れてしまいましたね」
と壊れた壁から出てきながら、私についた塵なんかを手ではたいて落としました。
「何故生きている。力を抑えているとはいえ神の一撃だぞ!
なぜ無事でいられる!」
「全然無事じゃないですよ、ドレスが汚れちゃいました。
でも、今の一撃を受けてわかりましたよ。
あなたは力を抑えてるじゃなく、出せないんですね。なぜなら、その依代が壊れちゃうんですもんね。
よかったです、神相手でもこれなら何とかなりそうですね」
私は、聖女の力を限界まで引き出し、身に纏わせた。
私の体は凄まじいほどの光に包まれた。
「だめですね。眩しくて目が開けられません。まあ、相手の位置がわかるので支障はありませんね」
私は目を瞑り、厄神の位置を把握する。
「それはなんだ、それは人間が持つにはすぎた力だぞ!」
厄神はおそらく焦った声をしてるので、焦っているのだと思います。
「私もそう思います。
ですが理由は二つあります。
まず、聖女持つ力の源とはなんだと思います?
それは母性です。
この世界を創造し、暖かく見守ってくれている女神様に選ばれるんですから当たり前ですよね。
ちなみに私は今までウルがダメダメなのを甘やかして来たのか理由ではないかと言われました。
その私が今、子供を身篭っているのですよ。じゃあ今の私の母性って本物ですよね。
つまり今、聖女の力が最も強い状態なんですよ」
あくまで無表情、あくまで無表情の私が言う。
「それと二つ目の理由は、これで最初で最後だからです。
神であるあなたを消滅させたら、きっと彼女は消えてしまいますから。
すみませんこれは私の事情ですので気にしないでください。
さて、もうわかってると思いますが、この力があれば神をも屠れると思いますけど。
神様的にどう思いますか?
試してみますね!」
私は目を瞑ったまま厄神の元に瞬間移動し、魂厄破棄を放つが右腕は空を切ってしまいました。
そして逃げた厄神を探すと、礼拝室の扉の前で私の貼った障壁を壊そうと何度も壁を殴り続けています。
「なぜだ、何故壊れない!」
「そんな力があるのに素直に入り口から出ようとするなんて案外律儀なんですね!
まあ、壁にも障壁を貼ってあるので逃しませんが。
それにしても、やはり神と名乗るだけあります。
では作戦を変えますね」
そう言った私は厄神を障壁の中に閉じ込た。
「聖女よ、我を消滅させても信仰がある限り我はまた復活する。いずれまた機会を見つけ、この世界を厄災で包み込んでやろう」
抵抗をやめた厄神は私に告げた。
「無理ですよ。
信仰はあっても核がなければ復活できませんよね?
何故この大陸にあなたが執着したのかもわかっていますよ。
この大陸にあるんですよね?
そうこの聖王国に。
そして
この大聖堂の下に」
私はあくまで無表情、あくまで無表情で厄神に言った。
「、、、、、、」
「何かの条件がないと、神なんて降臨させられないのは何となくわかりますし何より。
あなたのことが書いている本で見ました」
そういうと、厄神もとい彼は障壁の中で暴れ回った。
「あなたが何故そう思ってしまったのか、その時代がどれだけ悲惨だったかは書いてはありませんでしたが、あなたが神になった方法は、とても許すことはできません。
なので安心してください。
あと数年後にこの大陸からあなたの信仰も、他にあるかもしれない核も消え去ります」
私はそう言いながら暴れ回る彼を逃さないよう障壁に、集中しながらゆっくり歩いて近づき。
彼の前に。
私達は右腕を振りかぶり。
「ではさようなら」
「「魂厄破棄です」っす」
全力で殴りつけた。
次で一応酒のおつまみは完結です!
あざっした!




