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幼なじみ未満。こじらせ初恋に決着を  作者: 阿衣真衣


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9/22

同じならいいのに…

「えーめっちゃいいじゃん!」「藍葉くんって、優しいんだね。」

「うん。本当に楽しかった」

夏休み明け、桃花(ももか)天音(あまね)に笑いながら遊園地に行ったことを話す麻琴(まこと)を見て、結月(ゆづき)は嬉しくなった。


(めっちゃ嬉しそう。麻琴が自分から柊斗(しゅうと)くんの話を私以外にするなんて…

 それだけ二人に心開いてるってのと、よっぽど楽しかったんだろうな)

「それで?帰りはどうだったの?」


「…あぁ、帰りはね…」


「行きも助手席だったし、乗り物もほとんど隣だっただろ!だから、帰りは俺が助手席乗る!」

その主張通り、帰りの助手席は颯汰(そうた)が座った。

(まあ、お兄ちゃんのおかげでお化け屋敷行かなくて済んだし、これ以上騒いでも三人に迷惑かけるし…)


「あっ、ごめん。デカい二人が真ん中だと後ろ見えづらいから、麻琴ちゃんが真ん中に座ってくれる?」

(なるほど。でも、ということは…)


右に(みなと)、左に柊斗。

緊張しない訳がない…

背もたれにもたれず、持っていたカバンをギュッと抱える。

(もし電車とかでこの二人に挟まれたとして、緊張しない人なんかいるのか?)


「そんなに緊張しなくても… もたれたら?」

「…あっ、ありがとうございます」


「…って感じで、緊張して前しか見れなかった。

 まあ、お兄ちゃんが嬉しそうだったからいいけど…」

「それは、誰でも緊張する」

結月の言葉に二人も、うんうんと頷く。



夏休みが明け、体育祭に向けて本格的に動き出した。

委員会の集まりで顔を合わせることが多くなると、自然と会話も増えていった麻琴と柊斗。


「柊斗って、優しいよね。今まで話してなかったから気付かなかった」

「…うん、そうだね~」

委員会の帰り、結月は麻琴の言葉で中学の時のことを思い出した。


―中学の時

麻琴と結月はテニス部、柊斗と朝陽(あさひ)はサッカー部に入っていた。

テニスコートはグラウンドの片隅にあり、サッカー部と場所が隣で、お互いのボールがそれぞれの練習場所によく転がっていた。


サッカーボールがテニスコートに来ると、柊斗が必ず取りに来ていたし、テニスボールがサッカー部の所に転がって麻琴が取りに行くと、柊斗が走って手渡しで渡していた。

「柊斗って優しいよね。投げてもいいのに、必ず手渡ししてくれて」

麻琴は知らなかったけど、柊斗がそれをやるのは、麻琴に対してだけ…


麻琴がいない日にサッカーボールがコートに行っても、動かないし、先輩が「柊斗くん、ボールちょうだい」と言った時も、拾ったボールを他の人に渡してた。―


(サッカー部の後輩が麻琴にボール渡してたときは、めっちゃ怖い顔してたな…

 麻琴が他の人にボール渡したときもそうだったけど…)


「でもやっぱ女子苦手なのか、話してるとたまに顔に力が入ってるっていうか…

 近くなりすぎないように気を付けてるんだけど…」

(ん~… それは…)

結月は何て言っていいのか分からなかった。



体育祭前日、グラウンドが体育祭仕様に。

リハーサルを終え、委員会メンバーで明日の最終確認をして帰ることになった。


(体育祭が終わったら、もう委員会もないし、麻琴と話す機会なくなるな…)

「あれ、結月と麻琴じゃない?」

朝陽の前を見ると、二人が歩いて帰っているのが見えた。


「なあ、そのまま二人に声かけて流れで四人で帰るってのは?」

(それは嬉しいけど)「…」

「ほら、俺が声かけるから行くぞ」

柊斗の返事も聞かず行く朝陽。

自転車なので、あっという間に二人に近づいた。


「おつかれ」

「「おつかれ」」

朝陽の声に二人は振り向くとすぐに返事をした。


「二人で歩いて帰ってたんだ」

「うん。麻琴がいつも歩いてるって言ってたから、私も歩こうかなって」


「なぁ、体育祭終わったら委員会も終わるし、せっかくなら一緒に帰らない?」

「私はいいよ。麻琴は?」

「うん」

軽く頷きながら返事をする麻琴。


二人からのオッケーが出ると、朝陽と柊斗は自転車を降りた。

「サンキュ。考えたら小学校から一緒なのに、こうやってちゃんと話すの委員会で一緒になってからだよな」

「そうだね」

初めから二人で帰っていたんじゃないかと思うほど自然に会話をしながら前を歩く朝陽と結月。


その二人を見ながら、麻琴は朝陽が言っていたことを思い出した。

(確かに、委員会一緒になってから二人と話すようになったな。

 でも、そっか…体育祭が終わったら、また話さなくなるのかな…)

そう思うと寂しく感じる。


「…やっぱり二人で帰りたかった?」

二人をさびしそうに見る麻琴を見て、柊斗は心配になった。


「ううん。そんなことない。ただ、体育祭終わったらって考えたら、ちょっと寂しいなって…」

(それは、どういう意味なんだろ… 都合よく解釈していいなら、俺と同じ気持ちだって思いたい)


「たしかに…」

(意外。柊斗もそう思うんだ)


「ねぇ、朝陽くん。あの二人いい感じだと思うんだけど」

「俺も思った」

二人はチラッと後ろを見る。

一緒に帰ったこと、遊園地に行ったことは聞いたが、実際に二人が歩きながら話をしているのを見るのは初めて。


「ぶっちゃけさ、麻琴は柊斗のことどう思ってるの?」

「直接聞いたことはないけど、普通よりは好きだと思うよ」

「まじで?」


「うん。麻琴って意外と人の好き嫌いハッキリしてるから、こうやって話してるってことはそうだと思う」

「それって、もし嫌いな相手だと、どういうなるの?」

「めっちゃ距離とる。絶対に今みたいに並んで歩かない。用事あったって言って逃げ出す」


「それは…かなり分かりやすいな」

「本人も分かってはいるんだけど、出ちゃうんだよね…」

「柊斗と反対だな。俺はずっと一緒にいるから何となく分かるけど、他の人からしたら表情変わらなさすぎて分かんないから」


(あの二人、ずっと何の話してるんだろ。仲いいな)

(二人なんの話してんだ?余計なこと言ってないよな)


初めて一緒に帰った四人。明日の体育祭が終わったらどうなるのか…


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