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幼なじみ未満。こじらせ初恋に決着を  作者: 阿衣真衣


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21/22

初デートは…反省だらけ?

『誕生日おめでとー』

「ありがと!」

お昼休み、結月(ゆづき)桃花(ももか)天音(あまね)の三人が誕生日を祝ってくれた。


麻琴(まこと)ちゃん、おめでと! 私からは、これ! ってことで早速着けていい?」

天音からは、ヘアクリップとヘアピン。軽くアレンジしてもらい着けてもらった。

「かわいい~ 髪もありがと! 私もアレンジ覚えて着けるね!」

「デートの時もぜひ!」

「―…はい」


「次、私ね。おめでと~」

桃花からは桜の香りのハンドクリームとピンク系のリップ。

「ありがと~ かわいい~大切に使います」

「めっちゃ、ぽいなって思って。リップもナチュラル系だから使いやすいと思う。これで、藍葉くんともっと近づいてねっ!」

「―…ありがとうございます…」


「私からも。麻琴、誕生日おめでと~」

結月から貰った袋を開けると、中にはベージュのキャップが。

「ありがと! あっ、キャップだ~ ………結月さん?もしかしてこれ…」

「気付いた? 朝陽(あさひ)が誕生日に柊斗(しゅうと)くんにあげたものと色違い! あと、チョコは朝陽から」

「―…ありがとうございます。朝陽くんも…」


色々含みのある三人からのプレゼントに恥ずかしさはあったけれど、思われていることが純粋に嬉しい。

「みんな、本当にありがとう!」

「「「おめでと!」」」


「それで、昨日のデートはどうだった? 柊斗くんからプレゼント貰った?」

お弁当を食べながら、貰ったネックレスの写真を見せ、昨日の話をした。


「いいじゃん!素敵~」「思われてるね~」「二人で撮った写真とかないの?」

「そういえば、二人で写真は撮らなかったなぁ。 私も普段撮らないし、柊斗も好きじゃなさそうだから、写真撮るって考えがなかった」

「「「はぁ~(まあ、この二人ならどっちも写真撮ろうって言わないだろうなぁ…)」」」

三人の盛大にため息を聞いて、麻琴は昨日のことを反省した…


「―…まあ、写真は…うん。 それで?貰ってどうしたの?着けたの?」

「うん」



喜ぶ顔を見ていると胸が熱くなり、柊斗の右手は自然と麻琴に伸びていた。

「―………まこ…」


「ホントありがと! 今着けてみていい?」

麻琴に聞かれて、ハッと我に返り、伸ばしていた手をさっと下ろし頷く。


ありがとう。と言って、箱から慎重にネックレスを取り出し、桜のチャームを手に乗せ眺めたあと、着けようとするが、左手に箱を持っていたので、どうやって着けようかと戸惑っていた。

(これは着けてあげるべきだよな)

「俺が…」そう言って手を差し出す。


「あ、ありがとう」

そう言って柊斗にネックレスが入っていた箱を渡す麻琴―



「ストップ。それって、藍葉(あいば)くんが着ける流れじゃないの?」

麻琴の話を聞いて、一旦止めた天音に賛同するように、二人も頷く。


「……しまった!そういうことか! てっきり、持っとこうか。って意味だと思った…

 ドラマとかで見たことあったけど… そっか… いやでも、その場合、髪ってどうする?そのまま?

 それとも上げたほうがいい? って今さらだけど… というか、着けてもらうって考えたら恥ずかしくて、やっぱできないかも」

昨日の自分の行動を反省し、でも…と考えて頭を抱える麻琴。


(普段から人にお願いしたり、甘えたりするの苦手だから、やってもらうっていう発想がないんだろうな… でも、それにしてもねぇ…)

