第97話:一件落着です
「ファラオ様が私を裏切る事などないと、信じておりましたので。それにしても、あのような写真を作ってくるだなんて。今でも腹が立ちますわ!ファラオ様、お兄様、今回の件で辛い思いをさせてしまって、ごめんなさい。
特にファラオ様、寂しかったですよね。こんな私ですが、これからもずっと傍にいて下さいますか?」
「もちろんだよ!僕は君がいないと、もう生きていけないくらい君を愛している。もしソフィーナがアラン殿下を選んだら…そう考えたら気が気ではなかったくらいだ。それにソフィーナは、公爵の指示に従っただけみたいだし」
「ソフィーナ、君は知らないだろうが、もしソフィーナが本当にアラン殿下の元に行ったら、アラバシア王国に乗り込んで、君を取り返すつもりだったんだよ。すでにセシルが、騎士団長たちと密かに準備を進めていたくらいだ。
我が国としても、公爵令嬢を騙して連れて帰ったとあれば、黙ってはいられないからね。ちなみに後ろには騎士団長やセシルたち騎士団が、控えていたのだよ」
ハァっとため息をつくお兄様。まさかそんな大事になっていただなんて…
「私のせいで、申し訳ございません。どうしましょう、まさか騎士団の方たちにまで迷惑をかけていただなんて」
「ソフィーナ、そんなに気にする事はない。我が国はずっと平和だったから、騎士団員たちも緩み切っていたからな。今回の件で、いつ有事が起こっても不思議でないという事を再認識し、たるみ切った団内が引き締まるきっかけになった。
その件に関しては、他の貴族や陛下たちも喜んでいた。今回の件は、各部署にも刺激になった様だ。とはいえ、今後あのような愚かな他国の王族が侵入してこない様に、対策を練る必要があるな」
「父上は、俺たちの行動を全て知っていたのですか?」
「ああ、知っていた。私だけでない、陛下や公爵以上と一部の侯爵たち、もちろん騎士団長も知っていた。いいか、ソリティオ、私たちはただお前たちに全てを任せていた訳ではない。ちゃんと陰で見守っていたのだよ」
どうだ、凄いだろうと言わんばかりに、お父様が威張っている。隣では陛下といつの間にか現れた騎士団長も、笑顔で頷いている。
「これからは君たち若い世代が、この国をしょって立って行く立場だからね。今回の件は、いい経験になっただろう。騎士団も、いつまでも平和ボケをしている訳にはいかないし。今まで以上に引き締めていかないといけないな」
そう言って笑っている騎士団長。ちなみに騎士団長は、セシル様のお父様だ。
「アラバシア王国との今後の交渉も残っているとはいえ、これで何とか片付いたな。それにしても、あそこまで我が国を侮辱するだなんて。一回痛い目を見せてやってもよかったかもしれないな…」
ボソリと陛下が恐ろしい事を呟いている。
「陛下の気持ちは分かりますが、結局血を流すのは平民たちです。罪もない平民を、いたずらに傷つけるような事は止めておきましょう。もちろん、アラバシア王国の出方次第では、考えなければいけませんが。
あれほど怯えていた国王の姿を見たら、さすがにこれ以上我が国を逆撫でする様なことはしないでしょう。まあ、引き続き見守る必要はありますが」
お父様の言う通り、アラバシア王国の国王陛下は、かなり怯えていた。きっとこれ以上我が国を怒らせることはしないだろう。
「皆さん、今日はお疲れ様でした。それから、ご協力ありがとうございました。騎士団長殿も、お忙しい中隊を動かしてくださり、ありがとうございます」
「私は騎士団長として、陛下や殿下たちをお守りしただけですから。もしアラバシア王国との交渉が決裂して、兵が必要になったらその時は、全力で対応いたしますから」
そう言って笑った騎士団長様。きっと冗談なのだろうが、冗談でもそんな恐ろしい事を言わないでほしい。戦争なんて御免だ。平和が一番。




