第69話:アラバシア王国から王族がいらっしゃいました
翌朝、いつもより少し寝坊した私。実はこの日、私は悪夢にうなされたのだ。怖い顔のファラオ様に、延々と怒られるという悪夢に…
急いで着替えを済ませ、朝食を頂く。まさかこんな大切な日に、寝坊をするだなんて。とはいえ、よほど昨日の事が私の中で堪えているのだろう。
もう二度と、ファラオ様を怒らせない様にしよう。そう改めて誓った。
「遅くなって申し訳ございません。王宮に参りましょう」
「ソフィーナ、なんだか顔色が悪いけれど大丈夫かい?」
「ええ、問題ありませんわ。昨日少し疲れた様で。万が一アラバシア王国の王族たちのお出迎えに遅れては、大変です。お兄様、早く参りましょう」
お兄様と一緒に、馬車に乗り込んだ。一応お父様も一足先に王宮には出向いている様だが、今回はお兄様やファラオ様、アレック様、セシル様などがメインでおもてなしをする事になっている。
未来のこの国をしょって立つ彼らに、託すことになったとの事。私も公爵令嬢として、次期王妃として、しっかりおもてなしをしようと心に決めている。
王宮に着くと、既にファラオ様・アレック様・セシル様が待っていた。
「おはよう、ソフィーナ。さあ、こっちにおいで。君に話しておきたい事があるからね」
早速ファラオ様に捕まり、別室へと連れていかれた。まさか昨日の事を、まだ怒っているのかしら?緊張が走る。
「ソフィーナ、今日はアラバシア王国から王族が来ることは知っているね」
「はい、知っておりますわ。私も公爵令嬢として、ファラオ様の未来の妻として、精一杯おもてなしをしようと思っております」
「ソフィーナの心意気は嬉しいのだが…その…今日来国する王太子と王女は、双子なのだが、相当のやり手らしくてね。彼らはうまく相手の心を掴み、自国に有利になる様な貿易を進めて来たとの事なんだ」
「なるほど、相当優秀な方なのですね」
「そうらしいよ。歳も16歳と僕たちと近いし、まだ2人とも決まった相手がいない様だよ。本来なら君には会わせたくはないのだが…王女殿下が来る以上、1人は令嬢をとの事でね。いいかい、どんなに王太子殿下が君に言い寄って来ても、決して近づいてはいけないよ。君はもう、僕との結婚が事実上決まっているのだから!
今更婚約をしたくないと言っても、ダメだからね!」
昨日に増して迫力のある顔で、ファラオ様が迫って来る。
「ファラオ様、どうして王太子殿下が私に言い寄って来ることが前提なのですか?私はファラオ様にしか興味がございませんので、ご安心を」
胸を張ってはっきりと告げた。そもそも私は、そんなに移り気の激しい女ではないのだ。
「分かってくれているのならいいよ。それでは行こうか」
ファラオ様と一緒に、お兄様たちがいる門のところにやって来た。ただ、この場所にはアレック様やセシル様もいる。2人を警戒しているのか、私の腰をがっちりつかんでいるファラオ様。
そんな姿を見た2人が、苦笑いしている。
その時だった。馬車がこちらにやって来たのだ。
一体どんな方たちなのだろう。
馬車が目の前で停車した。
ドアが開くと、中からゆっくりと男女が降りてきたのだ。
私と同じ銀色の髪に、金色の瞳をした男女。2人とも綺麗な顔をしている。それにしても、2人ともよく似ているわね。さすが双子だわ。
「お出迎えありがとうございます。私はアラバシア王国の王太子、アラン・ディア・アラバシアです」
「妹のアイリ・ツゥルース・アラバシアです。どうぞお見知りおきを」
にっこりとほほ笑んだ2人。
我が国も挨拶を…て、あら?なぜかみんな口を開けて固まっているわ。お兄様・アレック様・セシル様なんて、顔が真っ赤だし。なんて失礼な事をしているのかしら?あのようなお顔をするだなんて。




