第61話:話が進んでいきます
「公爵、夫人、ソリティオ、大切なお話しがあります。今宜しいでしょうか?」
「殿下、急にどうされたのですか?大切なお話しとは一体」
不思議そうな顔の両親と、なぜか苦笑いをしているお兄様。
そんな3人を他所に、私たちは並んで座った。
「先ほど、ソフィーナから正式に僕との結婚を認めてもらいました。ですので、早急にソフィーナと婚約を結びたいと考えております。今日王宮に戻ったら、両親にも話を進めます。ですので、明日王宮に来ていただけないでしょうか?」
「殿下、それは一体どういうことですか?ソフィーナ、殿下との結婚を承諾したとは、どういうことだい?」
ファラオ様の言った通りですわ。私もその…ファラオ様と共に、未来を歩みたいとそう思ったのです。ですから、その…」
何だか恥ずかしくて、もじもじしてしまう。
「父上、母上、ソフィーナはどうやら、ファラオの事が好きだったみたいですよ。今日もファラオを思い、幸せそうにブローチを作っておりましたから…本人はいつ気が付くのだろう思っておりましたが、案外早く気が付いたようですね」
「もしかしてお兄様は、私の気持ちに気が付いていたのですか?」
「ああ、正直認めたくはなかったが、ファラオに対する態度だけ、明らかに違っていたからね。俺はソフィーナにはのんびりと暮らして欲しいと思っていたが、本人が好きになってしまったのなら致し方ない。ソフィーナ、王妃教育はとても大変だよ。君に出来るかい?」
「ファラオ様の為なら、頑張りますわ」
「僕もソフィーナをしっかりフォローするから、大丈夫だよ。ソリティオ、ソフィーナを脅すような事を言わないでくれ!」
「すまない。ついにファラオにソフィーナを取られる日が来たかと思うと、なんだか寂しくてね。少しくらい、意地悪を言わせてくれてもいいだろう」
そう言って寂しそうに笑ったお兄様。お兄様と仲良くなってから、まだ数ヶ月しか経っていない。もし私がもっと早く、まともになれていたら、お兄様との思い出も、もっとたくさんあったはずなのに。
「ソフィーナの気持ちは分かったよ。君が殿下と共に未来を歩みたいというのなら、私たちは何も言わない。それじゃあ、明日にでも王宮に足を運ぼう。
貴族たちもきっと、喜ぶだろな。あいつら、散々ソフィーナでは役不足だと言って、ソラ嬢まで巻き込んだくせに。なんだか腹が立つが、致し方ない」
お父様が訳の分からない事をブツブツ呟いている。一体どういう意味なのだろう。
「実はね、ソフィーナが僕の誕生日パーティに顔を出してから、貴族たちの間ではソフィーナを僕のお嫁さんにという声が多く上がっていてね。ソラ嬢とルドルフ殿が婚約した時も、皆全力で祝福していたし。
確かに公爵の言う通り、僕もなんだか腹立たしいが…とはいえ、僕はソフィーナと結婚出来るのだから、これ以上何かを言うつもりはないよ」
なるほど。まともになった私をファラオ様のお嫁さんにしようと、周りが躍起になっていたのね。だからお父様は、周りに何を言われようと、自分の意思を貫きなさいと言ったのか。
でも、私に直接何かを言ってくる貴族は、結局いなかったが。
とはいえ、話しは纏まった様だ。明日王宮に出向き、正式に婚約を結ぶ話に進むのだろう。
「それでは僕は、両親にもこの話しを伝えないといけないので、そろそろ帰ります。ソフィーナ、また明日」
「はい、今日は来てくださり、ありがとうござました。お気をつけてお帰り下さい」
皆でファラオ様を見送った。
「ソフィーナ、おめでとう。これから色々と忙しくなるが、頑張りなさい」
「ソフィーナはきっと、殿下を選ぶと思っていたけれどね。あなた、最初から殿下に惹かれていたでしょう」
そう言って笑ったお母様。私が最初からファラオ様に惹かれていたですって。そんな事は、決してないはずだけれど…う~ん、よくわからないわ…
とにかく明日は両親と一緒に、王宮に向かわないといけないのだ。でもその前に、私にはやらなければいけない事がある。
しっかりけじめをつけないと。