「麻琴がネックレス着けて、柊斗くんは喜んでくれてた?」

「―…うん」


思い出したのか、少し顔を赤くして照れながら頷く麻琴を見る三人の目は温かかった…




「どうでしょうか?」

ネックレスを着けて柊斗に尋ねる。

「―…似合ってる」

「…ありがとうございます。 今日の洋服も春っぽいから… ホントかわいい。あ、持っててくれてありがと」


駅に向かう途中にカフェがあったので、そこで少しお茶をしながら話すことに。

「ここは、今日のお礼に私が出したい」

「いい…」

「いや、出させてください。 チケットも出してもらって、プレゼントも貰ってって、もらいっぱなしだし…

全然足りないけど、やってもらってばかりだと気持ちが落ち着かないっていうか… だから…」


(普通におごってもらえばいいのに、律儀だよな… まあ、そういうところも…)

「―…じゃあ、お願いします」

「はい。じゃあ、柊斗は席お願いしていい?」

「ん」

時間的に店内は人が多かったが、二人で座れる席があり、そこで撮った写真を見ながら麻琴を待つ。


「ねぇ、あっちに座ってる人かっこよくない?」「ホントだ、正統派イケメンって感じ」

「あの人一人かな?」「まさか~彼女いるでしょ」

後ろに並んでいる人、近くに座っている人の会話が聞こえてくる。

その人達の視線の先には柊斗。


(うん。わかる。やっぱ目が行くよ。なんか、座ってるだけで絵になってるし。

 ―…って、私今からあそこに座るのか! もちろん、見た目が釣り合ってないのなんて自分が一番分かってるし、なんでこんなに想ってくれているのか、正直分かんない…)


よく漫画とかで、釣り合ってないって周りに言われて気にして、隣に立つ自信ないとか、別れたいとか自分で言って泣くの見るけど、それって自分勝手っていうか…

結局、相手傷つけてるし…

まあ、それも愛情を確かめる一つなんだろうなぁ~

周りなんて気にするな、俺のことを信じろ。とか、周りの目なんてどうでもいい、俺が好きなのは君だ。みたいな。

それも、いいんだけどね?


でも、もし同じことして、そんなこと言われなかったら? 分かった。って言われてそのまま別れたら?

周りに釣り合ってないって、コソコソ言われるより、そっちの方が耐えられんわ!


一緒にいて嬉しいけど不安もある。でも、水族館に連れてきてくれたり、プレゼントを用意してくれたってことは、柊斗が私のことをちゃんと考えてくれているってことだから…今の柊斗の気持ちを信じたい。


(だから、ダメになってしまう日が来るまで、ちゃんと向き合って、返せる恩は返していかないと…

でもそうなったら、きっついなぁ…… 多分、一生独身になるかも)



(―…なんか考え込んでるけど、そんなに何にするか悩んでんのか?)

並ぶ麻琴をチラッと見て、再び水族館で撮った写真を見る。

(女子って、何かと写真撮ろうって言ってるイメージだったけど、麻琴はそんなこと全く言わなかったな…

 どうやったら、一緒に撮れるんだ? なんて言えばいい?タイミングは?)


写真には水槽の魚と、こっそり撮った麻琴の後ろ姿も収められている。

(こんなの撮ってたって知られたら引かれるかも…)


「おまたせ~ 席とっといてくれてありがと」

「ありがと」

麻琴からコーヒーを受け取り、スマホをしまう。

(見られてないよな…)


「あのさ…聞きたいことあるんだけど…」

(もしかして見られた? 隠し撮りってバレたら…)

「ん?」平然を保っていても、写真のことを聞かれたらどうしよう、引かれたかもと心臓バクバク…


「好きな色ってなに?」

「………青と黒だけど」

(―…ん?なんでそんな急に…)

「青って、明るいの?それとも暗いの?」

「暗い方だけど… 何で急にそんなこと?」


「柊斗にプレゼントしたいなって思った時、柊斗の好きなものってあんまり分からないなと…

何となく、こういうのは好きじゃなさそうってのは分かるんだけど、やっぱり好きなもの知りたいなと思って。

ほら、柊斗は今回もホワイトデーも私の好きなものくれて、それが嬉しかったから、私もそうしたいな…と思いまして…」


(何その理由、嬉しいんだけど… それで聞いてきたの? 他にも聞きたいのあるのかな。 正直、これといって何か特別好きなものとかないけど)

