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前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません  作者: Karamimi


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第8話:夢を見ているのか?~ソリティオ視点~

 あまりにもあり得ない話に、俺は信じる事なんてできなかった。ただ、今回の事故に巻き込まれた使用人たちは、全員手厚い看護を受けたのだ。そんな事が本当にあるのか?


 さらに使用人たちの話では、事故に遭って以降ソフィーナはすっかり人が代わり、いつもニコニコしているらしい。暴言や暴力をふるう事もなくなったうえ、“ありがとう”“ごめんなさい”などという、ソフィーナの頭の辞書には存在しない言葉を発しているらしい。


 両親も心配して脳の検査を受けさせたらしいが、異常はなかったとのこと。


 本当にあのソフィーナが、人間としての心を取り戻したのか?どうしても俺には、信じられないのだが…



「お坊ちゃま、本当にお嬢様はお変わりになられた様です。先ほどお嬢様に呼ばれ、会いに行って来たのですが、今までの事を謝罪されました。私が“その様な事は気になさらずに”そう申し上げると、私向かい笑顔で挨拶を向けて下さったのです。


 その笑顔が可愛いのなんのって…コホン、失礼いたしました。


 やはり馬車の事故の影響で、人格が変わってしまわれたものと思われます。ちなみに私も本日、お嬢様からこの様な物を頂きました。


 “今まで散々迷惑をかけたお詫び”だそうです。こんな立派なネクタイ、私には勿体ないですな。でも、せっかくお嬢様が私の為に選んでくださったのです。大切に使わせて頂こうと思っております」


 いつも真顔で淡々と話す俺の執事が、顔をほころばせて俺にソフィーナの事を話したのだ。本当にソフィーナは変わったのか?


 それでも俺は、信用できない。やはり一度ソフィーナに会いに行くか。でも、わざわざ部屋を訪ねるのもな…


 そう思っている間に、1ヶ月が過ぎた。今日はソフィーナの怪我の最終確認の日だと聞いている。という事は、今日くらいから部屋から出てくるだろう。


 ソフィーナの事が気になりつつも、いつも通り過ごしていると、嬉しそうな顔で歩いているソフィーナの姿が目に入った。


 あれがあのソフィーナなのか?いつも眉間にしわを寄せて、不機嫌そうな顔をしていたのに。信じられない…


 あんなに嬉しそうな顔をして、一体どこに行くつもりだろう。まさか、怪我で動けなかった鬱憤を晴らすために、使用人虐めでもしようと企んでいるのか?


 気になってソフィーナについていく。中庭にやって来たかと思うと、嬉しそうに歌ったり踊ったり花を手に取ってみたりしていた。さらに庭師を見つけると、庭師の手を握り、感謝の言葉まで述べたのだ。


 これは夢なのか?あのソフィーナが、土で汚れている庭師の手を握るだなんて…傍によるだけで、怒り狂いそうなものだが。でも、実際は…



 そう思うほど、目の前ではあり得ない状況が繰り広げられているのだ。あまりにも衝撃的な姿に、足元に落ちていた木を踏んでしまったのだ。


 しまった、そう思った時には時すでに遅し。ソフィーナに気が付かれてしまったの。のぞき見していた事を知ったソフィーナは、きっと怒り狂うだろう。また面倒な事になる。


 そう思ったのだが、何を思ったのか嬉しそうに俺の方にやって来たのだ。それにしても、何がそんなに楽しいのだろう。そう思うほど、クルクルと回ったりしている。


 その姿は、まるで天使の様に愛くるしい。あのどうしようもない女、ソフィーナと同一人物なのか?やはり俺は、夢を見ているのかもしれない。とにかく一旦自室に戻って頭を整理しよう。


 そう考え、急いでその場を後にする。だが、動揺しすぎて木にぶつかってしまったのだ。そんな俺を心配し、駆け寄ってきてくれたソフィーナ。その上、手当てまでしてくれたのだ。


 俺の妹は、こんなに優しかったのか?いいや、ソフィーナには思いやりという言葉など、存在しないような女だったはずだ。それなのに、俺の事を心配するだなんて…


 増々混乱する。一体何が起こっているのだ?


 もっとソフィーナの事が知りたくて、お茶をすると言うソフィーナについていく事にした。

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