聖女の時間
んーなかなか攻めてくれないですね。
一応討伐対象なんですけど。
私は戦場の最前線に立ち何度も攻めてくるように叫んだのですが、一向に動かない敵軍を見ながら困惑しました。
なので、同じ台詞を何度も何度も叫び、内心とても疲れました。
そして叫ぶこと58回目にして、コースレ王国の騎士団長であるバーゼル侯爵様が、降伏勧告をしてきました。
もちろん死にたくないので拒否します。
そして我が公国の兵士に向かって何やら宣誓をしているようです。
どうやらグラム王国軍と間違えられてますね。
さて、バーゼル侯爵様の号令によって敵兵達が攻めてきました。
ここですね。
「我が公国の兵士たちよ遠慮はいらない。
後始末は任せなさい。
私、ステファニー・グラムの名において約束します。
全力で、敵兵を討ち取りなさい!」
おぉーおぉーおぉー
そんな声を聞きながら
「さあ、王妃としての時間は終わりました。
聖女の時間です」
誰にいうわけでもなく自分に言い聞かせ、作戦を皆に話した時を思い出す。
「ステフ、作戦が納得いかなかったら絶対に止めるからな!絶対にだ絶対に!」
「わかってますから少し落ち着いて聞いてください。
作戦は実に単純です。
今から我が公国に行き、公国の歩兵と馬に乗る騎士達と共に寝ずにひたすら走り続け辺境伯領に向かいます。
私は聖女ですから、常に体力共に心身を回復できます。
睡眠不足など眠っていても解消できます。
動物であってもです」
「移動の手段についてはわかったが、これは戦争なんだ、ステフはどう戦うというんだ。
もし厄災である呪術が時間により解消されても。殺し合いをした事実は変わらない。
この戦争で余の国が勝っても必ず。
ステフの悪名が立つでわないか」
そう顔を下に向け、歪んでいるであろう顔を隠す陛下に少しときめきを感じつつ、ため息をつきそうになりました。
「陛下、大丈夫ですよ?多少の悪名はつくと思いますが、普通の戦争より沢山の人を救えます。
簡単ですよ。我が公国家軍の全員に絶対に破られない障壁を貼り。
敵軍も死なないように回復すれば、全て解決です。
そして、呪術の影響を受けてるであろう高位の貴族たちを浄化して仲間に加えます。
最終的には二つの国の軍を仲間にし、休みなく行動し。
迅速を持って。
辺境伯と教皇を討ちます」
唖然とする皆をよそに、私の友人が爆笑している。
「宰相が笑っているな。
この作戦に反対するものは許さん。
王としての全てを賭けて。
絶対に。
『王妃の邪魔をするな』
」
この場で陛下の言葉を聞いた人たちは。
無意識に椅子から床に跪いた。
体を震わせながら。
「陛下、覇気を抑えてください。
苦しいです」
「そうですわよ!陛下といえどわたしの王妃を苦しめるのは許しませんわ!」
私の友人以外。
王であるウルバルトは頭の中で。
止めたいが。
愛する妻が戦場にいく。考えるだけで、、、
『 』
「ウル、それはダメです。
落ち着いてください。私を信じてくれないんですか?信じてくれますよね?」
「、、、、ステフ?」
「はい、貴方のステフですよ」
ものすごい覇気を放つ彼をどうにか引き止められた。
「暴走してしまったね。呪術を受けてからどうしても力が安定しない。
こんな俺に本当に王は務まるのか?」
正気にもどったウルがまたバカなことを言いましたね。
「何を言っているのですか?もうすでに国王なんですよ?
ウルがダメダメな事は知っていますし。
皆も分かっていますよ」
「俺がダメダメなことが?」
「違います、周りを見てください。
ウルが王の器であることがです」
「王の器?」
ウルが困惑した顔で聞いてきます。
「そうですよ。
王とは別に完全無比でなくてもいいんです。
そのために私や家臣たちがいるのです。
それに身体が無意識に、跪く王はそう多くありません。
今も覇気を放っていないのに、跪いている皆を見てください。
ウルを王として認めているからですよ」
「当たり前ですわ!私の友人の夫が情けないことを言わないで欲しいですわ!」
唯一平気だった私の友人がウルに叫んだ。
「宰相。認めてくれるのは嬉しいが。
余は王だぞ、少しは言い方もどうにかできないか?」
「できませんわ!それに許可は私の夫であるアルバートと王妃様に取ってあります」
「そっそうか、それでは何もいえないな」
私はウルを見て、バレないようにため息をついた。
「そういえばステフはわかるが、何故宰相は何ともないんだ?」
「その事ですか。今は内緒です」
この事は私の友人だけに伝えてある。
この先とても重要なことを。
なので絶対に喋りません。
「頃合いですね。結構時間使いました。
両軍死者もなし。
今からこの戦場は私の空間です」
私は次の瞬間、総大将の前に行き、全力で殴った。
友人に、戦争にでる条件として出されたので。後でバレると大変ですし。
「何だよそれ、絶対勝てないだろ!
瞬間移動とか壊れない障壁?今の俺様でも対応できねーよ」
種明かしをしたバーゼル侯爵様に言われた。
「でも、瞬間移動するための空間掌握には時間がかかります」
「その時間を壊れない障壁貼られた軍隊が稼ぐんだろ。しかも嬢ちゃんには軍隊より強力な障壁貼ってあるしな」
「死にたくありませんし障壁は貼りますよ」
当たり前のことを言う私。
バーゼル侯爵様は顎髭を触りながら。
「嬢ちゃんの国とは戦争したくないな絶対負ける」
「今してますよ?」
「それを言わないでくれよ」
そう言った後すぐに。
「嬢ちゃん、あの野郎を殺りにきたんだろ?
野郎はテントの中にいる。ついてこい」
「え?このまま行くんですか?」
「今これを止めたら野郎は絶対に逃げる。
それだけは避けたい。あいつらには悪いが、この機会を逃す訳にはいかねー。
それに嬢ちゃんの力があれば誰も死なねーだろ」
「たしかに死にませんけど、、、心が」
俯きながらそう言う私に。
「それこそ気にするなよ。
ここは戦場。
生きるか死ぬかの世界であり、全てが理不尽。
死なないだけ儲け物だ」
それを聞いた私はバーゼル侯爵様に何もいえなかった。
次の投稿は来週になります。
見てくれてあざっす