「…他には、何聞きたいの?」


「ありがと!じゃあ…」

麻琴からの質問は、食べ物の好き嫌い、飲み物の好み、香りの好み、好きなブランド、スポーツ選手、芸能人などなど…

好き嫌い、好みだけでなく、どっち派か、この中だとどれがいいかと、色々聞かれた。

一つ一つ答えるごとに、頷きながら小さくリアクションしてくれる。


(これは、思った通りだったかな。これは意外って感じだな)

時々、麻琴の好きなのはどっちかなど聞いたりして、また新しい情報を仕入れることにも成功。

麻琴も聞けて満足したらしい。ニコニコしている。


「ご協力ありがとうございました。色々知れてよかった」

(聞くこと多くて嫌がられないか心配だったけど、途中ちょっと笑ったりしてたし、ちゃんと答えてくれてよかった。

意外なものもあったし、聞いてよかった)



って感じで、二人で話して帰りました。

……それで聞きたいんだけど、手ってどのタイミングで繋ぐの?」


「「「―………え?繋いでなかったの?」」」

ニコニコ聞いていた三人は、最後の麻琴の一言で口をポカーンと開けて唖然としていた…




こちらも同じく、昨日のことを話していた。

「水族館行って、プレゼント渡して、貰って、話して帰った」

「大まか過ぎるだろ! もう少し詳しく! 手繋いだとか、一緒に写真撮ったとか、プレゼントは何あげたんだよ。ってか、貰ったってどういうこと? 帰りは? 家までずっと一緒じゃん?」

親友の恋がようやく叶い、十年見守り協力してきた身としては、気になってしかたがない朝陽。


「―…」

柊斗はじとーっとした目で、興奮している朝陽を呆れたように見る。

「何だよその顔。 よし、お前が言わないなら麻琴に聞いて…」

「待て」

食い気味に朝陽を止める。


「なら、話してもらおうか~ 俺には聞く権利があると思うな~」

「はぁー…… 俺からは…」

のせられているのは分かっている。

ため息を吐き、朝陽の聞いてきたことに答えながら、さっきより詳しく話をすると、最初はニヤついていた朝陽の口元が、だんだんとポカーンと開いてきた。


「―…え?マジで? まあ、ネックレスの件は、麻琴らしいっちゃらしいけど…

 手も繋いでないの?写真も? お前何やってんの? 色々考えるのは分かるけど、ただでさえお前は喋らないし、表情分かりづらいんだから、態度で示さないとダメだろ。 プレゼントなんて、頻繁に渡すわけじゃないんだから。」

朝陽に言われることがグサグサ心に刺さっていく。

(だよな……)



(世の中のカップルは、どのタイミングで、どうやって手を繋いでいるんですか?

 二人は自然に~って言ってたけど、それが分かんない…

 歩き出すタイミングで? 繋ごうとか言うの? それとも手を差し出す? 手が触れた流れで?

 ―…繋ぎたくない訳じゃないけど、自分から言うのは恥ずかしいし、断られたら…

手が触れるっていっても…柊斗の指先、私の手首だしなぁ…)


!「朝陽くん」

「おっ、誕生日おめでと! 麻琴も廊下掃除?」

「うん。 お菓子ありがとね」

(お礼言えてよかった。 でも、場所被るとは…)


「どういたしまして。そういえば、あいつにもプレゼントあげたんだって?喜んでたよ」

(意外… 柊斗ってそういう話するんだ… でもそっかぁ。喜んでくれてたんだ)

「よかった…」


(そういう顔似てるな~ 柊斗がめっちゃ好きかと思ったけど、麻琴もちゃんと柊斗のこと思ってるし。

あと二人に足りないのは積極性だな! どっちも遠慮がちで恥ずかしがりだから、誰かがアシストしないと)

「そうだ! 今週土曜日、練習試合あるんだけど、もし予定空いてたら、結月からもらった帽子被って応援来てよ!柊斗には内緒で。どう?」


「―…考えとく…」

(急に話すからびっくりしたぁ… 練習試合か。 結月も行くんだったら行ってみようかな)


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