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幼なじみ未満。こじらせ初恋に決着を  作者: 阿衣真衣


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4/22

ちょっとずつ…

入学式翌日の登校。

麻琴(まこと)がバス停に向かうともう結月(ゆづき)がいた。


「ゆづ、おはよ~」

「おはよ。 昨日は大変だったね。 今日も大変かもしれないけど」


入学式の後、ホームルームが終わり帰ろうとした時…

「ねぇ、プラカード持ってた先輩と話してたけど知り合い?」「リボン着けてもらってなかった?」

「隣のクラスのイケメンくんと先輩って兄弟なの?」と質問攻めにされた麻琴。


「あの人はお兄ちゃんの友だちで…」といつものように答えていると、結月が帰ろうと声をかけてくれた。

「友だち来たから…」と帰ろうとすると、まだまだ聞き足りないといった様子の女子達から

「また明日聞かせてね」と言われてしまった…


「あはは~ まあ、慣れてるっちゃ慣れてるし。 

 でも、私に聞いたところで何もないから、逆に申し訳ないわ」


バスに乗ると、同じ学校の人や通勤の人で席が埋まっていたので、立つことに。


「あのさ、ゆづにお願いがあるんだけど…」

「いいよ。なに?」

「実は…」


「俺がいるから、麻琴も体育祭実行委員な! 同じチームだし、せっかくだから一緒やろう…って聞いてる?」

「聞いてる、聞いてる。 じゃ、いってきまーす」

「絶対だぞ!」

家を出る前、しつこく委員会のことを言う颯汰(そうた)を振り切って家を出てきた。


「なるほど。 それで私にも委員会に入ってほしいってことね」

(それに、お兄さんがしつこく言ってきたってことは、たぶん柊斗(しゅうと)くんのところも…)


「体育祭実行委員ね。 中学の時はダメだったけど、今度は成功させよ」

「……わかってる」


同じクラスになったことがないだけでなく、同じ委員会にもなったことがない二人。

そんな柊斗を可哀想に思った兄たちが、中学の時も同じ委員会になれるように作戦を立てたが、残念ながら叶わなかった…


(みなと)~」

「来た。 じゃあ、しっかりね!」

颯汰に呼ばれた湊は、念を押すように柊斗の肩をぽんと叩き、一足先に学校へ向かった。


「ありがと!助かる!」

結月が嫌がったり、断ったらどうしようかと思っていたが、あっさり了承してくれて安心した。

「どういたしまして。

 まあ、お互いなれるか確定じゃないけどね…」

(たしかに… ゆづがなれない分にはいいけど、ゆづがなって私がなれなかったら、申し訳なさ過ぎる…)


「あっ、あれ柊斗くんじゃない?」

結月の指さす方を見ると、ドラマのワンシーンか?ってほど颯爽と自転車を漕いでいる柊斗がいた。


「ホントだ」

「手振ってみたら?」

「え?なんで?(見てもないのに?)」


結月は悪戯な笑顔を浮かべる。

「ん~見たら面白そうだから?

 いいじゃん、どうせ気付かないだろうし。試しにね?

 ほら、私お願い聞いたし!」


「そうだけど… 一回だけ。一瞬しかやらないからね」

うんうんと満足そうに頷く結月。

(たまに、こういうことさせるけど、何が楽しいんだろう…)


どうせ見ないだろうと、柊斗に向かって手を振ってみる。

(ま、見ないよね)「はい、これでいいでしょ?」

「オッケー」

(よく分からないけど、満足したならいっか)


―でも、もし柊斗が見たらどんな反応したんだろう…

 無視した?…それとも振り返してくれた?


