第52話:お昼を一緒に食べます
「ソフィーナは随分2人と仲がいいのだね…」
「ああ、俺とソフィーナ嬢は、とても仲がいいんだよ。そうそう、ソフィーナ嬢から貰ったハンカチ、大切に使っているよ」
「俺もハンカチを大切に使っているよ。それに花冠もカリフラワーにして、まだ大切に保管しているよ。初めてソフィーナ嬢が作った、大切な花冠だからね」
「2人とも、そんなに大切にしてくれているのですね。頑張って刺繍を入れた甲斐がありましたわ」
まさか今も大切に使ってくれているだなんて、嬉しい事だ。
「ソフィーナは2人に、刺繍入りのハンカチをプレゼントしたのかい?僕には何も送ってくれていないのに…2人には色々とプレゼントを贈っているのだね…それに2人だけの思い出もあるし…」
悲しそうな顔で私に近づいてくるファラオ様。さっきの馬車の中といい、今といいなんだか怖い。
「ファラオ様、落ち着いて下さい。そうですわ、ファラオ様にも刺繍入りのハンカチをプレゼントいたしますわ。ですからどうか、落ち着いて下さい」
「ソフィーナの言う通りだ。過ぎた事をブツブツ言っても仕方がないだろう。君はそのころ、ソラ嬢の事で色々ともめていたのだから。それに最近は、ずっと王宮に行っているのだからいいだろう?」
「そうだよ、そのせいで俺たち、ずっとソフィーナ嬢と会えなかったのだよ」
「独り占めは良くないよ、ファラオ。君だけのソフィーナ嬢じゃないのだから。まだ婚約者のいないソフィーナ嬢には、平等に扱ってもらわないと。ソフィーナ嬢、まだ婚約を結んでいないのだから、特定の男とばかり会うのは良くないよ。
まんべんなく色々な男と会った方がいい。だから今度、俺と一緒に出掛けよう」
「アレック、抜け駆けは良くないぞ。ソフィーナ嬢、俺と一緒にまた出掛けよう。そうだ、騎士団の稽古を今度見に来てくれないかい?俺の頑張っている姿を、見て欲しいな」
「騎士団だなんてダメだよ。あそこは男が多いから」
「ファラオの言う通りだ。さすがに騎士団にソフィーナを連れていくのは、俺も反対だ。ソフィーナが、男どもから嫌らしい目で見られたらどうするつもりだ!」
何やら言い合いを始めてしまった4人。さて、どうしたものか…
その時だった。
「ソフィーナ、おかえりなさい。殿下もソフィーナを送って来てくださり、ありがとうございます。皆様、お昼の準備が出来ておりますので、よろしければ食べて行ってください。食堂に準備してありますわ」
やって来たのは、お母様だ。さすがお母様、一瞬にして言い争いを鎮めてしまったのだ。
「母もこう言っておりますし、どうか皆様も、昼食を食べて行ってください。私、お腹がペコペコですわ」
「ソフィーナがそう言うなら、僕は頂いてくよ」
「俺も昼からもソリティオとまだ話があるし、頂いていくよ」
「俺も!」
「それでは皆様、食堂に参りましょう。どうぞこちらです」
皆を食堂へと案内する。その時だった、ファラオ様が私の手をギュッと握っていたのだ。いつも以上に強く握られている。
ビックリしてファラオ様の方を見ると、にっこり笑ってこちらを見つめていた。笑顔でいらっしゃるという事は、きっとご機嫌がなおったという事でいいのよね?そう思っておこう。
食堂に着くと、当たり前のようにファラオ様が私の隣に座った。それぞれ間隔があけられているのだが、イスを移動してきて私のすぐ隣に座っているのだが。
「ファラオ、そんなにソフィーナに近づいては、食事がしずらいだろう。もう少し離れた方がいいのではないのかい?」
すかさずお兄様が、ファラオ様に伝えてくれたのだが…
「問題ないよ。王宮ではいつもこれくらいの距離で、ソフィーナと一緒に食事をしているからね」
確かに王宮では、これくらい距離が近い気がする。というよりも、元々その様にイスが置かれているのだ。
「確かにいつもこれくらいの距離で食べておりますわね。という事は、我が家のイスの間隔がおかしいのかしら?お兄様、もう少しこちらへ」
少し離れて隣に座っていたお兄様にも声をかけるが
「俺はここでいいよ…ソフィーナが問題ないなら、そのままでいいよ」
なぜかお兄様が苦笑いをしている。アレック様やセシル様までも、顔が引きつっている気がするのは気のせいかしら?




