表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼なじみ未満。こじらせ初恋に決着を  作者: 阿衣真衣


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/22

一緒に帰らない?

「「どうだった!?」」

柊斗(しゅうと)が体育館に着くと、待ってましたと言うように(みなと)颯汰(そうた)が詰め寄ってきた。

(朝の件か)「なったよ」


「「それで!?」」

さらに柊斗に詰め寄る二人の意図をよみとったのか、柊斗の隣にいた朝陽(あさひ)がサイ二人に向かってピースサインをする。

「お二人の計画は成功しました。 ちなみに、俺も同じ委員会です」

朝陽の報告に兄たちは嬉しそうだった。


「よっしゃー めっちゃいいじゃん。 朝陽、一緒によろしくな」

颯汰が朝陽の肩を叩きながら言うと、朝陽もニコニコ笑顔で返事をする。

「はい。俺も色々協力するんで」

(余計な事言うなよ…)

朝陽の言葉に二人は頷いている。


「柊斗よかったね~」

柊斗の背中をぽんと叩く湊。


「………と」

「柊斗、今なんて?」

周りの声にかき消されて柊斗の声が聞こえなかった三人が、キョトンとしている。


「……協力してくれて、ありがと…」

「しゅ…柊斗どうした?」「お前が素直に礼を言うなんて…」

普段揶揄ってくる三人に、お礼なんて滅多に言わない柊斗が、催促もしていないのに言ったので、颯汰と朝陽は戸惑っていた。


でも、湊だけは

「柊斗も、たまには素直になることだってあるよ。」

ね?と嬉しそうに肩を組んでくる。


少しして麻琴たちが入ってくるのを見た颯汰が

「あっ、麻琴だ! ちょっと、行ってくる! 湊!」

と言って二人で麻琴のもとへ向かって行った。



オリエンテーションが終わり、結月と桃花と教室に向かう麻琴。

「二人が委員会入った理由は聞いてたけど、お兄さん達嬉しそうだったね」

「妹と同じ委員会って。そんなに嬉しいのかな?」


(違うよ… お兄さん達が喜んでいたのは、計画通り二人が同じ委員会に入れたからだよ!)

口から出そうなのを必死で押さえながら、心の中で叫ぶ結月。


「じゃあ、ゆづ また委員会でね。 ももちゃんも、またね」

「あとでね~」「またね~」

教室前で二人と別れる。


掃除時間は同じグループの子に藍葉兄弟について早速質問された。

みんな期待して私から情報を聞き出そうとするが、思ったような答えが返ってこないので、そこから会話が続かず…

(ふぅ~ この調子だとクラスで友だち作るの難しそう…)


掃除を終え、教室で結月を待つ。

机の上に乗せたカバンに頭を置き少しボーッとしていると、目の前に人が立った。

「麻琴、委員会行かないの?」

視線を上に向けると朝陽だった。


「ゆづと一緒に行く約束してるから待ってるの。 朝陽くんは柊斗と行くでしょ?」

朝陽は少し考えるような表情。

「あー…俺も約束しとけばよかったなぁ 忘れてたわ。

 そうだ、俺ちょっとトイレ行ってくるから柊斗に待っといてって言っといてもらっていい? 

あいつ一人で行っちゃいそうだから(ちょっと無理矢理過ぎたか?)」


「別にいいけど…」

「サンキュ! じゃあ、あとで」

そう言ってニコニコしながら教室を出る朝陽。


(よく考えたら、隣行って柊斗に伝えてから行けばよかったんじゃ… 

まあ、いいか ゆづが終わったか気になるし、見てこよ)

そう思い教室を出ると、右から歩いてきた人とぶつかりそうになった…


「あっごめんなさい…」

謝りながらぶつかりそうになった人の顔を見ると、柊斗だった…


(危なー止まらなかったら柊斗のみぞおちに頭ぶつけてたわ… 

 次から教室出るときは、ちゃんと確認しないと)



(近っ! やっぱ小さいな。可愛い… いっそ軽く当たってくれたらよかったのに)

「―…こっちこそ。 …朝陽いる?」


「あっ朝陽くん今トイレ行ってて、柊斗に待っといてほしいって言ってたよ。そろそろ戻ってくると思う」

「わかった。ありがと」

(あいつ、わざと伝言頼んだな。話せて嬉しいけど、パシリみたいにすんなよ…)



(何でかな、動けない… それにして、やっぱ背高いなぁ)

目の前に立つ柊斗の顔を無意識に見上げる麻琴。


(え… 麻琴がめっちゃ見てるんだけど…俺なんかヤバい顔してる?)

