第96話:話はまとまりました
何度も何度も謝るアラン殿下とアイリ殿下。
「申し訳ないけれど、どれだけ謝罪されても僕は許すつもりはないよ。僕を侮辱したことは、最悪許すことが出来る。でも…ソフィーナの事は、絶対に許せない!一歩間違っていたら、ソフィーナは命を落としていたかもしれないのだぞ!ソフィーナの命を、何だと思っているのだ!」
いつも穏やかなファラオ様が、珍しく声を荒げている。
「殿下のおっしゃる通り、私も許すことはできません。娘や息子、さらに我が家の使用人たちにした仕打ちは、決して忘れる事など出来ません。本来なら国ごと地図から消滅させてやりたいくらいです。
ですが、いくら王族が愚かでも、その国に住む民たちには罪はありません。ですので、あなた方の国を滅ぼすような事はしませんのでご安心を。
ただ、彼らが行った事は、到底許せることではありません。彼らの処分の仕方で、慰謝料などを決める事にしましょう。とはいえ、既にアラン殿下の王太子はく奪、2人とも僻地で幽閉生活が決まっているのでしたね。ぜひ実行してくださいね」
口だけでなく、ちゃんと行動で示せよ!そう言わんばかりの、お父様の圧。さすがに大丈夫だろう。
「リレイスト公爵殿の寛大なご対応、感謝いたします。国に戻ったら、すぐに2人を幽閉いたします。そして彼らの弟を、正式に王太子に就任させます」
「お2人の弟君をですか。今度はまともに育てて下さいね」
「はい、もちろんです。二度とこのような事が起こらない様に、弟には厳しく躾けますので」
冷や汗をかきながら、必死に弁解するアラバシア王国の国王陛下。
「それでは慰謝料などについては、後日アラバシア王国に使いを送ります。もちろん返答次第では、こちらも出方を考えさせていただきますから」
「承知いたしました。本当に申し訳ございませんでした。それでは、失礼いたします」
完全に顔が真っ青になり、放心状態のアラン殿下とアイリ殿下を連れ、船に乗り込んでいくアラバシア王国の陛下。こちらを振り向き、何度も頭を下げている。正直陛下の姿を見ていると、なんだか気の毒になる。
とはいえ、彼らを野放しにしていた陛下にも、責任はあるだろう。
「これからまた、忙しくなるな。今後100年は、資源を無償提供してもらわないと割に合わんな。それから慰謝料は…」
「公爵、気持ちは分かるが、あまり無理難題を言うと、本当にアラバシア王国が破産してしまうぞ。それに、結局平民たちにしわ寄せが行くのだから、常識の範囲内にしておこう。
それよりも、私のセリフを全て取ってしまって。私の存在が、完全に空気みたいになっていたじゃないか!」
「陛下はその様な事を気にしていらっしゃるのですか?私は息子と娘が大けがを負わされたのですぞ。それに馬車の件は、私とアレソーヌ侯爵、ローディン伯爵とルドルフ殿が中心となって動いたのです」
「私だって、息子があんな写真に加工されたのだぞ。それに馬車の事故の件は、私も多大なる協力をしたはずだ。そもそも、アラバシア王国の国王に連絡を取ったのも、私だぞ。それなのに、一番美味しいところをもっていきよって!」
「父上も公爵も、落ち着いて下さい!とにかく、ひとまず解決したのですから。それよりもソフィーナ、どうして僕を避けていたのだい?君が彼らを断罪したいという気持ちは理解できるが、それでも僕には全てを話してくれてもよかったのではないのかい?
僕がこの10日間、どれほど不安な日々を過ごしたか」
「ファラオはともかく、どうして父上もソフィーナも、俺をのけ者にしたのですか?さすがに今回の件は、俺だけ知らなくてショックでしたよ!」
「ファラオ様もお兄様も、ごめんなさい。ですが、アラン殿下を油断させるためには、ああするのが一番だと思ったのです。“敵を欺くには、まず見方から”と言いますし…」
もしかしたらファラオ様の動きを、あの2人に見られているかもしれないと考えていたのだ。彼らに怪しまれないためにも、ファラオ様やお兄様も一緒に騙すことになってしまったのだ。
「すぐにでも2人に話をするべきだと言ったソフィーナを止めたのは、私だ。アラン殿下を侮ってはいけないと思ったからね。ソフィーナは、私の指示に従っただけ。
それにソフィーナは、あんな写真を見せられても、一切ファラオ殿下を疑わなかったのだよ。それどころか、ファラオ殿下を侮辱した2人が許せない!そう言って怒っていたくらいだ。それだけソフィーナは、ファラオ殿下を信頼しているという事ですな」
そう言って笑ったお父様。