振った手を見ながら考えると、胸の辺りがキュッとなった…


(あ、麻琴だ)

前を走っていたバスの中に麻琴を見つけた。


(並んだら見てくれるかな…)

そんなことを思いながらスピードを上げる。

バスはすぐにまた前を行ってしまったが、少しだけ並べた。


―見てくれたかは分からないけど、もし見ていてくれていたら…


そう思うと、自然と口角が上がってしまう…

一瞬で元に戻すが。


「柊斗おはよ~」

「おはよ。 あのさ、頼みがあるんだけど」

「なぁに?」

「それが…」と委員会のことを朝陽(あさひ)に話す。


「なるほど。いいぜ」(先輩たちも考えたなぁ)

(朝陽だったら、麻琴と一緒でも安心だし)「助かる」


「俺が麻琴と同じクラスでよかったな」



昼休み


白木(しらき)さん、一緒に食べない?」

(柊斗と湊さんのこと聞きたいんだろうな…)

誘ってくれた子の目が、今まで見てきた子たちと同じだった。


「ごめんね。友だちと約束してて…」

お弁当を持って立ち上がる。

「そうなんだぁ。 じゃあ、また今度よろしく」


返事はせず、手だけ振って結月の教室に向かう。


麻琴が教室を覗くと、結月はクラスの子と話をしていた。

(気付くの待とうかな…)

話している中に入っていく勇気はなく、廊下で待つことにした。


「結月と約束? あれ?入らないの?」

朝陽に急に声をかけられてビクッとなる麻琴。

(急にデカい声で声かけられたらビビるだろ! でも…)


自分の名前が聞こえて、振り向いた結月が麻琴に気付いた。

「気付かなくてごめんね。来てくれてありがと。」

「邪魔しちゃ悪いなと思って。 あっ、ありがと」

麻琴のお礼に朝陽は「うん」と言って、空いていた柊斗の後ろの席に座る。


「もう一人、一緒にお弁当食べたい人がいるんだけど…」

「久しぶり~ 誰か分かるかな?」


結月と一緒に教室を出てきたスラッと背の高いお団子ヘアのかわいい女の子。

(どっかで見たことあるような……)

「もしかして、ももちゃん!?」


「正解!五年ぶりなのに覚えてくれてたんだ!」

「ぅわ~久しぶり! だいぶ雰囲気変わったね。 でも、面影ある!」


ももちゃん…川口桃花は、小学生の時同じクラスになって仲良くなったが、五年生の時に転校してしまった。

「まさか、高校で会えるとは!めっちゃ嬉しい!」

「私も! 実はゆづと番号が前後で、名前見たときにもしかして…ってなって、昨日会ったときに『だよね!?』みたいな!」

「びっくりしたよね~ それで、麻琴を驚かそうって話して…」


話の続きはお弁当を食べながらということで、教室に入り三人で座れる場所を探す。


「食べる場所探してるの?」

朝陽が三人に声をかける。


「それなら、こっち座ったら?」

朝陽が指さした場所は、柊斗の隣の席。

「柊斗、机貸してあげなよ。 あとは、椅子持ってきたら食べれるでしょ」

柊斗は机をくっつけてセットする。


「「「ありがとう」」」


「麻琴はここに座って。 私達は椅子持ってくるから」

結月に押されて、柊斗の隣の席に座る。


朝陽は、結月に桃花のことを聞いて驚いていた。


(なんか小学校に戻ったみたい…

 柊斗とは、同じクラスになったことないから、一緒にお昼食べるの初めてだな…

 ちょっと緊張するかも)

(まさか隣で食べれるとは… 朝陽ナイス

 だけど、ちょっと緊張するな)


女子三人は自分たちの話に夢中。


「俺、いい仕事した?」

「まあ…」

「喜んでるのバレバレだぞ~」

(よっぽど嬉しいんだな。 いつもより素直だ)


モテるのに、十年片想いをこじらせている親友の嬉しそうな顔に、不覚にも可愛いと思う朝陽。

(麻琴にもこういう顔見せたらいいのに)



嬉しそうな顔から、何かを思い出したように急に厳しい顔を朝陽に向けた柊斗。

「―…さっき、廊下で… 急に声かけたら驚くから気を付けろよ…」

一瞬、柊斗が何の話をしているのか分からなかった朝陽だが


(…あぁ、察し)

さっき廊下で声をかけたとき、麻琴が驚いたことを言っているのだとわかった。

「了解」


(まったく… この目で一体何人牽制してきたんだか…)



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