麻琴を見てだらしない表情になってるんじゃないかと思った柊斗はキュッと顔に力を入れた。


(ヤバっ 見てたから怒ったかも… 見てごめん)

無意識だったとはいえ、顔をじっと見ていたから柊斗が嫌だったのではないかと思い、すぐに目線を落とす。


二人して動けず、廊下に立っていると、外の掃除から戻った結月と、トイレから戻った朝陽と鉢合わせた。


「このまま四人で向かおう!」

朝陽の一言で結月もカバンを取って来て、四人で委員会に向かう。


「おっ仲良く四人で来たのか?」

颯汰がニコニコしながら教室に入ってきた四人を見た。


名簿を作るため、座る前に教壇にある紙に名前を書くことに。

「柊斗~俺のも書いといて~ そうだ!ついでだから二人の名前も書いてあげなよ」

柊斗へのパスに気付いた結月も朝陽に便乗する。

「えっ、いいのかな~ありがとう。 でも、柊斗くん私の漢字わかんないかも?麻琴、教えてあげて」

(結月、ナイスアシスト!)(さあ、二人で会話を!)


二人からの視線に戸惑う柊斗。

(二人ともあからさま過ぎないか?

てか小学校から一緒で、菊名結月なんて何も迷う漢字ないし。 変に思われたらどうするんだよ…

ほら、麻琴が首傾げてる)


「?(柊斗ならゆづの漢字分かると思うんだけど)

 あ、うん。それじゃあ、ゆづと二人分私書くから、柊斗は朝陽くんの…」

「ついでだし、まとめて俺が書くよ…漢字教えて」

(焦って食い気味だったぁ… 漢字も本当は分かるし)


(言われたらしっかりやり遂げたいのかな)「…ありがと」


結局漢字を教えることなく、スラスラと書く柊斗の隣にいただけだった。

「これであってる?」

「うん。ありがとう。やっぱり柊斗の字綺麗だね」

(ホント綺麗。なんか、柊斗に名前書かれた時ドキドキしたなぁ。)


字を褒められ、向けられた笑顔にドキッとしながらも悟られないように平然を保つ柊斗。

「どういたしまして」

(麻琴の名前書くの緊張した。 ずっと隣にいたし。 強引だったけど、二人には感謝しないとな)


二人が席に着こうと振り向くと、二人を見ていた朝陽と結月は揃ってニコニコ。

「結月楽しそうだね。 朝陽くんと話してたの?」

「ううん。委員会何するのかな~って楽しみで」

「たしかに。何するんだろ」


委員会の仕事内容と自己紹介で顔合わせが終わり、帰ろうとしたとき、颯汰が四人に話しかけてきた。

「おつかれ。みんな、部活見学行くの?」


「俺と柊斗はサッカー部行きます」

「じゃ、一緒行くか。 二人は?」


「私は友だちと約束してるので」

「そっか、引き止めてごめんね」

「いえ。それじゃ明日ね~」

結月は四人に手を振り教室を出て行った。


「それで麻琴は?」

「帰る」


「そっか。じゃあ、四人でサッカー部行こうか!」

「?(四人って言った?言い間違いか、聞き間違いか) じゃあ、また明日…」

「四人でって言ったじゃん。麻琴も行くよ~」


「は?なんで?」

急に掴まれた手を振り払おうと、腕をブンブン振るが全く離れない。

指をはがそうとしたり、叩いていたが効果なし…

「いいから、いいから」と颯汰に引っ張られた。

その後ろを、柊斗と朝陽が付いていく。


(今逃げたら面倒くさいし、とりあえず行ってグラウンド着いたら帰ろう…)

掴まれた手は離れそうにないし、家でグチグチ言われるのも嫌なので、抵抗は諦めた。


「なんでジャージ被ってるの?」

引っ張られながらジャージを頭に被り、顔が見えない麻琴に颯汰が理由を聞くと

「周りの視線を見たくないから」

と少し怒ったような声で答えた。

そんな麻琴に対し「よくわかんね~」と颯汰が笑い飛ばす。


「俺ら、どう思われてるんだろうな…」

朝陽がボソッと呟くが、柊斗は周りの視線より、麻琴が転ばないかだけが心配だった。


「颯汰、委員会おつかれ。 柊斗と朝陽は見学か。

 …って、もしかして麻琴ちゃん?連行されてきたみたいになってるけど、大丈夫?」

先に練習を始めていた湊は麻琴の格好を見て驚いた。


「大丈夫です。下は見えるので」(こんなメンツと一緒にいるの見られたら、どう思われるか…)

湊からの質問に、顔を出さずそのままの格好で答える麻琴。


「そういう事じゃないけど… ほら颯汰は着替えておいで~」

湊に言われて、颯汰は麻琴から手を離した。


(やっと解放された~)後ずさりしたまま、そーっと帰ろうとすると…

「あっ! 麻琴が帰らないように見張っといて! 30分は居る約束だから」

颯汰がビシッと指さし、三人に言う。


「そんな約束はしていません」

「じゃ、よろしく~」

麻琴の声は聞こえないとでも言うように、颯汰は着替えるため部室へ入っていった。


(今なら帰れるけど、そうしたら三人に迷惑かかるし… 家でうるさそうだし…)

