第28話:充実した1日でした
ボートを楽しんだ後は、周りにシートを敷き食事タイムだ。
「家の料理長が、美味しいお料理をたくさん作ってくれました。ぜひセシル様も食べて下さい」
「俺も沢山持ってきたよ。せっかくだから、交換しながら食べよう」
2人で仲良く食事をする。セシル様のお家のお料理も、とても美味しい。特にデザートは絶品だった。
食後は湖の周りを散策する。周りにはとても綺麗なお花が咲いていたのだ。
「ソフィーナ嬢、はい、どうぞ」
セシル様が、花冠を作って頭に乗せてくれたのだ。
「ありがとうございます。セシル様はとても器用なのですね。私もこんな可愛い花冠を、作ってみたいですわ」
「それなら、作り方を教えてあげるよ」
「本当ですか?嬉しいです。早速作りましょう」
セシル様に教えてもらいながら、花冠を作っていく。
「あら?おかしいわね、どうして上手く出来ないのかしら?」
不器用なせいか、上手く作れない。どうしてこんなにへたくそなのかしら。お花たちにもセリス様にも、申し訳ない。
「そんな悲しそうな顔をしなくても大丈夫だよ。ほら、こうやるのだよ」
セシル様が私の手を握り、それこそ手取り足取り教えてくれたのだ。その結果。
「出来ましたわ!セシル様。見て下さい、とても可愛い花冠が出来上がりました!」
「本当だ、とても可愛い冠が出来たね」
セシル様も嬉しそうだ。私の花冠第一号を、そっとセシル様の頭にのせた。
「とてもよく似合っていますわ。私が初めて作った花冠、もらってい頂けますか?」
「俺がもらってもいいのかい?でも、あんなに頑張って作ったのに」
「私にはセシル様が作って下さった、花冠がありますので。それに今日、こんなにも素敵な場所に連れて来てくださったお礼です。私、山がこんなにも素敵な場所だなんて、思いませんでしたわ。本当にありがとうございます」
セシル様が誘って下さらなかったら、山に来ることもなかっただろう。そもそも私はかつて、無謀にも森に行こうとして、事故を起こすという最低な事をしてしまった。とてもではないが、自分から森や山に行きたいだなんて言える立場ではない。
でも今回私を誘って下さり、こんな素敵な体験をさせてくれたセシル様には、感謝しかない。
「こっちこそ、今日は来てくれてありがとう。さあ、まだ少し時間があるし、目いっぱい楽しもう」
「はい」
その後も時間が許す限り、2人で湖に足を付けたり、森を散策して色々な動物たちを見たり、お花を摘んだりして楽しんだ。
そして…
「ソフィーナ嬢、起きて。ソフィーナ嬢」
「…ん?ここは?」
「君の家に着いたよ。よほど疲れていたのだね。馬車に乗ったら、すぐに寝てしまったのだよ」
そうか、私は今日、セシル様と一緒にピクニックを楽しんだのだったわ。馬車の揺れがとても気持ち良くて、すっかり眠ってしまったのだ。急いで馬車から降りる。
「申し訳ございません、私ったら眠ってしまうだなんて」
「それだけ楽しんでくれたという事だろう?俺もとても楽しかったよ。また一緒に、ピクニックに行こうね」
「はい、ぜひまた行きたいですわ。今日は本当にありがとうございました。この花冠、大切にしますね」
「俺も大切にするよ。それじゃあ、また今度」
「はい、ありがとうございました」
笑顔で手を振ってくれるセシル様に、私も手を振る。今日はとても楽しかった。ピクニックがあんなにも楽しいだなんて。空気もとても美味しかったし。
こんな経験、そうそうできるものではない。本当にセシル様に感謝だ。
今日はとても充実した1日だった。今度はお兄様も、連れて行ってあげたいな。