「はぁー 兄がすみません…少し見学したら帰ります。」

ジャージを被っているので顔は見えないが、三人の大変そうだな~という視線を感じた。


「それじゃ、俺も行くね」と湊が練習に戻ると、見学の人たちの歓声が聞こえた。

(歓声すごっ! 見えないけど、見学いっぱいいるんだろうなぁ)


「二人とも、お兄ちゃんがごめんね。一応、30分はいるから安心して。

それじゃ、私離れたところで見るから。 また明日ね」

そのまま、人のいないグラウンドの観覧席の方に向かって歩いて行く。


「柊斗、一緒に見学したら?」

「いや…」

(急ぎすぎて逃げられても、あれか…)

まだ高校入って二日目。言ってはみたが、あまり焦るのもよくないなと思い、それ以上は言わなかった。


反対側の石積みの観覧席、人がいない上の方の石段に座り見学している麻琴を見て、朝陽が呟く。

「あんな無理矢理連れてこられたのに、ちゃんと見学するんだから偉いよな~」

その姿を柊斗も見ていた。


(一応、家帰って何も言われないように、30分いたという証拠を残しとくか…)

麻琴はグラウンドを走る兄の写真を一枚撮影し、イヤホンをセットして立ち上がる。


「帰るみたいだな」

「ああ…」

「なあ、少しでもいいから一緒に帰ってみたら?」

「…」


「ほら、部活入らない代わりに歩いて帰るって言ってただろ。

ちょっと声かけて、自転車でサーっと通ればいいじゃん」

「…」

「部活はじまったら、こんなチャンスないぞ。」


(確かに、朝陽の言うとおりかもしれない)

「行ってくる…」

朝陽に背中を押され、柊斗は見学をあとにし麻琴のあとを追いかけた。


(それにしても、今日は柊斗と顔合わせること多かったな~ 

 朝はバスから見たし、昼休みと委員会もあったし。そういえば、委員会一緒になるの初めてだ。

無理矢理連れて行かれたけど見学まで一緒に行ったし…?)

柊斗と学校で顔をあわせたことを考えながら歩いていた。


すぐに麻琴に追いついた柊斗。

(一言声をかける)深呼吸して、声をかけるため、麻琴との距離を詰めていく。

(イヤホンしてるけど、聞こえるかな… よし)

軽く気合いを入れて、声をかける。


「おつかれ」

柊斗が頑張って出した声は、イヤホンで音楽を聴いていた麻琴の耳にハッキリ届いた。


「…お、おつかれ」

(びっくりしたぁー…)

柊斗のことを考えていた時に、本人から声をかけられて、ドキッと心臓が跳ね、気恥ずかしくなった。

 

(聞こえてた~)ホッ

顔は平然を装っているが、聞こえていたか内心ドキドキしていた柊斗は、麻琴が反応してくれて安心した。


(声をかけたのはいいけど、そのまま帰るのもな…

 かと言って、会話も… こんな時、もし仲のいい幼なじみだったら普通に話しながら一緒に帰れるんだろうな…)


(えっと…これはどうすればいいんだろう。

 てか、もう見学終わった?朝陽くんは一緒じゃないけど…

それにもし、仲のいい幼なじみだったら、こういう時一緒に帰ったりするのかな…)


(まただ…)

いつからか “仲のいい幼なじみだったら”と考えるたびに胸がチクッと痛くなる…


長い間話していないし、こういう状況にもなったことがないので、お互いに戸惑っていた。

若干、気まずい空気が二人の間に流れる。


「…もう見学終わったの?」

その空気に耐えられなくなった麻琴が柊斗に尋ねた。

「あぁ、うん。 早めに切り上げてきた」

「そうなんだ。そういえば、見学してるとき先輩とかに話しかけられてたね」


(え?俺のこと見てくれてたの?)

実際、サッカー部の先輩や見学していた女子の先輩たちに話しかけられた。

柊斗は面倒くさくて「あぁ、はい」しか言わず、ほとんど朝陽が答えていたが…


「うん。それがあったから見学やめた。サッカー部に入ることは決めてたし」

(たしかに、あれは大変そうだった)

「柊斗みたいなことには一生ならないと思うけど、もし私もあんな状況になったら耐えられないわ」

クスッと笑う麻琴。


(うっ…可愛すぎないか!? 心臓止まる…)

心音が聞こえるんじゃないかと思うほど、鼓動が大きくなる柊斗。

このまま会話が終わってしまって、一緒に帰れなくなるのは嫌だと思い、頭をフル回転させ話題を探す。


「…写真、何撮ったの?」

「? ああ!あれね。(見られてたんだ) 30分はいたって証拠を撮ったの」

「なるほど」


会話が途切れる…

「えっと、それじゃあ明日ね」

(もしかしたら、一緒に帰れる最後のチャンスかもしれない…)

そう思った柊斗はまたがっていた自転車から降りた。


? 突然自転車を降りた柊斗に、軽く首を傾げる麻琴。

「もしよかったら、一緒に帰らない?」

「っ……うん」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